短編

なんでもかんでも

優しい貴方が、嫌い

ご機嫌取りのつもりで、纏う香水も

香りの影に、誰かを感じる

嫌、だけど

……きっと、私の嫌がることはしない

だから、そこに感じる影の理由が知りたい

｢……え？香水の香りが苦手？｣

｢ごめんね、そんなつもり無かったんだけど…｣

｢…え？香りじゃなくて僕？｣

｢……？？？｣

｢……あ、この香水の出処？｣

｢いや、別に｣

｢自分で買ったけど……｣

｢……あ、｣

｢もしかして｣

｢別の女を感じる……とか？｣

｢それだったらごめんね｣

｢いや、この香水は確かに自分で買ったよ｣

｢あわよくば｣

｢君とお揃いが欲しいなって｣

｢同じブランドの香水だよ｣

｢……え？妙に馴染む感覚がした？｣

｢多分、同じブランドだからじゃ…｣

｢…………なるほどね？｣

｢ふふ、そんな顔しなくてもいいのに｣

｢充分、可愛らしいお姫様だよ｣

｢もちろん、僕だけのね｣