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Jasmine
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コメント
1件
うわあ……デート前の緊張がすごく伝わってくる回でした!陸くんの「似合ってる」の一言で日奈子の心臓がぎゅっとなる感じ、分かりすぎてドキドキしました🥺💗 それに缶カフェオレで「甘いの好きそうだから」って覚えててくれてるの、最高じゃないですか……。車内のウッドの香りとか、優しい静けさの中で日奈子がhomeみたいな安らぎを感じるところ、過去と今の対比が切なくて。2人の距離が少しずつ縮まってる感じがたまらなく好きです🌙🤍
・ ・ ・
インターホンが鳴ったのは、約束の時刻よりきっかり十分前だった。
日奈子
胸が高鳴る。
玄関へ向かう日奈子の足取りは、知らず知らずのうちに弾んでいた。
ドアを開けると、そこには黒のチェスターコートを身に纏った陸が立っている。
シンプルな白Tシャツが、鍛えられた首筋と胸板を浮き彫りにしていた。
休日らしい装いなのに、その凛とした立ち姿はまったく乱れていない。
陸
日奈子
低く澄んだ声が鼓膜を震わせる。
日奈子は人差し指で前髪をいじった。
鏡で何度もチェックしたはずなのに、やっぱり気になる。
ふと視線を感じて顔を上げれば、陸がじっとこちらを見つめていた。
その漆黒の瞳に射貫かれて、身体が強張ってしまう。
日奈子
陸
ぽつりと落とされた言葉に、胸がきゅっと締め付けられる。
日奈子
精一杯、平静を装って答える。
陸は満足そうに頷いた。
陸
それだけ言うと踵を返し、エレベーターへ向かう彼の後ろを慌てて追いかけた。
エレベーターホールに並んで立つと、彼の黒髪から清涼感のあるヘアオイルの香りが漂ってくる。
日奈子
新しい発見にドキリとする。
マンションの駐車場に向かうと、白いSUVが一台停まっていた。
洗練されたデザインの車体は、まるで美術館に飾られた芸術品のように感じる。
陸
促されるまま助手席に滑り込むと、車内を包むウッドの香りが鼻腔をくすぐる。
心地よい芳香に、肩の力が自然と抜けていた。
エンジンがかかり、陸の大きな手がハンドルを握る。
ゆっくりと車が滑り出した。
車のドアが閉まる音も、アクセルを踏み込む感覚も、驚くほど静かで優しい。
かつて実家で浴び続けた、荒々しい怒声や物音とは対極にある穏やかな空間に、日奈子は不思議なほど安らぎを覚えていた。
繊細で安定したハンドル捌きのお陰か、まったく揺れを感じない。
外は穏やかな休日の陽光に包まれていて、遠くで子供達の歓声が木霊していた。
陸
信号待ちで車が停まると、彼はすっとコンソールを開けた。
日奈子
日奈子
陸
唐突な問いに返答を渋っていると、陸の手が何かを取り出してこちらに差し出してきた。
プルトップのついた缶カフェオレ。
ミルク多めのタイプだ。
陸
そう言って渡してきた彼の手は、驚くほど大きかった。
外科医らしい綺麗で長い指先が、缶を受け取る日奈子の指にわずかに触れる。
その熱に、心臓がドクンと跳ね上がった。
陸
さらりと告げられた言葉に驚き、彼の横顔を見つめる。
そして、手渡された缶に視線を落とした。
日奈子が好きなメーカーの缶コーヒーだ。
これも自分が彼に教えたんだろうか。
何も覚えていないことがもどかしい。
でも、そんな彼女の些細な好みを、彼はちゃんと覚えていてくれたのだ。
日奈子
日奈子
陸
短い返事なのに、その声音には確かな満足感が滲んでいた。
陸は前を向いたまま、日奈子がプルトップを引いて一口喉を潤すのを、どこか安心したように見届けてから車を加速させた。