テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

瑠衣

嫌ァァァァァッ!!

瑠衣

はぁ……はぁ……

瑠衣

ゆ、夢、だったの……?

私は自室のベッドで目を覚ました。

瑠衣

(殴られた痛みまでリアルで……震えが止まらない……)

瑠衣の母

おはよう。瑠衣、目が覚めた?

瑠衣

お、お母さん……

瑠衣

ぐすっ、うぇぇ

瑠衣の母

辛かったね……

瑠衣の母

茉莉花ちゃんが目の前であんなことになって……

瑠衣

(そうだった……)

瑠衣

(茉莉花、死んじゃったんだ……)

瑠衣

(それも、あんなに酷い……)

泣きじゃくる私を、お母さんは優しく 抱きしめてくれた。

瑠衣の母

警察の人は、瑠衣に事情聴取したいって。

瑠衣の母

奈々美ちゃんはもう受けたみたいだけど、あなたはもう少し落ち着いてからが良い?

瑠衣

……ゔん

瑠衣

お母さん、ありがと。

ピンポーン

瑠衣の母

あら、宅配便?

瑠衣の母

ちょっと行ってくるね

お母さんの温もりが離れるのを少し 惜しく感じながら、私は布団の中で 丸くなった。

瑠衣

(お母さんに、ちゃんと相談するべきかな……)

瑠衣

(ちひろのこと、綾奈のこと、茉莉花のこと……)

瑠衣

(そして、あの呪いの館のこと)

瑠衣

(とりあえず、携帯はもう見ないようにしよう。)

瑠衣の母

瑠衣ー、お友達がお見舞いに来てるよ

瑠衣の母

冬原さんって子、お手紙も持ってきてくれたみたい。上がってもらうね?

瑠衣

えっ、冬原さん!?

私は慌てて飛び起きると、髪や服を 整えた。

美夜

ごめんなさい、急にお邪魔しちゃって……

美夜

寝てたらこれだけ置いて帰ろうと思ってたんだけど

そう言って冬原さんは紙袋を 差し出した。

瑠衣

あっ、プリン……

美夜

あと、加藤さんから預かったお手紙も入ってるから、後で読んで。

瑠衣

奈々美から?

瑠衣

(手紙なんて珍しいな……)

瑠衣

(あ、奈々美も携帯見れないのか)

瑠衣

わざわざ持ってきてくれたんだ。ありがとう。

美夜

……身体は大丈夫?

瑠衣

うん。まあ。

美夜

貴女が気を失ってる間に、色々あったの。

美夜

如月さんが事故で亡くなってから、半日以上倒れてたんだけど

美夜

その間に警察が学校に来て
ちひろちゃんの件と関係がないか確認していった。

美夜

あと、加賀さんなんだけど

瑠衣

綾奈?病気でずっと家にいたよね

美夜

……今、行方不明なの。

瑠衣

えぇ!?

美夜

親御さんが家に帰ったら居なくなってたんですって。

美夜

未だに帰ってない。

美夜

原因不明の病気でかなり衰弱していたようだから、あまり遠くには行けないはずなのに……

美夜

行きそうな場所全部探しても見つからないって。心当たりない?

瑠衣

……ないよ。

瑠衣

綾奈は、まともに水も食事も取れてなかった。

瑠衣

そんな状態で動き回るなんて、下手したら死んじゃう……

瑠衣

(まさか綾奈も茉莉花みたいに、もう……)

美夜

加藤さんも何も知らないって言って、事情聴取を受けたあとはずっと部屋に引きこもってる。

美夜

家から出たくないし携帯もしまっちゃったから、手紙を届けてほしいって頼まれたの。

瑠衣

そうなんだ……

美夜

中身については何も聞いてない。

瑠衣

(そりゃ、呪いの話なんてしても信じてもらえないよね……)

瑠衣

色々教えてくれてありがとう。

瑠衣

手紙は後で読むよ。

美夜

……そういうことだから、私帰るね

美夜

まだ本調子じゃ無さそうだし、長居しちゃ悪いから。

美夜

プリン、よかったら食べて。

美夜

お大事に。

そう言うと、冬原さんは 帰っていった。

私の手元には、洋菓子店の箱と 可愛らしい封筒が残された。

瑠衣

(奈々美からの手紙、呪いのことかな。それか、今後どうするかって相談)

瑠衣

(私たちのリーダー格だった綾奈はもう居ない。)

