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去年

潤間若葉

え?お兄ちゃん?

潤間若葉

もう一回言ってくれる?

潤間朝日

だから!

潤間朝日

俺がダメな不良を
演じればいいんだよ

潤間若葉

なに・・それ

潤間朝日

俺が顔に傷を作って
登校したらさ

潤間朝日

最悪・・虐待されてるって
噂が学校で広まるだろ?

潤間若葉

う、うん・・・

潤間朝日

でも俺が──

潤間朝日

金髪でピアス開けてて

潤間朝日

タバコを吸ってる様な
ヤンキーだったら

潤間朝日

喧嘩してきたんだ!
って思われると思うんだ

潤間若葉

ダメだよ!そんなの!

潤間朝日

なんで?

潤間若葉

だってそんな事したら

潤間若葉

お兄ちゃんが先生から
目をつけられちゃう

潤間朝日

それは好都合だよ!
むしろそれが
目的なんだし!

潤間若葉

お兄ちゃん・・・

潤間若葉

ぐすっ・・・

潤間朝日

これは若葉を
護る為なんだ!

潤間朝日

そして俺が卒業
するまで耐えて

潤間朝日

俺が卒業したら
一緒に暮らそう!

潤間朝日

な?若葉!

潤間若葉

お兄ちゃん・・・

潤間朝日

そして俺と若葉が
18歳になったら

潤間朝日

結婚しよう!

八雲賢斗

け、け、結婚!?

椿茉莉奈

結婚・・するの?

潤間若葉

は、はい・・・

八雲賢斗

いや出来ないだろ?

暁月富士男

いや、親の再婚で
兄妹になったんなら

暁月富士男

血縁関係がなく
義理って扱いだから
結婚は出来たはずだ

八雲賢斗

え?そうなんですか?

潤間若葉

私・・・

潤間若葉

お兄ちゃんの事

潤間若葉

ずっと好きだったんです

八雲賢斗

・・・・・

潤間若葉

でも諦めてました

椿茉莉奈

兄妹だから?

潤間若葉

は、はい・・・

潤間若葉

でも私たちなら
結婚できるんだって知って

椿茉莉奈

なるほど・・・

潤間若葉

そしてお兄ちゃんに
思い切って話を
してみたんです

潤間若葉

ねぇ、お兄ちゃん・・

潤間朝日

ん?どうした?

潤間若葉

私たちってさ・・・

潤間若葉

血・・繋がって
ないじゃん?

潤間朝日

え?まぁ、うん
そうだな・・・

潤間若葉

私たちみたいに
親の再婚で兄妹に
なった場合は

潤間若葉

結婚できるんだってさ

潤間若葉

知ってた?

潤間朝日

ああ・・知ってるよ

潤間若葉

え?知ってたの?

潤間朝日

ああ・・前に
調べた事があるんだ

潤間若葉

調べたの?何で?

潤間朝日

あ、いや・・それは

潤間朝日

えっと・・その

潤間若葉

もしかして・・さ

潤間若葉

お兄ちゃんって・・さ

潤間若葉

私の事・・・さ

潤間若葉

好きだったりする?

潤間朝日

あ、いや、それは、その

潤間若葉

私は・・お兄ちゃんの事

潤間若葉

好き・・・

潤間若葉

大好き・・・

潤間朝日

若葉・・・

潤間若葉

お兄ちゃんは?

潤間若葉

私の事・・嫌い?

潤間朝日

・・・・・

潤間朝日

好きだよ・・・

潤間若葉

え?

潤間朝日

出会った時から
若葉の事が好きだった

潤間若葉

お、お兄ちゃん・・・

潤間朝日

けど兄妹だからって
諦めてた・・・

潤間朝日

けど色々調べてたら
結婚出来るって分かった

潤間若葉

・・・・・

潤間朝日

でも・・俺が一方的に
若葉の事好きなだけで

潤間朝日

若葉は違うかもって
自分の気持ちを
押し殺してた・・

潤間朝日

この気持ち・・・

潤間朝日

不用意に伝えたりしたら

潤間朝日

俺たちの兄妹関係に
ヒビが入ると思って

潤間若葉

私も同じだった・・・

潤間朝日

若葉・・・

潤間若葉

でも違うんだよね?

潤間若葉

お兄ちゃんと私・・・

潤間若葉

同じ気持ち
だって事だよね?

