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家を出て行く。わずかな手持ちを持って。
安いネカフェを探す。
冬の風が、痛い。
二人は半蔵門駅でメトロを待つ。
(理恵……ごめんね)
「おかあさん……あれ……」
理恵が、指を指す。
そこには、
辰彦が居た。
ブランドのダウンコートの下は、ジャージにサンダルという姿で、同じメトロを待っていた。
(あ……あ、あいつぅぅぅぅ……)
血色は良く、前より太った辰彦。スマホを片手に暇を潰している感じだ。ボディバッグは、ダウンコート同様に見た事が無い新しいバッグ。手には高級百貨店の紙袋を持っていた。
あいつさえ……あいつさえ……
(こっちはてめぇのせいでこんな状況なのに……なんだてめぇは……)
走って辰彦を追いかけて来た若い女性が、辰彦に追い付く。
軽く頭をポンポンする辰彦。高級百貨店の紙袋を手渡す。
(……なんだこれ……なんだ?)
今……あたしは……なにをみてるんだ?
「おかあさん……」
メトロがホームに入って来る。
回送のメトロだ。
育代は、理恵の手を離す。
「理恵、ごめんね。」
理恵から離れると育代は辰彦に近づいて
背中を押した
「おかあさん……」
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「自分の思い通りに生きたがどうかが大事。長さではない。どう生きるかどう死ぬかっていうのは個人が責任を持って選んで下さい。」坂本龍一※出典不明
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