瑠衣

(私も、しっかりしなきゃ)

私は意を決して封筒を開いた。

瑠衣へ あんたが呑気に寝てる間に色んなことがあったよ。 茉莉花の死について、最初はちひろの事件と関係あるんじゃないかと思われたけど、現場を調べて事故以外に有り得ないって結論になってる。 綾奈が消えたことについても警察からしつこく聞かれたけど、なにも知らないと言ったら納得してた。 茉莉花たちが呪いで死んだことは、私とあんた以外誰も知らない。

瑠衣

(何だ、冬原さんの言ってたこととほとんど同じじゃん……)

瑠衣

(2枚目には何が書いてあるんだろう)

呪いの館について色々調べてみたら、いくつか分かったことがある。 10年前にあの場所で起こった強盗殺人事件のことや、「おばあちゃんの呪い」や「ママの呪い」の詳細について。 もしかしたら、呪いを解く方法もあるかも知れない。 一緒に考えたいから、今日うちまで来て。              奈々美

外に出るのも怖くて、奈々美の家を訪ねるのは夕方になってしまった。

瑠衣

奈々美、来たよ。

奈々美

……遅いよ。どんだけ寝てたの

瑠衣

ごめん。色々怖くなっちゃって。

奈々美

携帯は置いてきたよね?

瑠衣

うん。電源切って箪笥の奥に入れちゃった。

奈々美

私も、家の金庫に入れちゃった。

奈々美

とりあえず上がって。
親は今出かけてるから。

瑠衣

はぁい、お邪魔しまーす。

瑠衣

それで、呪いについて分かったことって何?

奈々美

……まず、これを見て。

オカ板:ホラースポットまとめ 44 名前:あんたの背後に名無しが…… 投稿日:xxxx年x月x日 T県S市の廃屋、通称「呪讐(じゅしゅう)の館」。 強盗殺人で父母娘の3人家族が惨殺された。 まず母親が台所で絞殺(首の骨折れるまでシメられてたらしい。)、父親が寝室で刺殺、廊下に出てきた7歳の娘は背後から石でぶん殴られたって。

瑠衣

これ、夢にでてきたのと同じ……!!

奈々美

……瑠衣も同じ夢を見たんだ。

奈々美

続きも読んでみて。

45 名前:あんたの背後に名無しが…… 投稿日:xxxx年x月x日 更に、事件の後警察が屋敷を調べたら庭の井戸から白骨が出てきた。 鑑定したらその家の父親の実母の骨だった。 溺死しないよう首から上を板で固定された状態で、飲み物も食べ物も与えられないまま水に浸かり続けて死んだらしい。 白骨は裏返しの着物一枚だけを身につけて、両手の甲と甲を合わせた奇妙な格好だった。 最初は父親が自分の母親を殺したのかと思われていたけど、白骨は発見時すでに死後20年以上経過していた。 当然、幼かった父親に殺害は不可能だから謎のまま終わった。

瑠衣

ひ、ひどい……

奈々美

これ、綾奈の状態と似てない?

奈々美

飲まず食わずで、首から下がずっと水に浸かってた。

奈々美

そう考えると、「おばあちゃんの呪い」の意味もわかるでしょ。

奈々美

その家の父親の実母ってことは、娘にとっておばあちゃん。

奈々美

「おばあちゃんの呪い」を受けた綾奈は、祖母と同じようになる。

奈々美

「ママの呪い」もそう。

奈々美

強盗に殺された母親は、絞殺されて首の骨が折れた。

奈々美

茉莉花と同じ。

瑠衣

じゃあ、あのメールは……

奈々美

撲殺された娘の霊が書いてる、ってことなのかな……

奈々美

こっちのサイトも見て。

オカ板:お前ら祟りって信じる? 1 名前:怪談収集家 投稿日:xxxx年x月x日 ちょっと前に有名になった「呪讐の館」、一家が強盗にやられたって話だけど、その強盗犯は捕まる前に全員怪死してたんだって…… 何でも、その家の父親は強い神通力を持つ巫女?かなんかの血を引いてて、刺されて死ぬ間際に犯人たちを呪ったらしい。 事件の数ヶ月後、3人組の強盗犯は被害者とよく似た死に方をした。 父親は呪いを以って復讐を果たした。 それであの家は「呪讐の館」と呼ばれてるんだとか……

奈々美

これが、あの家についてネットで調べて分かったこと全て。

奈々美

確実にわかるのは、強盗犯達がかけられた「被害者と同じ死に方をする呪い」が私たちにも降りかかったってこと。

奈々美

このままじゃ、私たちみんな死ぬことになる。

奈々美

その前に、何とかしなきゃ

瑠衣

何とか……って?