潤間若葉

両思いだったって事で
いいんだよね?

潤間朝日

あ、ああ・・・

潤間若葉

お兄ちゃん!

若葉は涙を流しながら 朝日に抱きつく

潤間若葉

嬉しい・・・

潤間若葉

私・・生まれてきて
今が一番嬉しいよ

潤間朝日

俺もだよ・・若葉

潤間朝日

まだ生きてきて
16年くらいの
子供だけど

潤間朝日

生まれて初めて
こんなに人を好きになった

潤間朝日

ずっと一緒に
居たいって思った

潤間若葉

私も・・同じ

潤間朝日

若葉・・愛してる

潤間若葉

私も・・愛してる

2人は誰も居ないリビングで 初めての口付けをかわした

潤間若葉

それからお兄ちゃんは

潤間若葉

ピアスを開けて髪を
金髪に染めたんです

椿茉莉奈

不良を演じる為にね

潤間若葉

はい・・・

潤間若葉

そうやって
虐待に耐えながら

潤間若葉

私たちが一緒に
暮らした時の為に

潤間若葉

アルバイトをしながら
貯金してくれてたんです

暁月富士男

なるほど・・・

暁月富士男

潤間がバイトを
掛け持ちしていたのは
そう言う理由があったのか

潤間若葉

けど・・そのお金を
お父さんが勝手に
使っちゃって

潤間若葉

今日みたいな事に・・・

八雲賢斗

なるほど・・・

八雲賢斗

2人の為に貯金していた
お金を使われた事で
逆上したのか・・

潤間若葉

そうじゃないです

八雲賢斗

え?

潤間若葉

お父さんが貯金してる
通帳を見つけた時

潤間若葉

私も家に居たんです

椿茉莉奈

そうだったの・・・

潤間若葉

私・・護りたかった

潤間若葉

私はずっと護られて
ばっかりだったから

潤間若葉

せめてお兄ちゃんの
お金くらいは
護ろうって思って

潤間若葉

お父さんから
通帳を奪いました

八雲賢斗

・・・・・

潤間若葉

けどその時に初めて
お父さんから殴られました

暁月富士男

なるほど・・・

暁月富士男

貯金に手を
つけられた事ではなく

暁月富士男

妹が傷つけられた事が
潤間にとって何よりの
怒りだった訳か・・・

潤間若葉

は、はい・・・

椿茉莉奈

どこまでも妹が
第一なのね・・・

椿茉莉奈

潤間くんって・・・

潤間若葉

自慢の兄──

潤間若葉

いや──

潤間若葉

自慢の将来の
旦那さんです

椿茉莉奈

ふふふ

八雲賢斗

こんな妹が欲しかったよ

椿茉莉奈

八雲先生?

椿茉莉奈

それセクハラ!

八雲賢斗

え?今のが?

八雲賢斗

違うよな?潤間さん

八雲賢斗

今のはその──

潤間若葉

セクハラです

八雲賢斗

え!?ま、まじ!?

暁月富士男

明らかに
セクハラだろ?

暁月富士男

今のご時世は
何かとうるさいからな

八雲賢斗

容赦無く生徒を
殴る教師にだけは
言われたく無いですね

暁月富士男

な、何を!?

椿茉莉奈

まぁ、それは一理あるわね

暁月富士男

ま、まぁ、確かに・・・

潤間若葉

ふふふ

椿茉莉奈

でも潤間さん?

潤間若葉

はい?

椿茉莉奈

ちょっと

茉莉奈は若葉に顔を近づける

椿茉莉奈

その・・まだ
してはないのよね?

潤間若葉

え?何を?

椿茉莉奈

いや・・その

椿茉莉奈

エ◯チ

茉莉奈は小声で囁く

潤間若葉

ああ・・・

椿茉莉奈

え?まさかしたの?

潤間若葉

まさか!してませんよ!

潤間若葉

お兄ちゃんが
私が卒業するまでは
絶対にしないって

潤間若葉

お兄ちゃんは
軽々しくする様な
人じゃないんで

椿茉莉奈

そう・・なら
良かった

潤間若葉

ふふふ

八雲賢斗

あの?椿先生?

八雲賢斗

さっきかな何をコソコソ
話してるんです?

椿茉莉奈

こっちの話よ

椿茉莉奈

気にしなくて良いわ

椿茉莉奈

ね?潤間さん!

