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Jasmine
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――正式に早坂との交際が始まって、半年が過ぎた。
彼は今の店舗で、そして私は異動先の店舗で、お互い新人店長として、多忙の日々を送っている。
そして同時進行で、結婚準備の話も進めている。
交際期間はまだ短いけど、結婚を視野に入れた交際として、お互いの両親には既に報告済みだ。
店長としての経験がまだ浅い私達。
正直、結婚はもう少し先の話だと考えていた。
店長業務でいっぱいいっぱいな毎日で、将来のことまで思考が回らなかった。
……けれど、私の家族が結婚を急かした結果、こうなった。
こっちの都合も考えてほしいのに。
日取りや式場はまだ決まっていない。
早坂との最近の話題は、結婚式を挙げる時期。
忙しさを増すクリスマスや年末年始は避けたいね、なんて話し合いを続けているけれど。
現状、話は全く進展していない。
七瀬母
電話で母親に相談したら即答された。
遥
不満げに訴えても、母は一切怯まない。
七瀬母
遥
挙式月は慎重に考えなきゃいけない。
こっちの仕事の都合もあるし、家族やゲストの都合、会場の空いている時期、それらを考慮しながら最適な時期を決めるのは難しい。
特に私達のような職種は、初夏に向かうにつれて店舗の集客が伸びてくる。
夏季の準備もしなければならないし、6月はそれなりに忙しい。
だから夏は避けたい、というのが私の考えだったけど、それを告げたところでやっぱり母は引かなかった。
七瀬母
遥
遥
七瀬母
遥
七瀬母
七瀬母
つまらなさそうに言われても困る。
結婚をするのは貴方じゃなくて、私なんですけど。
遥
遥
七瀬母
七瀬母
遥
七瀬母
七瀬母
七瀬母
遥
――プツン。
無言で通話を切ってやりました。
遥
とても恥ずかしい話をすると、我が家はスーパーポジティブ一家だ。
父親は普通だけど、母親と祖母がパワフルすぎる。 イケメン好きの婆がタッグを組んでいるようなものだ。
その2人が今、早坂沼にハマってる。
結婚の挨拶をする為に実家へ戻った際、彼に一目惚れしたらしい。
以来、この様だ。 通話の度に「一沙に代われ」コールが凄まじい。
我が身内ながら恥ずかしい。
早坂
ちょうどいいタイミングで早坂…… もとい、一沙がバスルームから戻ってきた。
ビールとスマホを片手に、私の隣に腰を下ろす。
改めて見ると、本当に整った顔立ち。
母と祖母が惚れこんでしまうのも納得はいく。
ちなみに北海道旅行も兼ねて、一沙のご家族にも会いに行ってきた。
これから訪れる甘い時間に心が躍る。
今夜はきっと――…… ううん、これからもずっと。
彼からたくさん愛されるだろうことを願いながら、私は瞳を閉じた。
fin.
一沙の実家は道北地方の豪雪地帯。
真冬は積雪量が凄まじく、まさに極寒の地。
右を向けば山、左には海という超絶自然の大地。
春先に訪れたというのに、とんでもない量の雪が解けきれずに残っていた。
でも道中、リスやらウサギやらキツネ達がコンニチワしてきて、野生動物たちの姿がとても可愛かったのを覚えている。
こんな大らかな大地で一沙は育ったのだと思うと、なんだか感慨深い思いに浸った。
そして彼のご両親も、私達を温かく出迎えてくれた。
ご兄弟が多く、一沙は一番上のお兄ちゃん。
まだ高校生の弟くん達も、一沙と顔がそっくりで。
兄弟仲睦まじい姿に心がほっこりした。
本当に優しい人達ばかりで、その温厚な人柄も早坂家の血筋なのかな、なんて思ったりした。
……なのに、私の家族ときたら。
ミーハーすぎて本当に恥ずかしい。
父が唯一まともなのが救いだ。
一沙からも「……大変だな」と同情された。 泣きたい。
遥
遥
早坂
遥
遥
希望は秋婚。
それは一沙も同意している。
ベストな時期は10月。
繁盛期でもなく、ハロウィンを除けば大きなイベント行事もなく、ゲストにも負担が少なくて参加しやすい月。
気候的にも過ごしやすい点も考慮に入れた。
早坂
遥
遥
遥
早坂
笑い交じりで肩をすくめる一沙に、私もつられて笑みを返す。
遥
早坂
遥
そもそも披露宴が苦手だ。
あの見世物感がしんどい。
早坂
遥
遥
実は今どきっぽく、一沙と2人だけでの挙式という形も考えた。
でも、やっぱり両親を喜ばせてあげたい。 感謝の意を伝えたい。
だから結婚式は両家を呼ぼうと決めた。
早坂
早坂
遥
一沙の言葉に私も頷く。
互いに結婚の意思は固いし、なんだかんだ言っても、2人で未来の話をするのは楽しい。
ずっと思い描いていた理想が、形になっていくのが嬉しい。
辛い時期もあったけど、全部乗り越えてきた今が幸せだと実感してる。
この先もまだまだ長い人生、この人の隣で寄り添って歩いていけたら。
そんな風に思う。
遥
早坂
遥
早坂
早坂
むう、と私は唇を尖らせる。
こういうところも相変わらず厳しい。
まだ飲み足りない気分だったのにな。
遥
早坂
遥
突拍子もない誘いに、一沙がビールを吹き出しそうになってる。
こういうところも全然変わらない。
だから、からかいたくなるんだよね。
遥
早坂
遥
一沙の瞳をじっと見上げれば、彼は観念したようにビール缶を置いた。
片手で腰を引き寄せられて、唇に熱が落ちる。
ふわっとアルコールの香りが漂った。
ゆっくりとラグの上に倒されて、私は期待に満ちた眼差しで彼を見上げる。
一沙の瞳に欲情の色を見つけて、ぞくりと肌が粟立つ。
もう何度も肌を重ねているのに、何度経験しても胸が高鳴る。
迫ってくる気配にキスの予感を感じたけれど、私は人差し指を彼の唇に押し当てて制止した。
遥
不意にキスを止められて、本人はちょっと不満そう。かわいい。
遥
早坂
遥
悪戯っぽく微笑むと、一沙は子供っぽく拗ねた表情を見せる。
この人の困った顔が本当に好き。
普段は大人びていて余裕たっぷりな一沙が、私の前でだけ、こんな風に取り乱した姿を見せてくれるのがたまらない。
早坂
遥
早坂
呆れたようにため息をついて、私を抱き起こしてくれる。
そのままベッドへと運ばれた。
コメント
3件
うわあ、もう半年も経ったんですね!二人の関係が着実に深まってるのが伝わってきて、すごく温かい気持ちになりました。 特に遥さんのご家族のパワフルさには笑っちゃいました(笑)。「一沙に代われ」コール、毎回耐えられないですね…でもそれだけ早坂さんが愛されてる証拠で、ほっこりします。道北のご実家訪問のエピソードも、野生動物にコンニチワって、なんだか素敵な光景が目に浮かびました。 結婚式の時期の話し合いも、リアルで共感できます。ジューンブライドより秋婚、確かに今どきの選択ですよね。二人で「まだ先だし焦る必要ない」って言える関係性、本当にいいなあ。 最後のやり取りは…もう、鼻血が出そうでした(照)。「いただきます」を要求する遥さん、小悪魔すぎます!でも一沙がちょっと困った顔を見せるのがまた可愛い…。これからもずっと、お互いを大切にし合う二人でいてほしいです。続きも楽しみにしてますね!