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短編

63 - 伝説の、愛された星

♥

250

2024年08月08日

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あ、あの…

 

夢星屋の、メトシュラさんですか?

そう言われ、振り返る

メトシュラ

はい、そうですよ

メトシュラ

初めまして

メトシュラ

俺はメトシュラと申します

メトシュラ

それで、本日は

メトシュラ

どのような死に方をお望みですか?

俺の名前はメトシュラ

この店、「夢星屋」の店長だ

とは言ったものの

この店、実は違法な店である

まぁ、理由は単純明快

メトシュラ

…なるほど

メトシュラ

孤独死が嫌で、藁にもすがる思いでここに来たと?

 

は、はい…

 

妻はもう何年も前に死にました

 

その時は、俺が看取ってやったんですが…

 

…この前、体に異常が見つかって

 

延命装置を付けないと死ぬかもしれなくて

 

それで…

 

それなら、いっそのこと死んで妻に会いたくて

 

……でも、いざとなると

 

やっぱり、死ぬのは怖くて……

 

…情けない限りです、本当に

 

どうか、助けて頂けませんか?

 

一緒に死んでくれなんて言いません

 

どうか、そばに居てくれませんか?

メトシュラ

えぇ、いいですよ

 

えっ……

メトシュラ

…?

メトシュラ

嫌でしたか?

 

あ、いや……

 

こんなに、簡単に受けるのかと……

くすくす、と笑う

メトシュラ

それが、俺の仕事ですよ

メトシュラ

世間には、絶対言えないような

メトシュラ

死ぬのが怖い人に寄り添う

メトシュラ

そんな、仕事です

 

あ、ありがとうございます……!

 

お礼は、いくらでも……!!

メトシュラ

いえ、結構ですよ

 

え……?

メトシュラ

お金をとったら、それこそ「調停者」様に目をつけられます

メトシュラ

ここは、俺の気持ちを汲み取ってくれませんか?

 

……本当に、いいんですか?

メトシュラ

えぇ、もちろんです

メトシュラ

胡散臭いと思うなら断ってもいいですよ

メトシュラ

亡くなった後の相続関係はお済みで?

 

はい、それは大丈夫です

メトシュラ

なら、後はゆっくり死ぬだけですね

メトシュラ

場所などにこだわりは?

 

いえ、特には

 

……と言うより、実は今立っているのすら奇跡みたいな状態なんです

 

いつ、死んでもおかしくなくて…

  

それならいっそのこと、殺してやろうか?

メトシュラ

……誰ですか?

メトシュラ

ここはそう簡単にバレる場所では無いんですが

メトシュラ

それに、今はお客様とお話しているんです

メトシュラ

お引取りを……

零子

ねぇ、もう殺しちゃったけど

零子

と言うより、あっさり死んじゃった

零子

……どうする?これ

  

……なら、別にいいな

  

俺達の目的はそっちの胡散臭い兄ちゃんだ

メトシュラ

……誰ですか、貴方達

特殊な目の色

人ならざるものと話せる

……そして

当の本人も、人ならざるものでは無い

そして、あの綺麗な刀は……

メトシュラ

……「調停者」様専属の部下ですか?

  

お、そこまで分かんのか

  

そんじゃ、改めまして

  

「調停者」直属部下

モヒート

「陰りの段位」、力のモヒートだ

モヒート

表ではこの大陸の病院に勤めてる

メトシュラ

……何故、貴方のような方がここに?

メトシュラ

もう死んでいるのでしょう?

メトシュラ

ここは、1人で死ぬのが怖い人が来る場所です

メトシュラ

お引取りを

モヒート

あー、そういうことな

モヒート

お前を、「調停者」が求めてる

モヒート

着いてこい

メトシュラ

……はっ?

モヒート

「調停者」が会いたいんだと

モヒート

初めは陰りの段位に迎え入れるつもりだったらしいんだけど

モヒート

……なんか渋った顔して「やめる」って言い出してよ

モヒート

……でも

モヒート

お前は、陰りの段位の候補に上がるほど世界に愛されている

モヒート

着いてこない、なんて選択肢は存在しねぇから

モヒート

大人しく着いてきてもらえる?

