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#ドラマ
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希空の部屋を出るとき
凪は胸の奥にほんの少しだけ
温かさを抱えていた。
雨宮 凪
その言葉だけが、 凪をまだ立たせていた。
でも、
廊下に出た瞬間——
その温度は一気に冷えていった。
暗い廊下の角。
そこに寄りかかっていた二つの影。
直人と、莉乃。
雨宮 直人
直人が軽い声で呼ぶ。
その“軽さ”が、 逆に恐ろしく感じた。
雨宮 莉乃
莉乃が笑顔で言う。
その笑顔は、
誰かの前で見せる笑顔と 同じ“形”なのに、
意味がまったく違う。
凪の足が止まった。
逃げたいのに、動けない。
雨宮 直人
直人が一歩近づく。
凪はゆっくりうなずき、 男子部屋へと連れていかれた。
扉が閉まる音が、 いつもより重く響いた。
部屋の中は暗く、 窓からの薄い光だけが床に落ちている。
直人が先に入り、 莉乃が後ろから凪の背中を押した。
雨宮 莉乃
凪はびくっと肩を揺らす。
雨宮 凪
雨宮 莉乃
莉乃が即答した。
雨宮 直人
直人がにやりと笑う。
凪は首をぶんぶん振った。
雨宮 凪
雨宮 凪
その声は震えていた。
それが兄姉の気に障った。
雨宮 直人
直人の声が冷たく落ちる。
雨宮 莉乃
莉乃が凪をじっと見下ろす。
凪は涙をこらえようとしたけれど、 目にしみてにじむ。
その様子を見て、 直人が吐き捨てるように笑った。
雨宮 直人
雨宮 直人
雨宮 莉乃
莉乃が低く問い詰める。
雨宮 凪
凪は震えながら、 必死に答えた。
その答えを聞いても 兄姉の表情は柔らかくならない。
むしろ、
安心したように 冷たい笑みを浮かべる。
雨宮 直人
直人が凪の前にしゃがむ。
雨宮 直人
雨宮 直人
莉乃も隣にしゃがむ。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
凪は息を呑む。
雨宮 莉乃
莉乃がささやく。
言い返す言葉は何もない。
凪はただ、
こわくて、苦しくて、
唇をぎゅっとかんだ。
2人はそんな凪を見て、 満足そうに立ち上がった。
雨宮 直人
雨宮 直人
直人が言う。
雨宮 莉乃
莉乃が最後に釘を刺す。
部屋の扉が開く。
光が差し込む。
でも——
凪の胸には、 まったく明るさはなかった。
小さく震える足で廊下に出たとき、
凪はやっと息を吐けた。
雨宮 凪
喉の奥で、 言葉にならない声が震えた。
その夜の空気は、 いつもより冷たく感じた。