不在着信
着信があったのは茉莉花のスマホ だった。
茉莉花
茉莉花
茉莉花
茉莉花は半ばパニック状態でスマホを 操作した
茉莉花
茉莉花
瑠衣
留守番電話が起動し、しわがれた声が 再生される。
私と奈々美は慌てて耳を塞いだ。
茉莉花
茉莉花は半狂乱になって床や壁に スマホを何度も何度も打ちつけている
ドアの向こうから綾奈の笑う声が 聞こえた
綾奈
綾奈
茉莉花
茉莉花
不気味な老婆の声を掻き消すように、 茉莉花は大きな声をあげた
奈々美
奈々美
茉莉花のスマホは真っ暗にひび割れて動かなくなっていた
私たちは綾奈の家を後にし、 手近なカフェに移動した。
瑠衣
茉莉花
茉莉花
茉莉花
瑠衣
瑠衣
奈々美
茉莉花
瑠衣
茉莉花
茉莉花
茉莉花
奈々美
奈々美
奈々美
奈々美
奈々美
瑠衣
茉莉花
フラペチーノを一口飲むと、 茉莉花はやっと少し笑顔になった。
茉莉花
茉莉花
茉莉花
茉莉花
先ほど徹底的に破壊されたスマホは、 完全にただの金属の塊と化している。
瑠衣
瑠衣
茉莉花
奈々美
茉莉花
瑠衣
瑠衣
瑠衣
瑠衣
瑠衣
瑠衣
瑠衣
瑠衣
いたい。
瑠衣
茉莉花
瑠衣
茉莉花
奈々美
奈々美
カフェを出ると、外は既に日が 落ちようとしていた
茉莉花
奈々美
瑠衣
瑠衣
茉莉花
茉莉花
奈々美
茉莉花
瑠衣
奈々美
茉莉花
茉莉花
茉莉花
笑いながら壊れたスマホを取り出した茉莉花の顔が、見る見る内に青ざめる
瑠衣
茉莉花
茉莉花は震える手でスマホをこちらに向けた。
ひび割れた画面には、メール受信の 通知と本文の内容が表示されていた。
件名:呪いのメール 「ママの呪い」
瑠衣
茉莉花
ドンッ
前が見えていなかったのだろう、 茉莉花は通行人の男性とぶつかって よろめいた
そのままバランスを崩し、近くに停車していたトラックの扉に頭をぶつける
男性は小さく舌打ちをして 足早に去っていった
茉莉花
茉莉花
後頭部を強く打ったのだろう。 不機嫌そうにさすっている。
奈々美
奈々美
茉莉花
信号が青になり、トラックが発進する
そこにもたれかかっていた 茉莉花の身体が後ろに倒れた。
茉莉花
よく見ると、茉莉花の身体とトラックの荷台扉がネクタイで繋がれていた。
先ほどぶつかった弾みで、ネクタイが挟まれたようだった。
茉莉花
茉莉花
茉莉花
運転手は気づかずスピードを上げる。 茉莉花の姿はあっという間に遠ざかっていった。
茉莉花
茉莉花
彼女はネクタイを外そうともがくが、歩道の上を引き摺られながら縊死しそうになっている
ゴガッ
数十メートル先で奇妙な音がし、 私達は走って追いかけた
瑠衣
奈々美
電柱にぶつかって解放された茉莉花の身体は、首が折れてあり得ない方向に捻じ曲がっていた。
綺麗だった顔に苦悶の表情を浮かべた亡骸を見て、私は意識を失った‥‥
気がつくと私は庭園の中にいた
よく整えられた花壇に薔薇のアーチがある、小さいが美しい庭だ。
瑠衣
ガシャン!!
背後で門の閉まる音がする。
瑠衣
アーチを抜けると、正面には大きな 洋館がある
瑠衣
私は洋館の入口に歩み寄った
瑠衣
瑠衣
ふらふらと歩いていた私の足に、 石造りの小さな井戸が触れた。
瑠衣
瑠衣
覗き込むと、中にいた人物と 目があった。
仄暗い井戸の中から、白装束の老婆が私を見上げていた。
瑠衣
老婆は何かを嘆くように両手で顔を 覆っている。
指の隙間から覗く目は怒りに満ちて 私をしっかりと見据えていた。
しかし口元は笑っているようにも見える。こちらを嘲るようににやにやと。
瑠衣
私は、あまりの不気味さにその場を 逃げ出し、屋敷に駆け込んだ。
屋敷の中は木製の家具と絵画や花が 飾られていた。
華美な部屋だが、人の気配はない
瑠衣
瑠衣
耳を澄ますと、奥の部屋から水音が 聞こえてきた
瑠衣
瑠衣
台所には、エプロンをつけた 髪の長い女性が立っていた。
瑠衣
瑠衣
瑠衣
明かりのない台所で女性の後ろ姿に 目を凝らす。
瑠衣
瑠衣
瑠衣
瑠衣
グリンッ
女性は上半身だけで振り返った。
その首は奇妙な方向に捻じ曲がっていて、よく見ると締められた痕がある。
瑠衣
瑠衣
彼女も老婆と同様に、顔を両手で 覆っていた。
指の隙間から覗く真っ黒な目は、 やはり何かに怒っている。
そして、口紅の塗られた赤い唇は、 にやにやと笑っていた。
瑠衣
私は一目散に逃げ出した。
瑠衣
私は階段を駆け上がって二階へ 逃げ込んだ。
寝室らしき部屋のドアが開いていた。
瑠衣
瑠衣
瑠衣
ベッドの上にポロシャツの 男性が立っていた。
腹にナイフのようなものが刺さっており、どくどくと血を流している。
瑠衣
男は両手で顔を覆い、こちらを睨みつけながら口元だけで笑っている
瑠衣
思わず後ずさると何かにぶつかった。
震えながら、ゆっくりと振り返る。
何も見たくないはずなのに、身体が 勝手に背後を確認しようとする。
瑠衣
そこには、頭から血を流した幼い 女の子がいた。
少女
瑠衣
女の子は、血のついた大きな石を持っていた。
少女
少女
老婆の声でぶつぶつと唱えながら、 少女はゆっくりと石を振り上げた。
瑠衣