メトシュラ

……

メトシュラ

……俺を、捕まえる罠ではなく?

モヒート

はぁ?罠?

メトシュラ

俺は、ここで世間には言えない事をしている

メトシュラ

基本的には、人の死に関わるべきでは無いとされているからだ

メトシュラ

それに、率先して関わるし

メトシュラ

たまに、一緒に死んでいることもある

モヒート

……は

モヒート

お前…もしかして不老不死?

メトシュラ

……?

メトシュラ

そうですけど…

メトシュラ

なんか、気がついたらここに居たんですよ

メトシュラ

それで、自分のやりたいことを見つけて

メトシュラ

もう、どれくらい時間がたったのかすら覚えてませんよ

モヒート

……あー

モヒート

これ、どうすりゃ…

零子

とりあえず、連れていこうか

零子

「調停者」ならなにか知ってるはずだから

モヒート

まぁ……それもそうか

モヒート

ま、とりあえず着いていて貰って

モヒート

話はそれからってことで

メトシュラ

……

モヒート

……別にお前を縛り上げる気も何もねぇから

モヒート

早く来いよ

メトシュラ

…………分かりました

メトシュラ

ただし、なにかあったら即逃げますからね

モヒート

それで結構だよ

モヒート

ほら、行くぞ

メトシュラ

なーんてこともありましたね〜

メトシュラ

あれは確か、蒼音が捕まった後でしたっけ?

モヒート

よく覚えてんな

モヒート

俺なんてもう忘れてたわ

メトシュラ

というか、初めは本当にビックリしましたよ

メトシュラ

えぐいことをしている自覚は全然ありましたし

メトシュラ

それが今となれば

メトシュラ

「調停者」が後ろ盾となってくれたおかげですね

メトシュラ

とっても大きなお店になりましたよ

モヒート

それから何をとち狂ったのか

モヒート

俺の部下になってるけどな

モヒート

……てっきり、本当に「星」の座に着くと思ってたからよ

メトシュラ

「星」の座には先客がいるじゃないですか

メトシュラ

まぁ、それもいつまで持つのやら

メトシュラ

あの子は、いずれ落ちる気がしますね

モヒート

……随分物騒なことを言うな

モヒート

斬られてぇのか?

メトシュラ

いやいや、滅相もない

メトシュラ

ただ、そう思っただけですよ

メトシュラ

冗談、というやつです

メトシュラ

面白かったですか?

モヒート

……この世界で1番つまんねぇギャグだったよ

モヒート

ほら、行くぞ

メトシュラ

はーい

「調停者」

あぁ、そうだ

「調停者」

君にだけ、伝えておくね

「調停者」

今の「星」は、いずれ落ちる

「調停者」

世界は、君を「星」にしたがっている

「調停者」

だから、覚悟していて

「調停者」

君への愛は、突然すぎるし重すぎる

「調停者」

それでも、君なら大丈夫

「調停者」

メトシュラ

「調停者」

いい名前だね

「調停者」

君なら、必ず「星」になる

「調停者」

そう、遠くない未来に

「調停者」

そしたら、「星」の座は永久的に君のものだ

「調停者」

ただし、陰りの段位の試験はもちろん受けてもらうけどね

「調停者」

それは自分で頑張って

「調停者」

世界は、君を愛しているから

メトシュラ

(……なーんて)

メトシュラ

(言えるわけ、無いよなぁ…)

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コメント

4

ユーザー

おおお!!!ついに名前が明らかに……!!! 「夢星屋」か……確かに孤 独 死っていうのは寂しいよね……想像しただけで嫌だ……💦 世界がメトシュラさんを認めたのなら「陰りの段位」への座を得るのは確実だろうね……!! でも、それを教えてくれた調停者様はどーゆーつもりで伝えたんだろう……急に「貴方は今日から陰りの段位ですよ」って言われて困らないようにするため、かな……🤔💭

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