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ユリウスさんを助け、街に広がる腐敗を目の当たりにしてから、数日が経った。
メグ
メグ
ユリウス
ユリウス
メグ
メグ
メグ
メグ
テルベルで行われる、大展覧会に向けて、ユリウスさんは絵を描き始めた。
ひょっとしたら盗まれるかもしれないと怯えてはいたが、そんな事はなく、今日に至る。
ユリウスさんの顔には、あの二日は何だったのかと思う程、晴れやかな―― と言うには薄曇りだが、それでも笑顔が見られるようになった。
メグ
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ユリウス
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ユリウス
ユリウス
メグ
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ユリウス
メグ
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ユリウス
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メグ
ユリウス
ユリウス
メグ
清々しい笑顔を残して、ユリウスさんはアトリエを後にする。
それを見届けて、私は箒と塵取りを片手に、大きく息を吸い込んだ。
メグ
メグ
メグ
メグ
隔日で行う、アトリエの掃除。
私はこの時間が好きだった。
この森の一部を切り取ったかのような、みずみずしい緑が描かれている物もあれば、抽象的な模様が鮮やかな色彩を纏っている物もある。
素晴らしいのはキャンバスの作品だけではない。 床に積まれたスケッチブックに収められている作品も、ため息が出てしまうほどに完成されたものだ。
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
独り言の答えは、すぐに見つかった。
以前掃除が疎かだった、部屋の隅の棚。
そこに、色の着いた紙片とかした、かつて絵だったものがあったのだ。
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ユリウス
メグ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
メグ
恥ずかしい。どう考えたって恥ずかしい。ただ、気になっただけなんだもの。
そんな言い訳も、ユリウスさんは受け入れてくれた。
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
メグ
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ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
私も?と聞き返そうとした途端。
ピィィイーッ!
メグ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
バタバタとキッチンへ向かっていった彼を見送り、私はひとりごちる。
メグ
そも、私が絵描きである事は、一言も言っていない。
彼の私に対する認識は、『記憶喪失の、珍しい見た目の女性』であり、『もしかしたら文芸か、描画をしていたかもしれない人』でしかないはず。
メグ
メグ
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メグ
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メグ
メグ
昼食後、綺麗にしたアトリエの中。
私達は共に、キャンバスへと向き合っていた。
ユリウス
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
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ユリウス
そして、隠しきれないだろう『描画の経験』を偽る言葉とも。
ユリウス
チクチク痛むこちらの胸のことなど、微塵も知る由もないユリウスさんは、真っ直ぐな視線をこちらへと向けてくる。
メグ
ユリウス
ユリウス
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ユリウス
メグ
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メグ
メグ
などと思ったのも、束の間。
実際にデッサンを始めれば、想像以上に簡単に鉛筆が動いた。
描き慣れたリンゴの球体に沿って、自然と丸みのある線が引かれていく。 シワの入り方も、グラデーションの入れ方も、記憶に濃く染みついている。
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
メグ
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ユリウス
ユリウス
メグ
メグ
ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
ユリウス
ユリウス
ツンと、鼻を刺すような絵の具の臭いが充満する空間に、爽やかな芝草のような香りが紛れ込んでくる。
メグ
そう意識した瞬間、不自然な程の早さで、身体中の血が全身を巡っていく。
メグ
メグ
メグ
メグ
私が俯いているのに気付かない程、ユリウスさんの説明が熱心で良かった。
おかげで、変な表情をしている私を晒す羽目にはならずに済んだのだから。
ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
メグ
ユリウス
ユリウス
メグ
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ユリウス
ユリウス
ユリウス
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ユリウス
ユリウス
メグ
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ユリウス
ユリウス
ユリウス
メグ
ユリウス
ユリウス
メグ
メグ
ユリウス
ユリウス
パタン、と音が鳴って、 一人、取り残される。
暫しの静寂を感じる間もなく、私は自分の右手に鉛筆を握った。
それはもう、力強く。
ユリウスさんに、朧気な輪郭の『気持ち』に触れられないよう、女神に祈るかのように。
ユリウス
思い起こすのは、黒鉛が紙面に走る瞬間。
輝きを秘めた彼女の瞳が、睫毛の影に隠れるその時。伏目となった彼女の姿は、儚くも美しかった。
ユリウス
ユリウス
ユリウス
彼女から得られる安心感は、絵を描く時の心の静寂(しじま)に似ている。
だと言うのに、彼女に近寄れば、激しい波乱が訪れる気もする。
――そんな感情に、思わず胸がキュッと締め付けられる。苦しさ半分、嬉しさ半分。この得も言われぬ気持ちを何と言えばいいのだろうか。
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ユリウス
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク
ゲオルク