笑って。

暖かい風が吹くと同時に 桜の花が舞う季節

僕は今日 新しい学校に入学する。

校長先生の長い話を聞き流しながら ぼーっと辺りを見回す。

寝癖がついてる人、緊張で震えてる人

あ、あの人今欠伸した。

他にも色々居る…な………

あれ、

めちゃくちゃ可愛い先輩が居た。

校長の話が終わったのにも気づかず ただただ先輩の事を考えていた。

しばらく経ったある日 学校の廊下で先輩が居たので 話しかけてみる。

言葉が出てこない… 言葉なんて簡単に出てくるだろ、僕

言ってしまった

なんだよ同じクラスに友達が出来ないから先輩と仲良くしようって！！

僕の言葉に笑う(悲しい)先輩。 笑顔が可愛くて仕方が無かった。

当然でしょ？なんて笑う先輩に 少しびっくりしてしまった。

こんな僕と仲良くしてくれるなんて 本当に良い性格なんだろう

それから僕達は 沢山話をしたり遊んだりして 結構親しくなれたと思う。

幸せだな、と思っていたある日

それは、帰り道だった

やだよ

言わないでよ

勇気なんか出さなくていいから

傍で笑って話してよ

違うよ

本当は、本当は

止めたくて仕方ないんだ

でも、止めちゃったらさ

きっと、困るでしょ？

僕は君の困る顔じゃなくて 嬉しい、って笑う顔が好きなんだ

それから何日か経った。

クラスにも友達ができた。 もうとっくにだけど。

先輩は告白したらしい

僕への報告はまだ無い でも話すってメッセージが来たから

今日、きっと話してくれる。

僕、馬鹿だな

好きな人の告白 背中押しちゃってさ

自分で諦めた様なものだよね

僕は何も言えずに 意味なんかない言葉しか声にしか 出来なかった。

ねぇ、覚えていますか？

君がくれた キラキラな笑顔

あの笑顔を見るだけで幸せです。

僕には手の届かない存在だって 分かってます。

もう、届かなくなったことも。

それでも、それでも

やっぱり先輩が好きで仕方が無いです

これからもどうか、影からで良いので

君と彼氏さんを、 応援させてください。

………そして

先輩が好きというこの気持ちは まだ持ってていいでしょうか。

君が幸せならそれでいいなんて

ありがちな台詞言えないですし

他の人と幸せに笑ってる先輩を 見るのは心が苦しいですが

誰が隣であろうと

君の笑顔が

君が、大好きです

どうか、彼氏さんと幸せになって

1番の笑顔を見せてあげてください。

僕は1番じゃなくても

君の笑顔を見れる

ただそれだけで、 他の人が思うよりも幸せです。

1番の笑顔じゃなくたって、

僕は今の笑顔で、充分幸せです。