TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

ちひろ

最っ悪……

ちひろ

何でこんな所でスマホ落としちゃったんだろ……

深夜、誰もいない廃屋で、 私は1人探し物をしていた。

かつて、一家惨殺事件があった洋館。

ちひろ

綾奈が血まみれの小さい女の子を見たとか言ってたけど……

ちひろ

そんなのいるわけがない

ちひろ

それよりも、早くスマホを
回収しないと

肝試しと言って私をここに連れてきたメンバーは、既に皆帰ってしまった。

リビングらしき広い部屋には、 隙間風と床の軋む音だけが響いている

不意に、くぐもった震動音が聞こえ、 部屋の隅が微かに光った

ちひろ

ヒャッ!……あ、あぁ……

ちひろ

び、びっくりした……

ちひろ

スマホあった……ちょうどいい所に電話かメールが来たみたい  

私は跳ね上がった心臓を押さえ込み、 床に落ちていたスマホを拾おうとした

次の瞬間

 

ドガッ!

ちひろ

静寂に、鈍い打撃音が響いた

凄まじい痛みによって、それが 自分の頭を殴打する音だと分かった

 

ガンッ、ゴン、ゴスッ

ちひろ

な、んで……

最初の一撃で、既に抵抗する力は無くなっていた

しかし、相手は攻撃の手を止めない とどめを刺すつもりなのだ

私は死を目前に感じながら、 目の前のスマホを強く握りしめた

ちひろ

綾奈

ちひろ

茉莉花

ちひろ

奈々美

ちひろ

瑠衣……

薄れゆく意識の中、 私が最後に見たものは

笑いながら走り去ってゆく、 血まみれの少女の後姿だった……

担任

皆さんにお知らせすることがあります。

担任

昨夜、うちのクラスの奥寺ちひろさんが亡くなりました。

担任

近所の廃屋で遺体が発見されたそうです。

担任

警察は事件、事故両方の可能性をみて捜査しています。

担任

何か知っていることがあれば連絡してほしいとのことです。

担任

…………辛い気持ちは分かるが、今は君たちの人生にとって大切な時期でもあるので……

担任

あまり、動揺しすぎないようにしてください。

瑠衣

ちひろ……

私は、先生の言葉をただぼんやりと 聞いていた

未だに現実感がなく、目の前の全てが夢の中のことのように思えた

瑠衣

もう、いないんだ……

綾奈

瑠衣、大丈夫?

瑠衣

なんか、まだ信じられなくて

瑠衣

昨日まで前の席にいたのに……

瑠衣

げ、現実感っていうか、

瑠衣

なっ、何なんだろうね、わたっ、私っ……

茉莉花

落ち着いて

茉莉花

明日お通夜と告別式があるから

茉莉花

それまでに気持ちを整理すればいいよ

瑠衣

じっ事件、の可能性、って、言っ、言って、たよね?

瑠衣

けいっ、さつ、警察、は、たた、他殺?をうっ疑ってる、ってこと?

瑠衣

ちひろがっ……誰、かに……こっ、殺された、かもしれないって……

綾奈

形式上だけだよ

綾奈

瑠衣が不安がるようなことなんて何もないから

奈々美

廃屋の老朽化した床が抜けちゃって、そこから落ちたんだって聞いたよ

奈々美

落ちた先に大きなコンクリートの塊があって

奈々美

当たりどころが悪かった、って……

瑠衣

それ、で、昨日っは……

瑠衣

あ、あの家、あの家で、私たちっ

しゃくり上げる私を、 彩奈が強く抱きしめてくれた。

奈々美と茉莉花は背中を 優しくさすってくれる。

綾奈

昨日のことは、私からちゃんと話しておくから

綾奈

瑠衣のことそっとしておいてあげてください、って伝えるよ

綾奈

だから、大丈夫。

綾奈

今日は早退して、しばらく家でゆっくりしてなよ

茉莉花

何かあったらメールするからね

奈々美

放課後瑠衣んちに様子見にいくからさ、そこでちゃんと話そ?

瑠衣

ごめん、迷惑かけて……

綾奈

気にしないで

綾奈

私たち、親友でしょ?

翌日、私たちはお通夜に参列した

遺影の中のちひろは元気に笑っている

ちひろの母

…………………

ちひろのお母さんは、ただただ うつろな目で宙を見つめている

奈々美

ちひろ、母子家庭だったんだって……

茉莉花

辛いだろうね……

遺された家族の姿を見て、 私の胸は更に締め付けられた

綾奈

瑠衣、しんどかったら無理にここに居なくていいから

瑠衣

だ、大丈夫だよ……

瑠衣

……あれ?

瑠衣

あんな子、いたっけ……?

ふと顔を上げると、見覚えのない 女子生徒が焼香の列に並んでいた

瑠衣

制服もネクタイの色も私達と同じ……

瑠衣

ってことは、うちの三年生だよね?

彼女は切れ長の目に大粒の涙を湛え、 長々と手を合わせている

長い黒髪と整った横顔が印象に残った

奈々美

C組の冬村 美夜だよ

奈々美

3ヶ月前くらいに転校してきた子

茉莉花

ふーん

茉莉花

影薄めな感じの子だったけど、ちひろと仲よかったのかな

読経の声に混じって微かに聞こえる声は、震えているようだった

美夜

ちひろちゃん……

美夜

ごめんね……

ちひろの遺影も嘆く人の姿も見ていられなくなり、私は視線を落とした

綾奈

もう出よっか

綾奈

3人とも顔色悪いよ

綾奈は、大人たちの視線から私たちを庇うようにして立っていた

綾奈

先生に喋るなら外行けって言われたし

綾奈

告別式はキャンセルして帰ろう

綾奈

家に着いたらグルチャで話そっか

瑠衣

う、うん、そうしよっか……

あーやな

みんな、お疲れ様

ななみん

綾奈も、おつかれ

まりぃか

お疲れ様ー

ルイ

お疲れ様。

ルイ

色々気遣ってくれてありがとう

あーやな

どいたまー

あーやな

それより、大丈夫?

あーやな

親とか先生とか警察から、
変なこと言われたりしてない?

ルイ

今んとこ大丈夫そうだよ

ななみん

私と茉莉花も大丈夫

まりぃか

問題ナシ!

まりぃか

ちひろのことも大事だけど、私たち高3だからね

まりぃか

いつまでも苦しんでいられないよ

ななみん

先生の言ってた通り、この夏こそ受験生にとって1番大事な時期だもんね!

まりぃか

あんたと綾奈は推薦決まってるクセに……

あーやな

……2人がいつも通りっぽくて何よりだよ

あーやな

……あれ?

ななみん

どしたー?

ルイ

何かあった?

あーやな

いや、なんか変なメールが来てて

あーやな

呪いのメール?

ななみん

スパムでしょ。無視しなよ

まりぃか

それ今私にも来た

ななみん

あー、これか

ルイ

まりぃか

呪いの館がどうこうって

ルイ

あ、同じの来たみたい

ルイ

確認するね

呪われた館に足を踏み入れた あなた達は罪人です ・おばあちゃんの呪い ・ママの呪い ・パパの呪い ・少女の呪い 誰かの呪いが振りかかり、 死をもたらすでしょう

この作品はいかがでしたか?

29

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