第5話

水の魔女とカレン〜届かなかった魔法〜

灼熱の旅の果て、魔女カレンと「私」は女たちの村を海賊から救う。しかし、住民を守り抜いたはずの魔法は、一人の母親の命には届かなかった。カレンを庇って倒れた母。死の間際、彼女は「綺麗な手を汚さないで」と魔女を許し微笑む。街を新品同様に修復できても、母の心臓の穴一つ塞げない魔法の無力さ。ロケットに残された「消えない血痕」を愛の証として抱きしめる少女を前に、二人は宿命を背負い、再び旅に出る。

花霞街誘華録

昼は華やか、夜は血に染まる街――花霞街。
裏社会を支配する黒蓮組に、ひとりの少女が迎え入れられた。

水無月玲、十五歳。
感情を持たない彼女は、幹部補佐として淡々と仕事をこなしていく。

拷問、取引、裏切り。
柑橘の香りが漂う執務室で、少しずつ歯車は狂い始める。

彼女が守り続ける“たった一枚の書類”が、
この街の均衡を壊すとも知らずに――。

毎週日曜日 投稿。

闇の中で魔女たちは

メリナは戦争に巻き込まれて死んだはずなのに、なぜか生きている？黒い空間に机とそれを囲む11の椅子。彼女がこれから知るのはいったい何なのか、

水の魔女とカレン〜彼岸への落とし物〜

境界が曖昧な樹海で、水の魔女と相棒のカレンは、列に乗り遅れた死者の少女に出会う。少女が導いた先には、娘の死を受け入れられず、ボロボロの人形を繕い続ける父親の姿があった。自らも喪失の傷を持つ水の魔女は、一時だけ死者を見せる銀の眼鏡を男に贈る。境界線が溶け、父娘は温もりの中で再会を果たした。二人の救済を見届けた魔女たちは、朝日が照らす霧の先へ、再び旅を続ける。

様斬（ためしぎり）

時は江戸・寛政の世。
「試し斬り」──罪人を斬り捨てる。
その刃を振るう者の名は、

山田浅右衛門。

抜けば命が消えると畏れられる“斬罪師”。


浅右衛門と共に生きるのは、寡黙な元旗本・帯刀 隼人。
己の過去に斬られた男が、それでも“斬らぬ道”を貫く理由とは──

斬ることでしか守れない。

これは、
「法」では救えぬものを、「刃」で裁く者たちの記録。