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銀河の孤独夢

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銀河の孤独夢

4 - 「メ」

♥

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2024年07月23日

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椅子に座って休憩していると、従業員がこちらに近付いてきた。

従業員

メイさん、観測結果が判明致しましたので、データを送りました。

どうやら、昨日振っていた観測予定地の遠隔調査が終わったらしい。

メイ

貴方は随分と仕事が早いのね…

メイ

ありがとう、確認しておくね。

メイ

(…惑星メイカ、居住先としては…気温が高すぎるな)

メイ

(…そういえば)

従業員

では、私はこれで…

メイ

ちょっと待って、

メイ

(確か、調べたところによると…)

メイ

貴方は、「惑星ニルバーナ」って知ってる?

従業員

惑星ニルバーナ…いえ、存じ上げない、です。

従業員

惑星ニルバーナになにか?
……もしかして…!?

メイ

えぇ、

メイ

あの星…私達が住める可能性があるの。

従業員

…!

従業員

ここに乗ってから20年…ようやく、私達に希望が…!

メイ

…期待するには早いけど、…もしかして、ね

真面目な表情を常に浮かべる従業員の目が、別人のように明るくなった。

従業員

今すぐ調べに行って参ります。

だが、従業員はすぐに表情を元に戻してからメイにそう言うと、すぐにメイの元を離れた。

メイ

メイ

…観測結果、惑星は1つ、特殊ガスにより生体への影響が見られるため、居住は不可能…

メイ

…はぁ、この世は人間に都合が良すぎる…なんて、よく言ったもんね…。

メイ

…よし、仕事に戻ろう…

メイは後悔から目を逸らすように、無心で仕事をしている。

メイにとって「休む」ことは苦以外の何物でもなく、考えないことこそが幸福なのだ。

メイ

あぁもう……いや、もうやめよう…

どこか強引に気持ちを整理して、 メンテナンス箇所の確認から始めた。

メイ

…パセリ、

メイ

…ごめんね、

暗い施設の中、メイはパセリをコールドスリープさせた。

研究員

…貴方は、どうしてコールドスリープさせることを選んだのですか?

メイ

メイ

…分からない、

メイ

分からない、です。

研究員

はは、まぁそんなものですよね

研究員

変なことをお聞きしてしまい、すみません。

そこには「迷い」があった

そこには「恐怖」があった

こんな言葉では表すことが出来ないほど大量にある感情が、闇鍋のように混ざって、とても形容できやしない臭いを放っている

メイ

…チッ

舌打ちをする、…それは、彼女にとって一種の防衛本能なのだ。

静寂の中、一室から孤独なシャッター音が木霊する

メイ

メイ

もう、200年か

メイ

…みんな消えちゃった、…

メイ

私は、いつそっちに行けるの…?

迷の中は、どこまでも孤独だ。 全てを失ったメイにとって、 地球なんて正直必要なかった

メイ

…あ、あー…

100年ほど、録音を残していた。

欠かした日もきっとあったが、彼女にとって、欠かしたことすらどうでもいい

メイ

そんなある日気が狂いそうな毎日に、光が差した。

??

…ねぇ、メイ?

メイ

急に連絡してきて、どうしたの?金なら貸さないよ?

??

なんで金の話題になるの!?

??

…違うって!!

電話越しの彼女は無理やり話題を変えようと言わんばかりに咳払いをし、ある提案をした。

ユメ

ねぇ、メイ

「仮想世界」…に 興味はない?

パセリ

ハデス

…やはり、貴方の自制心は乱れてるのね

パセリ

当たり前、じゃないですか

パセリ

夢の中なのに、私はずっと目を閉じてる。

ハデス

こんな退屈な夢の中で目を開けたところで、何も生まれないよ。

ハデス

…そうね、そんなに目を開けたいなら、開けるといい

パセリその言葉を聞いて驚き、 反射的に目を開ける

ハデス

あっ…そんな勢いよくじゃ…

パセリ

…っ!?

列車から映る窓の景色を、反射的に見てしまう

星々が、蛆のように蠢いているのだ。

パセリ

いやぁあああっ!!?

連鎖するかのように、パセリは金切り声にも近い叫び声を発した

パセリ

…ん、なっ…

言葉が詰まった。

この景色から少し離れた場所に、「蛆」とも言える星々はベタベタと張り付いている。

パセリ

こんな、…こんなのを、貴方はずっと…?

ハデス

…だから目を開けない方がいいと言ったのに、

ハデスの声は、既にこのことを「理解っている」かのようだった。

ハデス

ここに来た人は皆、貴方と似たような反応をしていた。

パセリ

貴方は…なんでそんなに冷静なんです…

ハデス

違う。

パセリが呟きそうになった疑問を、ハデスは珍しいことに、隙も与えず否定した。

ハデス

…慣れてしまったの、

静かに、か細くこう言った。

パセリ

(…違う、)

ハデスの姿もパセリにとっては初めてだったが、声色で様子が違うことは明らかだった。

ハデス

…私は…

ハデス

私は…!!

今にもハデスは壊れそう、いや、自分で壊してしまいそうだった。

ハデス

私は…この敵意に…!

レイラ

レイラ

(…熱い。)

クロス

この外道が!!

2015年

燃える炎、実の家族から向けられた全ての不幸の矛先は「レイラ」である。

アレス

レイラがそんなことをするなんて!!この魔女!

磔にされたレイラは、魔女になっていた。

レイラ

…ちが…

全て冤罪だ、偽物だ、私では無い

クロス

お前の話を聞く余地はない!

??

「宇宙をひっくり返すようなことなんて!!」

「魔女!魔女!魔女!」

レイラ

…わた、じゃ…

熱がレイラの肉体を焦がし、言葉すら紡げなくなる

意識がぼやけているのが、逆にハデスにとって苦となっている

レイラの身体からは力が抜け、胴は行き場を失った。

それでも彼女は魔女と罵られている

レイラは、「宇宙の敵」となったのだ。

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