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短編

84 - 【クルト生誕祭】貴女が残した呪い、貴方に残せた希望

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2025年11月10日

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クルト

……

暗くてジメジメとした道を、1人で歩く

普通の人だったら無理だろうなぁ…なんて思いながら

慣れた感覚でその道を歩いた

クルト

…時間、まずいかな……

じめじめとした道を歩くこと数十分

そこには"廃墟"という名が似合いすぎる家があった

クルト

……まだ、あったんだ

そんな独り言が口から零れた

何を隠そう、本日の主役であるクルトは

ここを目的地として歩いていたのである

クルト

(まぁ、でも居ないなら……)

体感的にもうすぐ日付が変わるだろう

だとしたら、ここに来た意味は無くなる

帰ろうかな

そう思った時

後ろから、足音が聞こえた

???

あら、これはこれは

???

我らの女王様ではありませんか

???

こんな廃れた場所に、どんな御用で?

クルト

…はぁ〜、ほんと、変わらないね

クルト

んで、なんでこんな時間まで居ないの?

クルト

それと、その呼び方どうにかして

クルト

君にまでそんな呼ばれ方されたくないんだけど?

???

あら、じゃあなんて呼ぼうかしら

???

愛しの"銀の姫"?それとも、"彼岸姫"?

???

それとも……

???

可愛い可愛い、私のクルトちゃん、かしら?

クルト

…桜姫、いい加減にしろ

クルト

普通にクルトでいい

桜姫

んーもう、つれない子

桜姫

私の子供なのに…全く…

クルト

育てた記憶なんてとうに忘れただろ

桜姫

心外ね、覚えてるわよ

桜姫

ママを舐めないで

クルト

お前ボクを産んでないだろ……

桜姫

反抗期…!?

クルト

ちげぇよ

桜姫

ふふ、からかうのはこれくらいにして……

桜姫

おかえり、クルトちゃん

クルト

んー、ただいま……?

クルト

まぁすぐに帰るけど

桜姫

今年も来てくれないのかと思ってたわよ

桜姫

最近忙しいの?

クルト

あー、うーん……

頭の中に様々なことが浮かんでくる

が、説明がめんどくさかったので何も無かったことにした

クルト

まぁ、それなりに?

クルト

ようやく落ち着いたから、会っておこうと思って

クルト

……そっちこそ、なんか疲れてる?

桜姫

……流石にそろそろキツいわね

桜姫

私、あの国の中で一番の古株だもの

クルト

長生きはするもんじゃないって聞くけど……

クルト

……流石に、銀の姫時代から生きてたら、そりゃ無理が来るよな

桜姫

……それで、わざわさこの日に来たのには理由があるの?

クルト

あー、うん、いや…

クルト

……まじで、たまたま

クルト

アベリア達から解放されたから、来てみただけ

クルト

そういえば〜って思って

桜姫

ふふ、思い出してくれてありがとう

クルト

……こっちこそ、元気な顔見れてよかった

クルト

……思ったより元気じゃなかったけどね

桜姫

そこは言わないでちょうだい…

桜姫

……じゃあ、私はもう寝るから

桜姫

クルトちゃんも、国に帰りなさい

クルト

言われなくても

クルト

アベリアはここに来たことあるし、見つかりそうでヒヤヒヤしてる

クルト

じゃ、また来れたら来るよ

桜姫

その時は、お土産のひとつでも持ってきてちょうだいな

クルト

……期待すんなよ

桜姫

あら、国の王様のお土産だもの

桜姫

期待しない方が無理よ

クルト

……そ、期待通りのもの持ってくるよ

桜姫

あら、これはこれは……

桜姫

……ふふっ、楽しみだわ

桜姫

……改めて、だけど

桜姫

お誕生日おめでとう、クルトちゃん

桜姫

生まれてきてくれて、あの国に帰ってくれて、ありがとう

そう言うと、桜姫はふわっと笑った

次の瞬間、ボクを見る目が変わった

桜姫

本当に、おめでとうございます

桜姫

我らの女王、銀木犀様

それは、"銀木犀"に贈られた祝福

桜姫の、こういう所を気に入っていた

クルト

……ありがとう、お母さん

クルト

それと、そっちもありがとう

クルト

"私"の可愛い眷属の、桜姫ちゃん

そう言うと、桜姫はボクを見て笑った

あの頃と変わらない、少女の笑みで

クルト

じゃ、またね

桜姫

……えぇ、いつでもいらっしゃい

そう言って、ボクは国に帰った

……今思えば、来るべくして来たのだと

本当に、そう思う

出血が止まらない

頭がひたすらに痛い

耐えろ、耐えろ、耐えろ

そう思っても、もう、立てなかった

???

……ついに見つけた、王族の血

???

かの御方の眷属

???

これで、俺もあの人に認めてもらうんだ…

気が、遠くなっていく

目に浮かぶ、最愛の子

私が拾い、育て、守った子

……あぁ、本当に

桜姫

(心の底から、愛してる)

桜姫

(例え、血は繋がっていなくても)

桜姫

(貴方の……貴女の、家族に…)

ずっと、願ってた

貴女が、一人になりませんようにと

それは、アベリアという存在が叶えてくれた

でも、やっぱり

桜姫

(自分の手で、残してみたかった)

ずっと、ずっと探していた

どこかに、あるのでは無いだろうか

敬愛する主の書庫で、その文字を見つけたあの瞬間から

ずっと、ずっと、ずっと、ずっと

探して、それでも、見つからなかった

「先祖返り」

それは、一族の血を濃く受け継いだ者に現れる症状

まるで、その血の先祖のようになるという現象の名前

いつか、見つけてみたかった

吸血鬼の先祖返り

それを見つけられれば、主は

桜姫

(クルトは、もう、一人じゃない)

あぁ、叶えたかった

吸血鬼の先祖返りなんていう

あの時の貴女と同じ状況の子を

見つけて、育てて

貴方に、預ける気だった

でも、もう無理だ

死ぬ

確実に、そう思った

トドメを刺されなくても、死ぬだろう

意識が、消えていく

消えゆく意識の中

最期に、希望を見た

赤子の、鳴き声がした

最後の力で、目を開けて

息を、呑んだ

他の吸血鬼では、感じられないであろう雰囲気

銀の姫の眷属だった桜姫にだけしかわからないほど

微弱な、銀の姫の力

桜姫

(あぁ……なんだ……)

桜姫

(最期の最期に……見つけられたのね……)

桜姫

(……なら、せめて……)

最期の、意識が途絶えるその瞬間

桜姫は、自分の体に呪いをかけた

半ば賭けの行動

だが、吸血鬼の勘とは、時に予言のように鋭い

桜姫は、自分の王族としての力の一切を封じた

いつか、目覚めるその時まで

そして、いつか芽吹いたその力が

桜姫の"勘の通り"に

未来で、桜姫の望む理想として

クルト

……は?

???

……たす、けて…

沈丁花の、花を咲かせた

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コメント

1

ユーザー

銀木犀さんの頃は眷属で今は母親……!!改めて見ると凄い繋がりだよね😳😳前世ではめちゃくちゃ可愛がっていた相手が今世では母親なんて……!! きっと桜姫さんもアベリアさんと同じように銀木犀さんの頃からクルトさんのことが大切な存在だったんだろうな、って思うとクルト(銀木犀)さんの人柄が良いことが伝わってくる🤭💭 改めて、クルトさん誕生日おめでとう🎉✨

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