三日月
ほわぁぁぁ・・・

三日月
まだ眠いわ・・・

三日月
もう7時半じゃない。

三日月
相変わらず、時の流れというのは早いわね。

三日月
あら、どなた?

三日月
はーい。どちら様ですか?

山和歌
山和歌です。ちょっと依頼したいことがあるんだけれど、今お時間いいかしら?

三日月
あ、はい。

三日月
今開けますね。

久しぶりのご依頼に、私は少し跳ねながら玄関に向かった。
三日月
どうぞ。

山和歌
お邪魔します。

私は、山和歌さんの歩幅に合わせながら、客間へとご案内した。
三日月
今、お茶をご用意しますので、こちらにおかけ頂いて、少々お待ちください。

山和歌
親切にありがとうね。

三日月
いえいえ、私の仕事ですので。

なるべくお客様を待たせないように、
素早くキッチンへ行き、自分でブレンド
して作った茶葉でお茶を作る。
三日月
お待たせしました。

三日月
こちら、私がブレンドした茶葉から作ったお茶でございます。

三日月
お口に合うといいのですが。

山和歌
ブレンドしたの?

山和歌
やっぱりあなた、すごいのねぇ。

三日月
そんなことないですよ。さ、どうぞどうぞ。

山和歌
では、いただきます。

山和歌
お、美味しいわ・・・。

山和歌
普通の市販の茶葉をブレンドなさったの?

三日月
はい。

山和歌
へぇ、たまげたわぁ・・・。

山和歌
とっても美味しいわよ。

三日月
ほんとですか。

三日月
良かったです。

三日月
・・・では、ご依頼いただける事件について、詳細をお聞かせください。

山和歌
あ、そうだったわね。

山和歌
今回の事件はね、私の知り合いの旦那さんが殺害されてしまったの。

三日月
殺人事件ですね・・・。

お気に入りのメモ帳に、自分が読める程度に素早くメモる。
山和歌
知り合いは、警察にお願いしようとしていたのだけれど、三日月さんに解決してもらった方が早そうな事件でね。

山和歌
少し奇妙な殺人事件なの。

三日月
少し、奇妙?

山和歌
えぇ。

山和歌
凶器は事件現場にあるのに、血は全く付いていないのよ。

山和歌
おかしいでしょう?

三日月
そうですね。

三日月
それが凶器だというのは確実なのですか?

山和歌
間違いなく、あれが凶器よ。

三日月
あれ、とは?

山和歌
旦那さんの書斎に飾ってあったトロフィーよ

山和歌
旦那さんの遺体を発見する1時間前までは書斎に飾ってあったトロフィーだって知り合いが言っていたわ。

山和歌
トロフィーの近くに白い手袋が置いてあって

山和歌
ネットで白い手袋の使い道を検索したら、
指紋をつけないためにも使われるってかいてあって。

山和歌
だから、間違いないわ、あれが凶器よ!

三日月
なるほど・・・ですが、それだけでは
トロフィーが凶器だと言いきれないのでは?

山和歌
そ、そうなの・・・?

三日月
はい。

三日月
残念ですが、犯人が素人の目を誤魔化すためのカモフラージュをしたのではないかと思います。

山和歌
そ、うなのね・・・

山和歌
じゃ、じゃあ普通の殺人事件なのかしら・・・

三日月
分かりません。

三日月
ですので、もっと詳しく教えていただけませんか。

山和歌
え、えぇ。わかったわ。

山和歌
長くなるけど、大丈夫かしら?

三日月
はい。何時間でもお聞かせください。
