雪が、降っている
ゆっくりと時間が遅くなっていく感覚がする
感覚がするだけ
雪の速度に合わせて歩くとなんだか強者になった気分
こんな遊びばかりしていると
嫌でも自分の年齢を思い知らされる
きっと帰ったらあいつに何か言われるんだろうなと思ってため息をつく
ふと、吸い寄せられるようにある細道に目を奪われる
そこには昔の僕みたいな少年が居た
あいつと会う前の僕によく似ている
この雪の中、ずっと外に居たのだろう
おそらく、あいつらがお仕置として放置しているのだろう
ここはそういう場所だ
こいつが多分、スノードロップが言っていた「彼岸花」だろう
吸い寄せられるものがある
ずっと見ているとさすがに警戒心を抱き始めたのか不審者を見る目で見られた
予想通りだったが、少年は「世界から愛された目」を持っていた
外側はまるで彼岸花の様に赤く
中心に近づいていくと紫が混ざっているような色になっている
綺麗な目だ
こいつ、強いなぁとか思いながら少年に向かって歩く
そろそろ回収しよう
この雪の中じゃ寒いに決まっている
近づけば近づくほど、昔の僕を見ているみたいたった
諦めたフリをして、全然諦めていない目をしている
もし、スノードロップに言われなかったとしても個人的に気に入ったから回収していたかもしれない
この世界は、そういう所だ
少年と向き合ってみる
少年は恐る恐るナイフを出した
まだ15くらいの少年だ
こんな少年に人殺しをさせるなんて
ここのクラブ以上に
この世界は…
本当に、この世界は残酷だ
コメント
2件
まず最初に『彼岸花の開花』ってタイトルが好き……最高……っ🥰🥰 自分と同じように物事を諦めたような、諦めてないような目をしてる子を見つけたら命令だろうがなかろうがその子に手を差し伸べてしまうよね……。それが15歳の少年なんて…… 少年が着いていく、と決断したとき心にぐっと来た🙌
( ᐛ )<ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!