5年前のあの日
親友と同じ人を好きになった
でも、好きな人には恋人がいて
私たちの入る隙間なんてどこにもなくて
ただ、途方もなく虚しかった
そんな好きな人も
その年に死んでしまった
ただ呆然と死というのを見つめるだけで
何も出来なかった自分が不甲斐ないと痛感したのを覚えている
毎年、命日には墓参りに行く
今でも貴方のことが好きで
貴方が死んで以来親友と喋っていない
先に先客がいたようで
好きな人の墓の前で煙草を吸っていた
独特な匂いがこちらにも届く
何故か分からないけど
その人に話しかけようとして、止まった
「…なんだ、まだ、忘れないんだ」
煙草を吸っていた人がこちらを向く
「…まだ、好きなんだ」
そこには、元親友がいた
私と同じように、左手の薬指は空いたままだ
そしてその目は私と同じように
好きな人に取り憑かれに来た目をしていた
ぽちゃんと水が跳ねる音が聞こえて
私と元親友の線香の火は消えた
コメント
3件
親友と同じ人を好きになって好きな人の死をきっかけに疎遠になったにも関わらず再会出来た、ってことはもう運命じゃん……!!きっと語り手さんと親友は強い何か…絆で結ばれてるんだろうな……😳😳 しかもお墓参りの目的が好きな人に取り憑かれに来た、っていう同じ目的ってのもいいなって思う!!だからこそ2人には2人の幸せを掴み取って欲しい……💭