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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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翌日から、詩帆は時間があるとフリースクールや美術の授業に関する情報を集め始めた。

優子のスクールへ見学に行くのは十月の下旬なので、それまでに色々調べておきたいと思っている。


授業についても通り一遍の授業はしたくないと思っていた。

自分が受けてきた美術の授業を思い出すと、あまり魅力的な印象はなく逆に窮屈なイメージだったので、

それとは違う楽しい授業が出来ればと思っていた。

その為にも、実技を中心とした授業が可能かどうかを見学に行った際に聞いてみようと思っている。


一から自分で練り上げる仕事というのはこんなにもやりがいがあるのかと詩帆は思う。

そしてその作業にどっぷりとのめり込む自分を見て、自分にはこんな一面もあったのかと新しい発見をする。

詩帆はそんな自分の事が、少しずつ好きになっていった。


そして気付くと初デートの前日になっていた。

仕事に夢中になり過ぎて、詩帆は何を着ていくかもまだ決めていなかったので急に焦り出す。


詩帆は元々カジュアルな服装が好きなので、見た目だけを意識した可愛らしい服や女性らしい服、かしこまったスーツなどは苦

手だった。

しかしデートとなるとそんな我儘も言ってられない。

だからと言って、無理してデートに相応しい服装をしてもどっと疲れてしまう。

仮におしゃれをしたとしても、それに合わせたパンプスやヒールを履いて足にマメが出来たり肩が凝ったりと今

まで散々な目に合って来た。

だからデートでの服選びとなると、つい憂鬱になってしまう。

おまけに頑張ってお洒落をしたとしても、今までに成就した恋は一つもない。


そう思うとついため息が出る。


今回のデートは江の島なので、階段を上ったり坂道を上がったり結構歩く事になるだろう。

その上かなり強い海風も吹くかもしれない。

それを考慮した上で、詩帆はあえてジーンズで行く事にした。

ジーンズにVネックの黒のコットンセーター、その上に生成りのロングカーディガンを羽織る事にした。

そして足元は歩きやすさを重視して買ったばかりの白のスニーカーを履く事にした。


今回の恋で詩帆は、涼平が言っていた


『お互いに無理せずに』


を実行してみようと思っていた。

常にありのままで自然体で…

何をやってもどうせ駄目ならありのままの自分をさらけ出してみよう…詩帆はそう思った。



一方、仕事から帰った涼平は久しぶりに洗車場で車を丁寧に洗っていた。

しばらく乗っていなかった車をピカピカに洗い上げ丁寧にワックスをかける。

デートの前に車を綺麗にするなんて本当に久しぶりの事だった。


周りを見ると金曜の夜という事もあり、涼平と同じように若者達が車を綺麗にしていた。


(きっとみんな明日のデートを楽しみにしてせっせと洗っているんだな……)


涼平はそう考えると、そこにいる若者たちが急に同志のように思えてきた。

こういう地味な一連の作業があってこそ、恋は成り立つ。


(恋とは……ズバリ洗車なのだ!)


涼平はの頭の中にはそんなフレーズが浮かんできたので、思わず笑ってしまった。

それほど今の涼平は、嬉しさのあまり浮足立っていた。


涼平は車内にも丁寧に掃除機をかけ、小さなゴミ一つ落ちていない状態にする。

そして綺麗になった車を満足気に眺めると、漸くマンションへ戻って行った。

セルリアンブルーの夜明け

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コメント

1

ユーザー

「恋とは…ズバリ洗車なのだ」フフッ、ある種名言ですね✨✌︎('ω')✌︎ 男性は車命の部分もあるから車がきれいだとその所有者もランクアップして見えると考えるのかも⁉️ 詩帆ちゃんも涼平さんも自然に触れ合いに行くんだからマッチした格好が一番ね☝️💏

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