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雨宮 直人
直人の声が、玄関に響いた。
凪はビクッと肩を揺らし ゆっくりリビングへ向かった。
行かないという選択肢は 最初からなかった。
#ドラマ
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リビングに一歩入ると
直人が凪の背中のランドセルを 乱暴につかみ——
雨宮 直人
投げつけた。
重い音が床に落ちて、凪の胸も 一緒に落ちた気がした。
その横で、莉乃が積み木を 手に取る。
雨宮 莉乃
まるで何もなかったかのように 2人だけの世界を始めた。
凪は少しだけ、積み木に 手を伸ばした。
ただ、仲間に入りたかった だけだった。
しかし——
雨宮 直人
直人の声は冷たく、突き刺さる。
続けて莉乃の悪口が降り注ぐ。
直人も乗る。
2人の言葉がまるで壊れた 蛇口みたいに止まらない。
雨宮 直人
雨宮 莉乃
凪は唇を噛んだ。
涙がじわっと目にたまる。
その時——
外から、車のエンジン音が 止まる音がした。
空気が、一瞬で変わった。
直人と莉乃が黙る。
積み木を、わざと凪の近くに寄せる。
本当にわざとらしく。
雨宮 直人
直人が急に優しい声を出す。
雨宮 莉乃
莉乃も笑顔を作った。
たった数秒で “優しい兄姉” に 変わった2人。
さっきまで凪に浴びせていた言葉が 嘘みたいだった。
お母さんがリビングに入ってくる。
凪の母
その言葉に、 凪は胸の奥がズキンと痛んだ。
雨宮 凪
でも、言えない。
声が出ない。
にぎやかなふりをする2人と
何も言えない凪。
本物の静けさは、凪の中で だけ続いていた。