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話者:進藤エイタ(男性・39歳・国語教師・学年副主任)
場所:童ノ宮第二中学校 生活指導室
日時:2025/4/12 10:45~
「――よし、そこにすわれ。……おい、塚森。お前、寝てるのか?」
(数秒間の沈黙)
「お、おいおい……。身体を前に傾け過ぎだ。今にもひっくり返りそうになってるじゃないか。全くみっともない。もっとしっかりしろよ」
(ズズッと言う椅子を引く音)
「さて、と――。聞くが、お前どうしてここに呼び出されたか、自分で分かってるのか? ……ほら、またボーッとしてる!」
(バン、と強く机を叩く音)
(怯えたように息を飲むキミカの音声)
「塚森! いつもボンヤリしてるけど、今日はいつにもまして酷いぞ! ……は? 背中が重たすぎて辛い? 腰にも来てる? 何だそりゃ?」
(ガタッと音を立てて荒く椅子から立ち上がる音)
「大体、何だよこの汚いヌイグルミは!? お前んとこのクラス、様子が変だったのはこいつのせいか? ……塚森、お前なぁ、小学生の時と違ってもう子供じゃないんだぞ? 全く、何を考えてるんだ!」
(ガン、と爪先で机の脚を蹴る音)
「で? 今日はお父さん、ご在宅か? お前、よく休むし、時々病院に担ぎ込まれる騒ぎ起こすし――。一度、じっくりお話させてもらった方がいいなって思ってたんだよ。……お前に限って言えば、学校側も把握できていないこと、多そうだからな」
(数秒の沈黙の後)
(キミカのすすり泣く音声)
「おい、誤魔化そうとしたって無駄だからな。……言っておくけど先生、お前みたいな甘ったれ一番嫌いだから。お前の家が童ノ宮市で一番古くて由緒正しい神社だからって関係ないから」
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
「お腹も痛い? 責められたら生理ですとか、随分と都合のいいから出してるんだなぁお前? そういう甘ったれたこというやつが先生、一番嫌いだよ」
(バンバンと机を叩き続ける音)
「先生の娘はなぁ、生理中だろうと何だろうと一生懸命、部活に励んでるんだぞ? 少しはお前も頑張れよ!」
(数秒間の沈黙)
(大げさでわざとらしい進藤のため息)
「まあいいや。……とりあえず、そのふざけたオモチャ取れ。先生が預かってやるから」
(泣きじゃくりながら何か答えるキミカの声)
「取れない? ……取れないわけないだろ! いい加減なことを言ってんじゃねーよ! ほらぁ! 取れったら取れ!」
(ドタバタと言う荒々しい足音)
(ガタガタという机がぶつかり合う音)
(キミカの悲痛な悲鳴)
#和風ファンタジー
#伝奇
「こんな下らんことで反抗するな! ほら、早く外せって! ……って、何だこのヌイグルミ!? なかにワイヤーでも通してるのかッ? 腕も足も逆にドンドン締め上げて……? 何のイタズラだよ!?」
(ギリギリと肉と骨が軋む音)
(痛いッと言うキミカの悲鳴)
(驚いたように息を飲む進藤の声)
「お、おい。ちょっと襟を引っぱっただけじゃないか。何も泣き叫ぶことないだろ。大げさな……」
(数秒間の沈黙)
「うわっ!? つ、塚森お前――、く、首すじに血が流れてるぞ。……ど、どうしたんだその耳たぶ!? ひ、酷いことになってるじゃないか! ひょっとして、ひっかいたのか?」
(キミカのすすり泣く声)
「……噛みつかれた? ……その猿に? ……ふざけんなって……そんなわけあるか! だ、だって、それ、ただの汚いオモチャじゃないか! ……は? 怪異? な、何を血迷ったことを言ってんだお前は!」
(数秒間の沈黙)
(かすかに震える進藤の声)
「と、とにかく保健室に行くぞ! 言っておくけど先生はなにもしてないからな! ……ほ、ほら、早く立てって!」
(ガタッと言う椅子が床に激しく倒れる音)
(バタバタとキミカと進藤が生活指導室を出て行く音)