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#ドラマ
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希空がキッチンを離れ
廊下の向こうへ消えていった。
その瞬間だった。
——空気が変わる。
直人と莉乃が
まるでスイッチを切り替えたように
ゆっくりと凪の方へ向き直った。
さっきまでの“優しい兄姉”は、 跡形もなかった。
雨宮 直人
直人が小さく舌打ちする。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
莉乃が苛立った声で言った。
凪は皿を持ち直し、 少し後ずさる。
その動きに、直人が目を細めた。
雨宮 直人
短く、低い声。
凪の足が止まる。
心臓が強く跳ね
胸が苦しいほどきゅっと縮む。
雨宮 直人
直人が近づいてくる。
雨宮 直人
雨宮 直人
凪は首をふる。
雨宮 凪
否定しようとした瞬間。
——ドン。
直人が凪の肩を押した。
倒れるほどではなかったけど、 力は強かった。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
莉乃も横から追い打ちをかける。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
凪の目がじわっと濡れる。
雨宮 凪
声に出せない。
喉が震えて、息が浅くなる。
直人は凪の表情を見て
面白がるように口元をゆがめた。
雨宮 直人
雨宮 莉乃
莉乃が冷たい笑顔で言う。
凪は首を横に振る。
涙をこらえようとして、 唇をぎゅっとかんだ。
それが気に食わなかったのか、
莉乃が一歩近づく。
雨宮 莉乃
顔をぐっと近づけて——
低く囁く。
雨宮 莉乃
凪の背筋がぞわっと震えた。
心臓が痛いくらい速くなる。
直人も続ける。
雨宮 直人
雨宮 直人
その言葉は脅しではなく、 “当然”みたいなトーンだった。
凪は小さく、小さくうなずく。
それしかできなかった。
2人は満足したように鼻で笑い、
その場から離れようとした ——その時。
廊下の向こうから、 軽い足音が聞こえた。
——希空の声。
雨宮 希空
その優しい呼び声が
凪の胸に一瞬だけ温度を灯した。
直人と莉乃が振り返り
一瞬だけ焦ったような顔を見せる。
雨宮 直人
直人が冷たく小声で言う。
雨宮 莉乃
莉乃も釘を刺す。
凪は頷き(うなずき)
ゆっくりと希空の方へ向かった。
足が震える。
でも——少しだけ
呼吸がしやすくなった気がした。
背後では
兄姉が無言で凪を見つめていた。
その視線は
何より冷たく、重かった。