テラーノベル
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「久しぶりに会わない?」
あの日の会話履歴を、眺めてた
夢、みたい
お互いに大人になって
もう、話すことも無いかと思ってたのに
向こうから…
……彼から、連絡が来るとは
会話履歴の、その一言に触れる
その瞬間
「ごめん、待った?」
そう後ろから声が聞こえ、思わずスマホを閉じた
「いや、今来たとこ」
そう咄嗟に恋愛小説のようなテンプレが口から出てきた
相手もそう思ったのか
「なに、テンプレみたい」
そう言ってふっと笑った
……あぁ、変わってない
悲しいくらい、何も変わってない
あの日、私が惚れた顔だった
ここで、改めて紹介しよう
今日、待ち合わせをしたのは
私の、初恋の人である
そりゃ、2人とも数年ぶりだ
会話はよく弾んだ
……まぁ、元々よく話していた名残かもだけど
喋り疲れて、飲み物に手を伸ばす
冷たい烏龍茶が染み渡る感覚がする
…ふと、視線を感じて
「…え、なに?どうかした?」
と、聞いてしまった
そんな、見られても困るんだけど…
「……いや、暖かいお茶じゃないんだなって」
「昔、暖かいお茶ばっか飲んでた気がしたから」
「今もそうなのかと思ってた」
まぁ好みなんて変わるよな〜、と
彼は独り言のように呟いた
……まだ、この歳になっても
彼の、こういう所が好きなのだ
「……暖かいお茶、飲もうかな」
そういい、椅子から立つ
「……うん、やっぱりぽいね」
そう言って、笑った彼に
私は、過去を重ねていたのだろう
「……いい気分の時しか飲まないようにしてるの」
「今日は、緊張してたからね」
そういい、逃げるようにテーブルから離れた
あぁ、気が狂う
けど、心地いい
彼の声も、仕草も、話し方も
全てが、懐かしい
あぁ、最低だ、私
……いつまで、引きずるんだよ
隣の席の女の子は、いつも暖かいお茶を飲む子だった
大人しく、だけど、自我はしっかりとあって
俺を見る、その目が
きらきらして、綺麗だった
彼女の、聞き上手な感じが好きだった
話していて、楽しかった
あぁ、もっと早く気がつけば
……どんな女性も、彼女と比べた
……盲目か?俺
あの時、もう、既に
あれが、初恋だったのだ
そう思い、1人のテーブルに突っ伏す
ため息をついた時
「…何してるの?」
頭の上から聞こえた声で、目を覚ます
……うん、やっぱり綺麗な、目だと思った
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