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#ドラマ
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放課後。
友達と別れてひとりになった瞬間、
凪の胸の中に、ずしんと重いものが 落ちてきた。
家へ向かう道は、
いつもの道なのに、
今日はやけに長く感じる。
足を一歩出すごとに、
胸がふっとざわつく。
雨宮 凪
そう思った瞬間、
呼吸がすこしだけ苦しくなった。
胸の奥がぎゅっと縮むような感覚。
“昨日の続き”
“今朝の試し”
それが頭の中で嫌な形を作る。
校門から遠ざかるほど、
凪の歩幅は小さくなった。
雨宮 凪
心の中で何度もつぶやいてしまう。
自分でも止め方が分からなかった。
家の影が見えた瞬間、
凪の体がピタリと止まった。
玄関の前で、
息が浅くなる。
雨宮 凪
そう言い聞かせるけれど、
体は全然言うことを聞かなかった。
けれど、入るしかない。
凪は震える手でドアを開けた。
直人・莉乃 「おかえり〜凪!」
明るい声がした。
直人と莉乃が、 にこにこと笑っていた。
その笑顔を見た瞬間、
凪の背中に冷たいものが走る。
2人とも“表”の顔。
でも、その目は笑っていなかった。
莉乃が首をかしげて言う。
雨宮 莉乃
直人も続ける。
雨宮 直人
雨宮 直人
雨宮 直人
凪の心臓がどくんと跳ねた。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
莉乃がじっと凪の顔を見る。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
それが試しの内容だった。
凪は小さくうなずいた。
雨宮 凪
言われなくても分かる。
直人が急に凪の側に来て、
耳元で小さくつぶやいた。
雨宮 直人
凪は、息が止まりそうになる。
でも——
泣かない。
声も出さない。
代わりに、小さな笑顔を作った。
雨宮 凪
その笑顔は震えていた。
莉乃が楽しそうに拍手する。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
直人が凪のランドセルの 肩ひもを軽く引っ張る。
痛いほどじゃない。
けれど“わざと”だと分かる。
雨宮 直人
凪はまた笑った。
ぎこちない、小さな笑顔。
涙はこらえた。
それを見て、
兄姉は静かに満足げに目を細める。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 直人
“泣いたらどうなるか”は言わない。
でも凪には分かっていた。
直人と莉乃は顔を見合わせて、 にやりと笑う。
まるで、
この“試し”がまだ序章にすぎないと 言わんばかりに。
雨宮 凪
凪はそう感じた。
部屋の空気が、
これからさらに冷たくなる 予感だけが
静かに漂っていた。