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暁月富士男

潤間は一体
どうなってるんですか?

八雲賢斗

あ、いや・・・

暁月富士男

担任であるあなたが
そんな弱気だから

暁月富士男

あのクズが
つけあがるんだ!

暁月富士男

担任なら担任らしく
厳しく指導を
してください!

八雲賢斗

ですが潤間にも
何か事情が──

暁月富士男

事情があったら
非行に走っても良いと?

暁月富士男

喧嘩や喫煙も
致し方ないと?

暁月富士男

八雲先生は
そう仰るんですか?

八雲賢斗

いや、そういう
訳では・・・

暁月富士男

もう、あなたには
任せられません!

暁月富士男

私が直接潤間の自宅に
行ってきます

八雲賢斗

あ、いや、それは
俺が──

暁月富士男

あなたには
任せられ無いと
言っているんです!

暁月富士男

住所を教えてください!

八雲賢斗

ですが──

暁月富士男

さっさと住所を
教えろと言っているんだ!

八雲賢斗

は、はい・・・

八雲はデスクの引き出しを開けて

八雲賢斗

こ、これです・・・

朝日の生徒資料を 富士男に手渡す

暁月富士男

ふむ

暁月富士男

分かりました

暁月富士男

では今日の放課後に
行ってきます

八雲賢斗

は、はい・・・

暁月富士男

あと、くれぐれも
潤間に私が行く事を

暁月富士男

伝えたりしないで
下さいね?

八雲賢斗

わ、わかってます・・

その日の放課後

暁月富士男

確かこの辺りだよな?

富士男は生徒資料に 書いてあった住所を頼りに

朝日の自宅へ向かっていた

暁月富士男

この辺のはず・・・

富士男が辺りを見回しながら 歩いていると

潤間朝日

・・・・・

一軒家から朝日が出てくる

暁月富士男

(潤間・・・)

朝日は何処か目的地があるのら スタスタと歩いていく

暁月富士男

(どこへ行くきだ?)

暁月富士男

(まさかよからぬ事を
しようとしているのか?)

暁月富士男

(もしそうなら
証拠を押さえて
退学に追い込んでやる)

富士男は抜き足差し足で 朝日を尾行する

しばらく朝日の尾行を続ける富士男

すると朝日は とあるスーパーに入っていく

暁月富士男

(スーパー?)

暁月富士男

(なんだ・・・
ただの買い物か)

暁月富士男

(いや、まだ
安心はできない)

暁月富士男

(酒やタバコを
買う可能性だってある)

暁月富士男

(もうしばらく
様子を見よう)

富士男も朝日に続いて スーパーに入店する

暁月富士男

(潤間はどこだ?)

暁月富士男

(見当たらないな)

富士男は店内を見渡すが 朝日の姿が見つけられない

暁月富士男

(どこに行ったんだ?)

富士男が首を傾げていると

潤間朝日

いらっしゃいませー

朝日の声が聞こえてきた

暁月富士男

(潤間?)

暁月富士男

(潤間はバイトを
しに来てたのか)

暁月富士男

(バイト中は
辞めた方がよさそうだな)

暁月富士男

(潤間に話をするのは
またの機会に──)

富士男が立ち去ろうとすると

女の子

ぐすっ・・・

泣きながら店内を うろつく女の子が視界に入る

暁月富士男

(ん?迷子か?)

暁月富士男

(まったく親は
何をやってるんだ!)

富士男がそう思っていると

その女の子に 朝日が近づいていく

暁月富士男

(ま、まずい!)

暁月富士男

(潤間が女の子に!)

暁月富士男

(アイツの事だ!)

暁月富士男

(あの女の子に
何か酷い事を)

富士男が朝日を 止めようと身構える

潤間朝日

どうしたの?

朝日は腰を引くして 女の子に優しく語りかける

女の子

え?

女の子は不安な眼差しで 朝日を見つめる

潤間朝日

あ、ごめん
怖がらせちゃった?

女の子

・・・・・

女の子は黙って首を横に振る

潤間朝日

もしかしてさ
ママやパパと
はぐれちゃった?

女の子

う、うん・・ぐずっ

潤間朝日

そっかそっか

朝日は女の子の頭を 優しく撫でる

潤間朝日

ならさ!
呼んでもらおっか?

潤間朝日

ね?

女の子

呼ぶ?

潤間朝日

あれ分かる?

朝日は天井に備え付けてある スピーカーを指差す

女の子

す、すぴーかー?

潤間朝日

そう!そう!
スピーカー!

潤間朝日

よく知ってるね!

潤間朝日

あのスピーカーで
ママやパパを
呼んでもらうから

女の子

呼べるの?

潤間朝日

うん!呼べるよ!

潤間朝日

あのスピーカーはね

潤間朝日

お店の色んなところに
もう、いーっぱいあるから

潤間朝日

スピーカーで
呼んでもらえば

潤間朝日

すぐにママやパパが
来てくれるよ!

女の子

ホント!?

優しく語りかける朝日に 最初は警戒していた女の子の表情が パッと明るくなる

潤間朝日

ホント!ホント!

