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体育館を後にした私とイツキ。祖母は、外にいると言う小野寺の話から軍人に会いに行くことになった。その際、小野寺は、用心にとマントサイズの布を私たちによこした。
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
もじもじしているイツキに何だかイライラする。なんなのコイツ?
イツキ
イツキ
イツキ
ベニ
イツキ
そのゾンビは、やけに大きかった。今まで見た中で、横にも縦にも大きい。全身の皮膚がむき出しになっており、真っ赤に染まっている。
顔はもう、人の原型をとどめていない。何人かの人間の目があちこちについていて、口は、唇は無く、歯だけがむき出し状態だ。しかも、何故か、口が無駄にでかい。丸呑みにされそうだ。
イツキ
ベニ
イツキが、刺股(さすまた)を構えて、右に走る。私は、反対だ。何本という手が、腹から背中から伸びている。
そのうちの一本が、私を狙うもすぐにかわせるスピードだった。だが、威力は、半端なかった。
教室の壁が、スポンジのようにえぐられたのだ。捕まったら即アウト。
イツキが、刺股で足を沈める。巨体の身体が傾いた。
すぐに、二、三発頭に食らわせる。でも、あまり効いてない様子。その後も、一進一退の攻防が続く。
腕を折っても生えてくるのだ。面倒くさいやつ。
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
手足をさばくのは、やめにして私とイツキは、目を狙うことにした。これが、功を奏した。
一つ潰すごとに動きが鈍るのである。
最後の一つをイツキが潰すと巨大化したゾンビは、その場で動かなくなってしまった。
そうして、軍人のいる正門までまっすぐに突き進んでいった。
軍人
イツキ
軍人
イツキ
軍人
ベニ
軍人
ベニ
軍人
その答えはあまりにも意外だった。母は、ここにいたのだ。でも、何故?
シズエ
ベニ
そこには、科学者らしい白いロングの実験着を身にまとった女性が立っていた。黒いストレートの髪にベニとそっくりな瞳。彼女の母親でまず間違いないだろう。
ベニ
軍人
シズエ
軍人
シズエ
イツキ
シズエ
軍人
シズエ
ベニ
シズエ
イツキ
シズエ
ベニ
シズエ
軍人
シズエ
軍人
彼女の笑みには、自信で満ち溢れていた。手を腰に当て、勝ち誇った表情で、ベニを見下ろす。
シズエ
イツキ
シズエ
イツキ
シズエ
シズエ
ベニ
シズエ
イツキ
シズエ
ベニ
シズエ
ベニ
ベニ
シズエ
その瞬間、ベニはイツキの持っていた刺股を奪うとそのまま、シズエに向かってやり投げのように真っ直ぐ投げた。
刺股は、シズエの真横に突き刺さった。あと数センチずれていれば確実に串刺しである。
シズエ
ベニ
シズエ
シズエ
イツキ
シズエ
ベニ
シズエ
ベニ
ベニの怒りは凄まじいものだった。そのまま、母、シズエに向かってつかみかからんばかり向かっていく。
それでも、彼女の笑みは、消えることは無かった。
慌ててイツキも走った。
その時、闇の端から黎明(れいめい)が射した。日の出がはじまったのである。
全身が燃えるように暑い。
それでも、彼女の動きは止まらなかった。シズエの頭と胴体を切り外さねば気が済まない。
イツキ
イツキは、そう言うが早いかベニに黒い布をかぶせた。それは、体育館に備え付けられていたカーテンを切ったものだった。
身体の熱さが少し和らぐ。そう、これは、体育館の遮光カーテンである。
シズエの中での計算が狂ったのは間違いなかった。初めて、彼女の笑みが消えた。
そのまま、彼女は、シズエに向かって爪を立てた。
シズエ
彼女の悲鳴が辺りに響いた。見れば、彼女の腕には、ベニの引っ掻き傷がついていた。
シズエ
シズエの瞳が青みがかっていくのが分かる。
ゾンビ化である。
シズエ
イツキ
遮光カーテンに身を包んだベニの横に、笑顔のイツキが立っていた。
彼は、遮光カーテンを身につけていなかった。
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
全身から煙をあげるイツキ。顔の半分がすでに焼けただれていた。
ベニ
そう言って、私は、イツキの心臓を突き刺した。イツキは、ニッコリと笑っていた。
イツキ
苦しく無いだろうか? ただ、それだけを思い、彼を見送る。
自分にもたれかかるようにしてイツキは、息を引き取った。そして、灰となった彼の肉体は、そのまま、風に舞い、消えてしまった。
ベニ
軍人
ベニ
軍人
軍人
軍人
ベニ
ベニ
そこからの私の記憶は無い。ただ、すごく優しい気持ちと安堵感だけが残った。
空からおばあちゃんの姿が見える。
あぁ、良かった。本当におばあちゃん、無事だったんだ。
もう、大丈夫。
私、平気だよ。
完結