潤間若葉

はい(笑)

八雲賢斗

えー!?
何ですか!それ!

八雲賢斗

そんな事言われたら
余計気になりますよ

椿茉莉奈

それ以上聞くなら
教育委員会にセクハラで
訴えるわよ?良いの?

八雲賢斗

うわっ!出た!
またセクハラ!

八雲賢斗

もう!分かりましたよ!

八雲賢斗

聞きませんから!

潤間若葉

ふふふ

潤間朝日

う、うー・・ん

皆が笑い混じりの談笑をしていると

横のベッドで眠っていた 朝日が目を覚ました

潤間朝日

こ、ここは・・どこだ?

潤間若葉

お兄ちゃん!?

潤間若葉

私の事・・分かる?

潤間朝日

若葉?

潤間朝日

ここは?

朝日は辺りを見回しながら ゆっくりと体を起こす

潤間若葉

病院だよ?

潤間朝日

病・・院?

潤間朝日

俺・・どうしてたんだ?

八雲賢斗

目が覚めたみたいだな

潤間朝日

八雲先生?

八雲賢斗

俺が潤間の家に
行った事は覚えてるか?

潤間朝日

うっすらとなら・・

八雲賢斗

あれから
救急車を呼んでな

八雲賢斗

潤間は手術を
してもらったんだ

潤間朝日

手術を・・・

椿茉莉奈

あばらが何本が折れてて
内臓も傷ついてたの

潤間朝日

そう・・だったんですか

潤間若葉

ごめんね・・
お兄ちゃん・・

潤間若葉

私の為に・・こんな

潤間朝日

いつも言ってるだろ?

潤間朝日

若葉は何も悪く無い

潤間朝日

謝らなくて良い

潤間若葉

うん・・・

潤間若葉

ぐすっ・・・

潤間朝日

それと・・アイツは?

八雲賢斗

お父さんの事か?

潤間朝日

は、はい・・・

八雲賢斗

今は警察署で
事情聴取を受けてる

潤間朝日

警察に・・・

それを聞いた朝日は安心したのか 全身の力が抜けた様に その場に横たわる

潤間若葉

お兄ちゃん!?

潤間若葉

大丈夫!?

潤間朝日

もう・・終わったのか?

朝日の目からは 大量の涙が溢れ出る

潤間若葉

お兄ちゃん・・・

潤間朝日

もう・・耐える必要
無いんだな・・・

潤間若葉

うん・・・

潤間若葉

ぐすっ・・・

潤間朝日

良かった・・・

潤間朝日

ぐすっ・・・

潤間朝日

ごめんな・・若葉

潤間朝日

こんな泣き顔・・・

潤間朝日

見たくないよな・・・

潤間若葉

何いってんの!?

潤間若葉

私の前でくらい
弱い部分見せてよ

潤間若葉

家族でしょ!?

潤間若葉

結婚するんでしょ!?

潤間朝日

バ、バカ!若葉!

潤間朝日

先生たちの前で!

暁月富士男

話は全部
妹から聞いたよ

潤間朝日

きょ、教頭先生!?

暁月富士男

悪かったな潤間・・・

暁月富士男

お前が抱えてる物に
気づいてやれなかった

暁月富士男

本当にすまなかった

暁月富士男

申し訳なかった

富士男は深々と頭を下げる

潤間朝日

よしてください

潤間朝日

俺の方こそ反抗して
失礼な事ばかり・・・

潤間朝日

申し訳ありませんでした

朝日は起き上がり 頭を下げようとする

暁月富士男

いいんだ!
そんな事するな!

暁月富士男

今は自分の体を
第一に考えるんだ

潤間朝日

は、はい・・・

潤間朝日

ありがとうございます

暁月富士男

なんだか、変な気分だな

暁月富士男

こんな素直な潤間は

暁月富士男

だがこの潤間が
本来の潤間なんだよな

椿茉莉奈

ふふふ

潤間朝日

あはは・・・

椿茉莉奈

それと潤間くん?

潤間朝日

はい?

椿茉莉奈

こんな状況で
考えられないとは
思うんだけど

椿茉莉奈

これからの事
どうする?

