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翌朝。
目を覚ました凪の胸には、
夜の涙の名残が まだ重く残っていた。
けれど、
家族の前では絶対に見せられない。
凪は小さく深呼吸して、
作り慣れた“普通の顔”をかぶった。
玄関で靴を履くと、
すでに直人と莉乃が並んでいた。
雨宮 莉乃
莉乃が小声で言う。
雨宮 直人
直人が凪の肩を小さく押した。
外には家族の気配も視線もない。
ここから先は—— 兄姉の“裏”の時間。
凪は何も言えず、 ただ小さくうなずいた。
家から少し離れると、
直人が凪の後ろ襟を 軽く引っ張った。
雨宮 直人
雨宮 直人
凪はゆっくり首を振った。
けれど、
その動きが 気に入らなかったのか、
直人は眉をひそめる。
雨宮 直人
凪の喉がひゅっと縮まる。
それでも震えた声で言う。
雨宮 凪
雨宮 凪
その答えを聞いた瞬間、
莉乃が笑った。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
直人も続ける。
雨宮 直人
雨宮 直人
凪は下を向く。
顔を上げたら、
涙が見えてしまう気がしたから。
そんな凪の態度を見て、
莉乃がわざとらしくため息をつく。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
雨宮 凪
胸の奥でつぶやいたけれど、
もちろん口には出せない。
角を曲がったところで、
直人が急に 凪の歩くスピードを止めた。
雨宮 直人
雨宮 直人
雨宮 凪
凪が答えると、 莉乃がすぐに指摘する。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
凪はもう一度、
少しだけ大きな声で言う。
雨宮 凪
その言葉が終わるより早く、 直人がふっと笑う。
雨宮 直人
雨宮 直人
雨宮 直人
莉乃が追い打ちをかける。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
凪の心臓が跳ねた。
あの夜の続き——
考えるだけで手が震える。
でも、
雨宮 凪
そう言うしかなかった。
兄姉の前で逆らうという選択肢は、
凪には最初から存在しない。
校舎が見えてくる。
子どもたちの楽しそうな 声が聞こえる。
その瞬間、
莉乃の声が低くなる。
雨宮 莉乃
雨宮 莉乃
直人が凪の背中を軽く押した。
雨宮 直人
雨宮 直人
凪は一度だけ小さく呼吸を整え、
顔を上げた。
そこには——
“いつもの凪”の笑顔があった。
だけどその笑顔の裏で、
胸の奥はきゅうっと 痛んだままだった。
兄姉の視線を背中に感じながら、
凪は校門へ歩いていく。
“負けられない”
そんな気持ちだけを頼りに。