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話者:長谷川ユカリ(女性・13歳・塚森キミカの級友)
場所:童ノ宮第二中学校 教室/一年B組
日時:2025/4/12 8:55~
(ザワザワと反響する生徒たちの話声)
(ガラッとと言うスライド式ドアの開閉音)
「――あ、キミちゃん。おはよー。この間の境内の清掃ボランティアでは班長引き受けてくれてありがとね。弟たちも普段、神社とか行かないから面白かったって!」
(ボソボソと不明瞭な応答するキミカの音声)
「んー? ……キミちゃん、声出てないよ? どうしたの?」
(数秒の沈黙)
「それにちょっと顔色が悪いよね? 身体も少し歪んでるみたいだし。こう、何て言うのかな。……右肩が、傾いて上がっているっていうか。……えっ? 重い? ……キミちゃん、背中が重いの?」
(苦しげなキミカのため息)
「危ないッ!キ、キミちゃん、足がふらついちゃってるじゃん! と、とにかく一度座ろ? ほら、私の席へ。手、かしてあげるから……」
(トサッと椅子にキミカが腰を下ろす音)
(ユカリの「ひっ……!という短い悲鳴)
「キ、キミちゃん? 私、今気がついたんだけど――、それ何? キミカちゃんの背中にしがみついてるそれってヌイグルミ?」
(男子と思しき複数の生徒から冷やかすような声)
「……ちょっと止めなよ、男子。キミちゃん、しんどいって見たらわかるじゃん。辛そうにしてる女の子を冷やかすとか、最低だよ? ……いいから、あっちに行ってなよ」
(男子と思しき生徒たちの声、笑いながら遠ざかってゆく足音)
「ヤだよね、男子って。本当にデリカシーがないんだから。……キミちゃんもあんな子達、まともに相手しちゃダメだからね?」
(ボソボソと不明瞭な応答するキミカの音声)
「それより――、キミちゃんの背中にしっかりしがみついてるヌイグルミ、本当に気がついてなかったの? ひょっとして、背中が重い原因ってそれなんじゃ……。って、そんなわけないか。……ごめん、キミちゃん変なこと言って」
(数秒間の沈黙)
「いつの間にか背中におんぶしてたのなら目にしてないんだよね? ……えっとね、すっごく古ぼけたお猿さんのヌイグルミ。布地も傷んで変色してるし、ところどころ綿がでちゃってるね。手足も長いし、テナガザルかな?」
(数秒間の沈黙)
「あ――、思い出した。これ、ウバリヨンだ。……ほら、古い海外のアニメキャラ。確かこの間、童ノ宮さんの宝物殿のお掃除をした時、見かけた気がする」
(ボソボソと不明瞭な応答するキミカの音声)
「……うん。私もママから聞いた話だけど、こうやって長い手を首のところで交差させて、おんぶするのが小学生ぐらいの子たちの間で流行ったんだって。……キミちゃん、それ外さないの?」
(ミシミシという低く軋む音)
(苦しそうに喘ぐキミカの声)
「えっ!? キ、キミちゃん、それ――、さっきよりも締め付けがきつくなってない?」
(ガタンと言う椅子が倒れる音)
「……え? ど、どこ行くの? ……お手洗い? ……お腹痛い? あの、私もついて行った方が――」
(ズルズルと足を引きずらせるような音)
(息絶え絶えに何かを呟くキミカの声)
「来なくていいって、そんな……。キミちゃん、辛いなら辛いってちゃんと言わなきゃダメだよ? 私、キミちゃんにはいつも良くしてもらってるし、だから……」
(ボソボソと不明瞭な応答するキミカの音声)
「……わかった。……だけど、困ったことがあったら――私でなくても、絶対誰かに助けてもらわなきゃダメだからね」