潤間朝日

もうすぐにビュン!
って来てくれるよ

潤間朝日

だから今から
お兄ちゃんと一緒に

潤間朝日

ママとパパを
呼んでくれる

潤間朝日

優しいお姉さんが
居る所に行こうか

潤間朝日

ね?

女の子

うん♬

潤間朝日

歩ける?

潤間朝日

抱っこしよっか?

女の子

抱っこ・・する

潤間朝日

よし!なら
一緒に行こっか?

女の子

うん♬

朝日はそう言うと 女の子を抱き抱えて歩いていく

暁月富士男

・・・・・

暁月富士男

・・・・・

一部始終を見ていた富士男は 呆気に取られた様に その場で立ち尽くしていた

暁月富士男

(潤間・・・)

暁月富士男

(あんな笑顔で
笑う奴だったのか?)

富士男が棒立ちしていると 1人の中年女性が話しかけてける

暁月麗

あなた?

暁月麗

何やってるの?
こんなところで

暁月富士男

え?麗(うらら)?

話しかけて来たのは 富士男の妻、暁月麗 (あかつきうらら)だった

暁月富士男

何やってんだ?

暁月麗

いやぁね、スーパーに
居るんだだから

暁月麗

夕飯の買い出しに
決まってるでしょ?

暁月富士男

ああ、そうだよな
確かに・・・

暁月富士男

あはは・・・

暁月麗

変な人ね

暁月麗

というかアナタこそ
何やってんのよ?

暁月富士男

ああ、お、俺も
夕飯の買い出しに

暁月麗

はぁ?夕飯?

暁月麗

作らないくせに?

暁月富士男

いいだろ別に

暁月麗

まぁ、いいけど

暁月麗

ならせっかくだし
荷物持ちでもやって
もらおうかしら

暁月富士男

ああ・・わかったよ

富士男がそんな会話をしていると

潤間朝日

・・・・・

迷子を送り届けた朝日が 持ち場に戻ってくる

暁月富士男

(潤間・・・)

暁月麗

あ!

すると急に 麗が声を張り上げる

暁月富士男

なんだよ?
大声出して

暁月麗

ちょっと待ってて?

暁月富士男

え?

麗はそう言うと 朝日に向かって歩いていく

暁月富士男

(え?潤間?)

暁月富士男

(なんで麗が潤間に?)

暁月麗

ちょっと!

麗が朝日の肩を叩く

潤間朝日

え?

暁月麗

あ!やっぱり
潤間くんだった!

暁月麗

私よ!分かる?

潤間朝日

あー!ガソリン
スタンドに来る常連の!

暁月麗

そう!そう!

潤間朝日

あーどうも!

朝日は頭を下げる

暁月麗

スーパーでも
バイトしてたのね?

潤間朝日

えぇ・・まぁ

暁月麗

高校生なのに
大したもんよね

暁月麗

おばちゃん
感心するわ

潤間朝日

あはは・・ありがとう
ございます

朝日は照れた様に笑う

暁月麗

それにまた
そんなに顔に傷なんか
作っちゃって

暁月麗

はい!よかった
使って!

麗は朝日に絆創膏を手渡す

潤間朝日

あ、すいません

暁月麗

あまりご家族に
心配かけちゃダメよ?

暁月麗

なら私は行くわね

暁月麗

仕事中に邪魔
しちゃ悪いし

潤間朝日

いや、邪魔だなんて

暁月麗

頑張ってね

潤間朝日

ありがとうございます

暁月麗

ごめんなさいね

暁月麗

知った子が
居たもんだからね

暁月富士男

知った子ってお前
潤間と知り合いなのか?

暁月麗

あら?アナタも
潤間くんの事
知ってるの?

暁月富士男

知ってるも何も
ウチの生徒だよ!

暁月麗

あら?そうなの?

暁月麗

あの子凄いわよね

暁月富士男

え?

暁月麗

駅前のガソリン
スタンドでもバイト
してるのよ?

暁月富士男

ガソリンスタンド?

暁月麗

何でも妹さんの為に
お金を稼ぎたいそうよ

暁月麗

多分大学にでも
行かせてあげたいのね

暁月麗

若いのに
大したもんよね

暁月富士男

(潤間が・・・)

暁月麗

見た目はちょっと
怖い感じだけど

暁月麗

とっても良い子よね

暁月麗

学校でもそんな感じ?

暁月富士男

あ、ああ、ま、まぁ

富士男は戸惑いながら しどろもどろな返しをする

暁月麗

何よ!その
テキトーな返事は

暁月麗

まぁ、いいけど

暁月富士男

(潤間が妹の為に
バイトを掛け持ち)

暁月富士男

(それにさっきの
迷子に対しての笑顔)

暁月富士男

(あれは作り笑顔
なんかじゃ無い)

暁月富士男

(純粋な笑顔だった)

暁月富士男

(私のイメージ
する潤間と)

暁月富士男

(麗がイメージする潤間)

暁月富士男

(この違いは何だ?)

Mask of the Delinquent

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