その日、少女は恋をした
この世界では無い、色あせてない世界に
初めて、窮屈な世界に色がついた
息がしやすくなった
……それが、ただの現実逃避だとしても
それだけが、救いだった
少女は、家にいるのが嫌いだった
なぜなら、常にイヤホンをして
音楽を聴いて、過ごしていたから
家族の声なんて、聞いたところで無駄だ
そう、割り切ってきた
そんな、少女は音楽を聴きながら思いを馳せた
ここでは無い
だけど、確実に自分が作った居場所に
その日、少女は完全に救われた
…否、勝手に救われた
自分の目を見て話す人がいた
自分の話を聞いてくれる人がいた
それだけで、もう良かった
それさえ壊れなければ
それだけが、壊されなければ
きっと自分は生きていける
だって、この人達の周りは
こんなにも息がしやすくて
こんなにも心が軽いのだから
その日、少女はまた死んだ
なにもかも失った挙句の果てに
血迷った選択肢を選び
泥と共に、地獄まで落ちて
最後に、また死んだ
そして、息を吹き返すことは無かった
それもそのはず
少女は他の誰でもない
「現実」に殺されたのだから
「現実」をみる勇気を、大切な人がくれたのに
それを使ってもなお、「現実」を見れない
そんな精神状態の成れの果てに
少女は、死んだ
「そして、今」
「少女は世界に愛されて」
「……いや、世界に嫌われていたからこそ」
「世界によって創られた世界で」
「全てを」
「代弁して」
「調停して」
「最後に」
「世界を創り続けて」
「全てを、待っている」
コメント
3件
心が軽くなるほどに(勝手に?)救われて現実を見ることを教わり、現実に目を向けようとしていたのに殺 さ れ て し ま っ たなんて……せっかく色づく世界を教わって現実を見ることが出来たばっかなのに……😢😢 ……え、「世界に愛されて」……?つまり、この少女はもしかして……!?