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それは、
高校生活も残り一年となった３年の春のこと
秋哉
おはよう、美春ちゃん
美春
おはよ、秋哉くん
秋哉
何か寝不足な顔してない？
秋哉
さては彼氏と遅くまで電話してたな？
美春
彼氏なんていないって！
美春
そういう秋哉くんこそ、
美春
毎朝彼女に起こしてもらってるんじゃないの
秋哉
ん～…まぁ、
秋哉
当たらずとも遠からず、かな
美春
え！？
美春
秋哉くん、彼女いるんだ…
秋哉
うん、いるよ～
美春
(秋哉くんのこと、好きかも、
美春
なんて少し自覚し始めた瞬間失恋なんて…)
美春
(初恋なんて、こんなものなのかな…)
秋哉
どうかした？
美春
ううん、恋人がいるなんて
美春
羨ましいなぁ～って思っただけ！
秋哉
羨ましい、かぁ…
美春
？？？
どこか哀しそうな秋哉くんの表情が
少し引っ掛かったけど…
私は彼を諦めることにした
のだけど…
美春
秋哉くんって、彼女いるらしいよ
美春
ちょっといいなって思ってたから
美春
プチショック
夏海
あれ？美春、知らないの？
夏海
秋哉の彼女はエア彼女だって、
夏海
有名な話だよ～
美春
エア彼女？？
夏海
そう。
夏海
実際はいないのに、
夏海
見栄張って彼女いるって言ってるの
美春
えぇ！？
美春
なんでなんで？
夏海
なんでかは知らないけど
夏海
誰も彼女を見たことが無いし
夏海
スマホに写真も入ってないってさ
美春
でも、それだけで
美春
エア彼女とは限らないんじゃ…？
夏海
まぁね～
夏海
美春仲良いじゃん、
夏海
ちょっと探ってみてよ
美春
今度聞けたら聞いてみるよ
美春
エア彼女…って…
秋哉
あれ？
秋哉
美春ちゃん、何やってるの？
美春
秋哉くん！
秋哉
なんかスマホ見て怖い顔してたけど…
秋哉
どうかしたの？
美春
ううん！
美春
ちょっと考え事してただけ
美春
秋哉くんは今帰り？
美春
彼女待ち？
秋哉
今帰りだけど、彼女待ちじゃないよ
美春
違う学校なの？
秋哉
ん～…まぁ、この学校ではないよ
美春
もしかして、大学生とか？
秋哉
まさか！同い年だよ
美春
そうなんだ…どんな子なの？
秋哉
小柄で可愛い子かな
美春
付き合ってどのくらいになるの？
秋哉
ん～…３年、かな…
美春
結構長いんだ！？
秋哉
まぁ、そうかもね
秋哉
中学で付き合い始めたから
美春
そっか…
美春
結構デート出来てるの？
秋哉
ほどほどかな…
秋哉
一応毎週土曜がデート日なんだ
美春
(これだけ具体的に答えられるのに…)
美春
(どうしてエア彼女なんて噂…)
美春
(噂なんてやっぱりアテにならない)
数日後の土曜
私は部活から帰る途中
私服の秋哉くんを見つけた
美春
秋哉く…
美春
(あ、今日土曜だ…)
美春
(てことは今からデートかも…)
美春
(声掛けるのは止めよう)
どうしても気になった私は
隠れて観察してみることにした
美春
(カフェに入ってく…
美春
中で待ち合わせかな)
近くの本屋で時間を潰しながら
出てくるのを待つ
待つこと数十分…
美春
(出てきた！)
美春
(…でも一人だ…)
その後しばらく様子を伺ったものの、
彼女らしき人物は一向に現れなかった
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