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付き合ったらまず何をする?

LIMEを交換する?

デートをする?

答えは人それぞれだろう。

ちなみに僕の場合は、 「行けるところまで行く」。

いつもそうしてきた──はずだった。

もうこんな時間だね

思ったより時間かかったな

あんま慣れてなくてごめん

玲奈

ううん、私もだから

玲奈

思ったより難しいんだね

玲奈

玲奈

もっと練習しなきゃ!

玲奈

でも早く帰らないと電車が混んじゃうね

ああ、

そうだね、と相槌で誤魔化しながら手を繋ぐ。

(いいよな手ぐらい)

彼女はちょっと不思議そうにしたけど、

結局、何も言わなかったし、 手は繋いだままでいてくれた。

嫌がっている様子はなかったけど、

照れている風でもなかったし、

どこか「へえそうなんだ」

と冷めた目をしているようだった。

付き合い始めってもっと、

浮かれててもいいと思うけど。

(まいいか)

(急ぐことでもないし)

付き合って早々、

下心を出すのもどうかと思えたし、

お互いによく知らないわけだし、

とりあえず様子を見ながら進めよう。

悩むほどのことでもない。

と、その時は流した。

そう思えるだけの余裕が、

この頃はまだあったということだ。

もう家着いた?

まさか隣の駅だとは思ってなかったけど、家近くて嬉しいよ

玲奈

うん

玲奈

今、

玲奈

家に着いたよ😫

(その絵文字は何)

明日から一緒に帰らない?

玲奈

びっくりしたね!

玲奈

うちの高校、

玲奈

この辺から通ってる人少ないもんね

(玲奈さん)

(返事がすげー遅い…)

玲奈

あ、

玲奈

一緒に帰るの?

うん、できたら一緒に帰りたいな

玲奈

うん

玲奈

予定がない日なら大丈夫

良かった!

玲奈

じゃあまた明日ね👋

え?

あ、うんまた明日!

(……)

(え、終わり?)

(塩だ…)

(女の子に塩対応されたの、生まれて初めてだ)

玲奈さん

昼休み。

話しかけながら彼女の席に近づく。

お昼一緒に食べない?

玲奈

あれ?湊くん

途端に周囲の視線が集まるのを感じる。

女子

あれ?あの2人仲いいんだっけ

女子

んー湊くんはみんなと仲いいからじゃないかな?

女子

あ、そういう系かな?

女子

そうだよきっと!
優しいもんね〜!

入学から3ヶ月、

クラス仲は悪くないものの、

彼女はある種、異端児だった。

一方の僕は、自分が人気者で、

「クラスの中心」的な存在だと、

不遜にも自覚していた。

玲奈

急にどうしたの?

見つめ返す彼女の瞳には、

喜びや親しみではなく、 困惑が浮かんでいるように見えた。

(何なんだろう)

(向こうから告白された気がするんだけど…)

(むしろ嫌われてる?)

僕は彼女の真意を確かめたくて 覗き込んでみたものの、

すぐにふっと視線が外されてしまう。

…色々話したいし、一緒にご飯食べられたら嬉しいなと思ったんだけど

もしかして、他の人と約束してる?

玲奈

ううん、そうじゃなくて

玲奈

湊くんはいつもお昼食べないんだと思ってたから

不意をつかれた、と思った。

確かに僕は普段、人と昼食を採らない。

そもそも弁当を持って来ないし、

誰かと食べるのも面倒だったから、

昼休みは教室から姿を消すことにしていた。

だけどそんなことまで、

悟られていたとは思いもよらなかった。

誰も気づいていないと信じていたのに。

あれ?知ってた?

よく気づいたね

「他人に興味なさそうなのにね。」

溢れかけた言葉をぐっと飲み込む。

(危な…)

危ない危ない。

こんなの「彼氏」の台詞じゃない。

でも今日からはお昼持ってくることにしたから、一緒に食べたいな

玲奈

じゃあ、そうしようか

玲奈

屋上に行かない?

いいね!

(すごい焦った…)

(焦る必要なんかないのに)

こういうところなんだよな…

彼女は特別で。

(不意に刺してくるっていうか)

彼女のこともっと知りたいけど。

彼女といると胸が騒ぐけど。

それが恋愛感情なのかどうか、

僕には確信が持てなかった。

玲奈

ね、お昼休み終わっちゃうよ?

ごめんごめん!今行くよ!

だってまともな恋愛なんて、

これまで経験がないんだから。

玲奈

良かったの?家隣の駅なのに

うん、歩いて帰れる距離だし

家まで送るぐらい普通じゃない?付き合ってるんだし

玲奈

あ、ええと…

また、困ったように視線が逸れていく。

理解不能!と顔に書いてあるみたい。

昨日から何度も見る表情だった。

なぜなんだろう。

玲奈

ええと、

玲奈

ちょっと確認したいんだけど

玲奈

私達って、

玲奈

付き合ってるの?

初耳です、と言いたげに。 彼女が首を傾げる。

──不覚にも動揺した。

えっそこから!?

玲奈

うん、ごめんね
よくわからなくて

昨日玲奈さんは

俺のこと好きって言ってくれたし、俺も好きだって伝えたから、

そうなんだと思ってたんだけど…

…もしかして、
そんな気なかった?

玲奈

ううん、そうじゃなくて…

玲奈

「付き合おう」って話にはならなかったから、違うのかなと思ってた

そんなことある!?

玲奈

彼氏できたことないから
よくわかんなかったんだ

玲奈

ごめんね

ううん、謝らないでいいよ

ただ俺、一人で勘違いしててすごい恥ずかしいなと思って

玲奈

でも

玲奈

好きなのは本当だよ

本当?

玲奈

うん!

じゃあ今

…キスしてもいい?

彼女を動揺させてみたい。

ちょっとした悪戯心だった。

玲奈

うん

玲奈

じゃあ、試しにしてみて

だから、

君か悪いんだよ。

──そっか

言うか言わないかの瞬間に。

僕は彼女の腕を強く引き寄せた。

(後編に続く)

あっさり陥落する日【みなれい】

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