ただ、もがいて苦しんだ
それは、最後の抵抗だった
自分の、最後の抵抗
この全てが、許されるのなら
私は、さっさと許されたい
1人、部屋で足掻く
なにか、超常現象的なものに首を絞められている
ただ、なんとなく分かるのだ
その雰囲気が、知りすぎた雰囲気なことに
そして、酸素が無くなってきた頭で考えるのだ
これが
死んだ貴方ならいいのに
……いや
きっと、死んだ貴方なのだ
貴方が死んで
生きる気力も無くした私を
殺しに来てくれたのね
そうだ、お礼
お礼を言わないと
死ぬ前に、せめて
貴方の手を煩わせたことについて
謝罪と、お礼を
「……ご、めん、ね」
「ぁ……りが…とぅ……」
意識を失うその瞬間
貴方が私を抱きしめたの
目の前で死ぬ女が、ただ怖かった
なんで俺、こんな場所に
た、たしかに金に困ってた
自由が欲しかった
だから、だからって
俺が……殺した……?
その疑問を抱いた瞬間
目の前の女が、聞き取れないほど掠れた声で何か言って
俺の中から、なにか零れ落ちた感覚がした
……あぁ、なんだ俺
なにか、変だ
疑問に次ぐ、疑問を抱える
そして、自分の意思とは逆に
倒れる女を抱きしめた自分を
どこか、他人のフリをして見ていた
……気が、する
コメント
3件
「私」は目の前にいる人が死 ん だ貴方だと思っているけど、実際は強盗?とかで家に入ってきた全くの他人だった、っていうのが何も知らない幸せな最期って感じで切ない……😢😢 一方で「俺」は何か違和感がありつつも自分の意思とは逆に殺 し た女を抱きしめているという不思議な現象が起きている…… もしかしたら一時的に「私」のいう死んだ貴方が「俺」に取り憑いていた、とか……??