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20年後の俺からの依頼

第2話 - 20年後の俺からの依頼第2話

3,048

2020年03月12日

#ドラマ

#コメディ

#衝撃のラスト

#不思議

Yume*

≪PM1:00≫

≪殺人事件発生まで残り7時間≫

桜田一星

ただいま！！

桜田一星

おい！親父！

桜田一星

どうしたんだ！？

桜田一星

生きてるか！？

父

おう、一星、おかえり

父

今日の部活の練習は午前で終わりだったか

父

案外早かったな

桜田一星

…うわ、生きてた

桜田一星

さっきのチャット、何だよ？

桜田一星

『助けてくれ！！！』って

桜田一星

あのあといくら電話しても繋がらないしさ！

桜田一星

慌てて帰ってきたんだぞ

父

ああ、あれな

父

スマホがな、壊れてしまったんだ

桜田一星

…は？

桜田一星

それで電話が取れなかったってわけ？

桜田一星

いや待てよ、でも俺にチャットは送れたわけだし…

父

『づ』が、どうしても打てないんだ

桜田一星

…『づ』？

父

一星に教えてもらったとおりに何度打っても、

父

小さい『つ』になってしまうんだ

父

母さんに今月の小遣いをもらってなかったから

父

至急チャットで催促しようとしたのに

父

何度打っても『今月のこっかいくれ』になってしまう

父

国会なんてどうでもいいんだよ！

父

これでは今月の小遣いがいつまでももらえない！！

父

会社帰りにコンビニで酒が買えないなんて死活問題だ！！！

桜田一星

それで俺に助けを求めた…と…

父

ああ、そうだ

父

ちなみに、電話に気づかなかったのは、

父

たぶん10分くらいトイレにこもってたからだな

桜田一星

くそ…心配して損した…！

父

ああ、安物買いの銭失いとはこのことだなぁ

父

やっぱり格安スマホじゃなくて、

父

アイポーンの最新機種にしておくべきだったか

桜田一星

いやいや、そうじゃなくて

桜田一星

それ、スマホ絶対壊れてないし

桜田一星

ちょっと見せて

父

ほい

桜田一星

『つ』をフリック入力した後に、

桜田一星

2回ここを押すの

桜田一星

1回だと小さい『つ』になるの

桜田一星

おーけー？

父

まったく、理解できんな

父

『が』を打つときは1回でいいのに、

父

なぜ『づ』だと2回なんだ？

父

統一性がまるでないじゃないか！

父

だからスマホは嫌いだ

父

文明の利器なんかくそくらえ

桜田一星

はいはい、落ち着いて落ち着いて

桜田一星

あー、くそー

桜田一星

2040年の俺とかいう奴が

桜田一星

『殺人事件を食い止めないとお前の苗字が変わる』なんていうから、

桜田一星

てっきり親父が殺されるのかと思ったのに…

父

うん？

父

俺が何だって？

桜田一星

あ、いや、何でもない

桜田一星

でもさ、親父、ちょっと聞きたいんだけど

桜田一星

誰かの恨みを買った覚えはない？

父

恨みを買った覚え？

父

どうしてそんなことを聞くんだ

桜田一星

いや、別に…

桜田一星

多額の借金をしてヤクザに追われてるとか、

桜田一星

会社で人間関係トラブルを起こしたとか、

桜田一星

心当たりはないかなと…

父

一星は父さんを何だと思ってるんだ！

父

俺は正々堂々生きているぞ

父

借金などしなくて済むように、

父

普段から母さんに厳しく家計を管理してもらってるんだ

父

結果、少ない小遣いにあえいでいる

父

会社でだって、年配だからと威張るどころか、

父

年功序列という言葉が通じない新入社員たちに代わって、

父

デスク脇のゴミ捨てまで進んでやっているんだ

父

恨まれる心当たりなんて一切ない！

桜田一星

ま、そうだよな

桜田一星

親父は人がいいし

桜田一星

…って、親父、会社でどういう立ち位置なんだよ…

桜田一星

新入社員に負けるなって

父

だってあいつら怖いんだもん…

父

ゴミ捨てといてって言ったらパワハラとか言われそうだし…

桜田一星

はいはい

桜田一星

大変な時代だね

桜田一星

…うーん、親父が恨みを買って殺人事件の被害者になるってパターンは

桜田一星

ありえそうにないな…

桜田一星

俺、ちょっと自分の部屋に荷物置いてくるわ

父

ああ、もうすぐ母さんが買い物から帰ってくると思うから

父

そしたら昼飯にしような

桜田一星

はーい

桜田一星

あのさ

桜田一星

…って突然送って、ちゃんと20年後の未来に繋がってんのかなこれ

星一星★-★

大丈夫、見ているよ

桜田一星

ああ、そう…

桜田一星

でさ

桜田一星

殺人事件って、通り魔的なやつじゃないよな？

星一星★-★

通り魔？

桜田一星

俺の苗字が母方の『星』になるとしたら、

桜田一星

少なくとも親父は殺されるんじゃないかと思ったんだけど、

桜田一星

全然殺される理由がなさそうなんだよ

星一星★-★

まあ、親父は人がいいからな

桜田一星

だろ？

星一星★-★

ただ、すまない

星一星★-★

殺人事件の詳細について、私から情報を与えることはできない

星一星★-★

君にこうして連絡を取るので精一杯なんだ

桜田一星

ふーん、そっか

桜田一星

ずいぶんと不自由なんだな

星一星★-★

負担をかけるようですまないが…

星一星★-★

何とか自力で最善の答えを見つけ出してほしい

星一星★-★

少なくとも、殺人事件を防げば、君のフルネームを守れることだけは確かだ

星一星★-★

それは信じてほしい

桜田一星

うん、まあ、頑張るよ

桜田一星

そんなクソダサネームにはなりたくないしな

星一星★-★

くっ…クソダサネーム…

星一星★-★

まあ、そうだよな

星一星★-★

自分でもそう思うからこそ、君に助けを求めた次第だ

桜田一星

あ、母さんが帰宅したみたいだ

桜田一星

両親が殺されて俺が母方の親戚の養子になるってパターンを考えると、

桜田一星

母さんにも事情を聞いたほうがよさそうだよな

母

あら一星、おかえりなさい

桜田一星

母さんも、おかえり

桜田一星

あのさ、ちょっと聞きたいことが――

母

あのね、一星

母

お母さん…大事な話があるの

桜田一星

…え？

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