短編

貴女の隣がただ良かった

…貴女はそれが、多分嫌いだった

ごめんね、なんて

言えなかった

貴女に全てを認められた

ここに居ていいと、思わせてくれた

…でも、貴女はそれが嫌だった

貴女だけがそれを許してくれたの

それを甘えた私が嫌だった

貴女だけが私を見てくれたの

貴女の隣が好きだった

貴女に相応しくありたかった

……貴女はそれが、大嫌いだった

……多分、そうだった

貴方の隣が幸せだった

貴方の隣で笑っていられた

貴方の横顔が好きだった

……だから、貴方に嫌われた

うん、知ってるよ

鬱陶しくて…ごめんね

貴方の隣に居られるのが

どれだけの幸せだったのか

きっと貴方は知らない

……知らなくて、いい

貴方に相応しくないの

知ってる、それくらい

それでも、伝えた

それに答えた

貴方、らしく

痛いくらい、優しかった

……知っていた

甘えて、ごめんね

ありがとう

……でも、貴方は多分嫌っていた

口の中で繰り返された

｢ごめんね｣の言葉

現実に響かなかった

…"僕"の中で、響いている

いっそのこと、忘れて欲しかった

そしたら｢はじめまして｣だったのに

そしたら、全て無くなったのに

……現実はいつまでも残酷で

甘い毒で

幸せで

…ただ、帰りたかった

そしたら、もう一度

今度こそ

……謝りたかった

君達に

……家族に

絶望の中で鳴り響いた｢失望｣

許されないことをした

大切な人に言った感謝は

相手にとって重いものでしかなかった

ただ、許されないことをしたのだと

気がついた時、全てが遅かった

君達に拾ってもらった命

それを捨てようとした

君達に、身勝手な謝罪を

自己満足で、どうしようもない

そんな、謝罪を

贈ります

大事な人に吐いた暴言と

流した涙は

恐らくあなたを深く傷つけた

守った存在に否定された

守ってと言った存在から否定された

重い罪を背負った

逃げられないと思った

逃げないと、決めた

背負って、生きるから

どうか、許して

ただ、許して

許されたい

……なんて、身勝手な願い

ん〜どうしよう

このままだとただ暗い雰囲気だ

……さて、どうしようかな

このまま、バットエンドを走る？

それとも、這い上がるのかな？

ん〜

悩むねぇ〜

……よし、決めた