リビングに響く明るい笑い声
親友の、結婚式だった
その二次会として何故か呼ばれた
……まぁ、所詮酔った勢いだろうなと嫌でも察する
何故なら、そうじゃなければ今こうして壁の花を決め込んでないからだ
皆、楽しそうに笑っているけど
私だけは、違う
しばらく黙っていたけど
勝手に抜け出しても怒らなそう
と言うよりも、覚えてなさそうなので
さっさと帰ろうかなと思っていたら
「あれ、そんなに荷物持ってどうしたんですか?」
……知らない男に声をかけられた
「え、いや、そろそろお暇しようかなと」
媚び売ってそうな営業スマイルを貼り付けて明るい声を作ってそう言った
「そうですか、勝手で申し訳ないのですが俺の話を聞いてくれませんか?」
……は?
「いや、実は俺今日の主役の友人でして」
「特に仲良くなかったはずなのに、呼び出されてしまいまして」
「断るのもどうかなと思い、来てしまったのですよ」
「来たはいいんですけどね、話が弾まなくて」
「思わず、こっちに逃げてきたって訳です」
ね?似てるでしょ?
そう言わんばかりの顔と声
……もしやこれは
「丁度俺も帰ろうかなと思っていたら所なんです」
「どうです?駅まで一緒に行きませんか?」
……あぁ、なるほど
「いえ、すいません」
「気が変わったのでもう少し残ることにしました」
そう言うと、驚いた顔で立ち去る
全く、頭のおかしい相手だった
同級生に、しかも何年も一緒に居たというのに
それに気が付かないでアルコールの匂いと共にわざわざこっちまで来てわかりやすい嘘を吐いた
さっきまで楽しそうに話していて、ふと目を離したら気の弱そうな女が居たから声をかけただけだろう
全く、もう少しマシな嘘を言えないのか?
深いようで浅い、勘違いの言葉達
聞いていて気持ち悪い
酔っ払いの言うことなんて気にするな
そう思って私は、逃げるように帰った
親友の結婚式で、例えその二次会だったとしても
不快そうな顔なんて、したくないから
コメント
3件
わ、そーゆータイプか…… てっきり孤独を感じるから語り手さんに声をかけたんだと思ったけど、単に2人っきりになるように誘えそうな雰囲気だったから声をかけたのか……💦 しかも何年も一緒にいた同級生でしょ……?お酒の影響とはいえ気づかないなんて…… こーゆー時はさっさと帰るべきだね……!!