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#ドラマ
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お母さんが帰ってきてから しばらくして
また玄関のドアが開いた 音がした。
雨宮 凪
凪の胸が少しだけ軽くなる。
この家で、唯一“安全”だと 感じる瞬間だった。
リビングのドア開き 明るい声が響く。
???
高校1年の長男 光希(みつき)の声。
???
中学3年の長女 希空(のあ)の声。
その声だけで、 凪の肩の力が少し抜けた。
リビングに入ってきた2人は、まず
凪を見つけてぱっと表情を和らげた。
雨宮 光希
光希が優しく頭をなでる。
凪は思わず、目を細めて少し笑った。
雨宮 凪
希空も隣にしゃがんで
雨宮 希空
希空は微笑む。
その温度は本当に優しくて
凪の涙腺がゆるむほどだった。
しかし——
凪の後ろに座る莉乃と直人は
2人が帰ってきた瞬間から
“完璧な優等生の顔”に変わっていた。
雨宮 直人
雨宮 莉乃
声まで柔らかく、明るい。
凪はその変わり方の速さに、 胸の奥がきゅっと痛んだ。
雨宮 凪
光希は気づかず
雨宮 光希
と笑った。
その言葉に、凪は思わず視線を落とす。
雨宮 凪
言えない。
喉が固まって声が出ない。
ただ、光希が優しくて
希空が横で心配そうに 凪の顔を見てくれて——
それだけで涙が出そうだった。
希空が少し眉を寄せて
凪の頬に触れた。
雨宮 希空
その一言で、 凪の胸の奥がじん、と熱くなる。
雨宮 凪
莉乃と直人の視線が、 凪の背中に刺さる。
“余計なこと言うなよ”と 言っているような
冷たさで。
凪は小さく首を振った。
雨宮 凪
希空はまだ少し心配そうだったが
雨宮 希空
と台所へ向かった。
光希も凪の頭を くしゃっとして笑う。
雨宮 光希
その優しさが、 凪には救いだった。
でも同時に——
雨宮 凪
胸に重い石が増えたみたいに
息苦しさも少し増えた。
今日もまた
凪の“静かな地獄”は
誰にも見えないままだった。