奈々美

分かんないよ!例えば娘の霊に謝って許してもらう、とか?

奈々美

呪いのメールが来たアドレスに「ごめんなさい」って返信するとか?

瑠衣

無理だよ。最初に来たメールは非公開アドレスだった。

瑠衣

その後綾奈と茉莉花に来たのも同じはず。

瑠衣

返信できないようになってるんだ

奈々美

じゃあどうしろって言うの!?

奈々美

文句ばっか言わないであんたも考えなさいよ!!

瑠衣

……謝るなら、もう一回あの家に行くしかないと思う。

奈々美

ハァ!?

瑠衣

だって、コンタクトを取れそうな手段がそれ以外にないじゃん

瑠衣

あとは、これまでのことを洗いざらい大人に打ち明けてお祓いに行くとか……

奈々美

無理、それこそ無理でしょ!!

奈々美

バカじゃないの!?

瑠衣

(呪いなんて話、誰にも信じてもらえないだろうしな……)

奈々美はしばらく取り乱すと、 深くため息をついて何かを考え始めた

奈々美

……わかった。

奈々美

瑠衣、あんたあの家に行ってきて。

瑠衣

……えっ

瑠衣

一人で?

奈々美

一人で!!分かるでしょ?

奈々美

私の分まで謝ってくるの!!!

瑠衣

な、何言ってるの

瑠衣

やだよ、そんなの

瑠衣

もっと酷い祟りに遭うかもしれないし

瑠衣

怖いよ……

奈々美

言い出しっぺはあんたでしょ?

奈々美

そういう所が昔から気に入らなかったんだよね

奈々美

いつだってオドオドビクビクして、

奈々美

その癖、私たちと一緒にいる時は調子に乗ってて

奈々美

都合が悪くなると陰に隠れて弱いフリ

奈々美

大変なこととか、怖いこととか全部人任せにして!

奈々美

あんたみたいな奴のこと、卑怯者って言うんだ!!

瑠衣

(奈々美、私のことそんな風に思ってたの……?)

思わず涙が溢れた。

それは奈々美にとって余計に腹立たしいことのようだった。

奈々美

泣けば許されると思って、

ピンポーン

チャイムの音が会話を区切った。

宅配業者

お届け物でーす

奈々美

……チッ

奈々美は小さく舌打ちをすると、 乱暴な足取りで玄関を出た。

奈々美

何この小包?私宛て?

 

不在着信

不在着信

瑠衣

……ねぇ、どこかで携帯鳴ってない?

奈々美

嘘、そんなわけ……

着信音は小包の中から流れていた。

瑠衣

こ、これってまさか

 

あらがぬまく

 

いごひまくいもお

瑠衣

イャァァァァ!!!!!

悪夢で聞いた、悍ましい老婆の声が 再生される。

恐怖で耳を塞ぐ私を横目に、 奈々美は必死で小包を開封していた。

奈々美

クソッ!!

奈々美

聞きたくない、聞きたくないのにっ!

奈々美

早く止めなきゃいけないのにっ!

奈々美

何でこんな厳重に梱包されてんのよ!

奈々美が中身を取り出した時には、 既に呪文は最後まで再生されていた。

奈々美

……最ッ悪!!

奈々美は怒りのまま中身を床に 叩きつけた。

瑠衣

……ひゃあっ!!

瑠衣

こ、これ……誰の……?

それはスマートフォンだった。

誰かが血まみれの手で握りしめた、 赤黒い指の跡がべったり残っている。

奈々美

ハァ……本当に、謝りにいくしか……

その時、スマホが小さく震えた。

血で汚れた画面が光り、メール受信の通知が表示される。

件名:呪いのメール 「パパの呪い」

奈々美

あっ……あぁ……

奈々美

やだ……嫌ぁぁぁぁ!!!

瑠衣

あっ、こ、この、写真……

私はそのスマホのロック画面に釘付けになっていた。

メール通知の背後に見えるのは、 間違いなく

遺影と同じ顔で笑う、 ちひろの写真だった……

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