潤間朝日

これから・・・

椿茉莉奈

このまま行けば
あなたたちのお父さんは
間違いなく刑務所に入る

潤間朝日

はい・・・

椿茉莉奈

そうなると
あなたたち2人だけで
生活する事になるわよね?

潤間朝日

そ、そうなりますね

椿茉莉奈

確かに潤間くんは
バイトを掛け持ち
してるかもしれない

椿茉莉奈

けどそれだけだと
生活費に加えて
学費までってなると

椿茉莉奈

流石に厳しいと
思うのよね・・・

潤間朝日

確かにそうですね

椿茉莉奈

私の知り合いにね

椿茉莉奈

施設を管理運営してる
人が居るんだけど

椿茉莉奈

妹ひとり分くらいなら
空きがあるらしいの

椿茉莉奈

その人に言えば──

潤間若葉

待ってください!

潤間若葉

それってつまり

潤間若葉

お兄ちゃんと離れて
暮らすって事ですか?

椿茉莉奈

その施設は市内だから
転校まではする
必要は無いから

椿茉莉奈

だから学校はそのまま
通ってもらって

椿茉莉奈

暮らす場所が別々に──

潤間若葉

そんなの嫌です

若葉は立ち上がり 茉莉奈に詰め寄る

椿茉莉奈

あなたの気持ちは
痛いほどわかるわよ?

椿茉莉奈

けどね?あなたが頭で
考えている以上に

椿茉莉奈

2人だけの生活には
想像以上の弊害が
数多くあるのよ?

潤間若葉

だったら私も
アルバイトします

潤間若葉

私だって
お兄ちゃんの
支えになれます!

潤間朝日

若葉・・・

潤間若葉

昔とは違うんです!

潤間若葉

ぐすっ・・・

潤間若葉

もうお兄ちゃんに
おんぶに抱っこな
子供じゃありません!

暁月富士男

あの・・
ちょっと良いかな?

椿茉莉奈

はい?

椿茉莉奈

どうかされした?

暁月富士男

あの・・な

暁月富士男

その・・もし
2人が嫌じゃなければだな

暁月富士男

妹が卒業するまでの間

暁月富士男

ウチで暮らすのはどうだ?

潤間朝日

ウチ?

暁月富士男

私の家だ

潤間朝日

え!?

潤間朝日

教頭先生の家で!?

朝日は富士男からの 予想外の提案に驚く

潤間若葉

教頭先生・・・

暁月富士男

まぁ、無理にとは言わない

暁月富士男

たがな・・潤間が
ウチに居てくれれば

暁月富士男

その・・妻も
喜ぶと思うんだ

潤間朝日

妻?それって
教頭先生の?

暁月富士男

ああ・・・

椿茉莉奈

なぜ潤間くんたちが
教頭先生のウチで暮らすと

椿茉莉奈

奥さんが喜ぶんですか?

暁月富士男

あの・・なんだ

暁月富士男

一応、今こっちに
向かってもらってるから

暁月富士男

詳しい話は妻が
来てからでも良いか?

潤間朝日

は、はい・・・

潤間朝日

(どういう
意味なんだろ?)

潤間朝日

(俺・・教頭先生の
奥さんなんて
知らないけど・・)

潤間若葉

ねぇ?お兄ちゃん?

潤間若葉

教頭先生の奥さんって
どんな人なの?

潤間朝日

いや、知らないよ

潤間若葉

え?知らないの?

潤間若葉

会った事あるん
じゃないの?

潤間朝日

いや、無いんだよ

潤間朝日

だから不思議なんだよ

潤間若葉

どういう事?

潤間朝日

さぁ・・・

潤間朝日

まぁ、とりあえず
ここに来るらしいから

潤間朝日

待ってみようよ

潤間若葉

そうだね・・・

それから皆は 富士男の発言を 不思議に思いながらも

富士男の妻なる女性が 来るのを待っていた

すると病室に 着信音が鳴り響く

暁月富士男

あ、私だ

富士男はそう言うと スマホを手にして電話に出る

暁月富士男

ああ・・

暁月富士男

分かった・・・

暁月富士男

部屋は506だ

暁月富士男

ああ・・・

暁月富士男

分かった・・・

富士男は淡白なやり取りを終えると

暁月富士男

もう病院に着いたらしい

暁月富士男

もう少し
待っていてくれ

潤間朝日

はい・・・

潤間朝日

分かりました・・・

Mask of the Delinquent

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