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「、、あれ?」
礼唯は目が覚めると、虫喰い状の模様をした天井が見えた。起きあがろうとするも、体は鎧のように重く、ズキズキと痛む。やっとの思いで起きあがった礼唯は周りを見渡す。
その時、扉が勢いよく開く。
「おぉ!礼唯君!起きたか!」
起きた礼唯を見た伊織は走って、礼唯のベットに駆け寄った。
「無事でよかったよー!」
「伊織さん、ここってもしかして、」
「うん。病院だよ。東京の方だと魔術を使ったよりよい治療が受けられるけど、福岡(ここ)だと病院が限界だったよ。礼唯君以外の街の人たちも今この病院で治療を受けてるよ。」
「そうなんですね、、」
伊織は礼唯のベッドの近くにある椅子に腰掛ける。
礼唯は勇気を出して、次の質問を問いかけた。
「伊織さん、、あの、、父さんは、、?」
それを聞いた伊織は下を向く。その伊織の様子だけで、礼唯は答えを察知した。
「君のお父さんは、、亡くなったよ、、」
伊織の様子から分かってはいたが、言葉にされると、抑えていた涙が溢れてくる。
「なぜ父さんは、、殺されなきゃいけなかったんでしょうか?どうして、、」
礼唯は悔しさのあまり拳を強く握る。
「刻印の儀がもっとはやい日程で行われていたら、僕も魔術が使えて、今頃父さんを助けられたかもしれないのに!」
礼唯は持ち前の運の悪さにも、また絶望した。
「いや、魔術があっても助けるのは絶対に無理だったよ。」
嘆く礼唯の言葉に伊織は現実を話す。
「、、え?無理ってどうしてですか?」
「礼唯君。お父さんの側に誰かいなかったかい?」
「3人くらいの人影が見えました。」
「その3人の人影は頭に何か被ってたかい?」
「たしか、、魔女の帽子っぽいものを被ってた気がします。」
「やっぱりか、、」
伊織の言葉に礼唯は疑問が募る。
「やっぱり?どういうことですか?」
「君が見た人影たちは”導鏡官”の可能性が高い。」
「導鏡官?」
「あれ?礼唯君知らない?まぁ君のお父さんは魔術に関してはあんまり喋らない人だったし、知らないのも無理はないか。導鏡官ってのは国から雇われためちゃめちゃ優秀な12人の魔術師のことだよ。」
伊織の説明に、礼唯は驚きのあまり声が出なかった。
「で、でも魔女の帽子なんて魔術師なら誰でも被るんじゃないですか?まだ導鏡官と決まったわけじゃ、、」
「魔女の帽子は導鏡官にしか身につけることが許されないものなんだ。国の許可なく導鏡官以外のものが被ると精神が崩壊してしまう。政府はそういう呪文を法に刻んでいる。」
伊織の説明に、礼唯は自暴自棄になる。
「じゃあどうして国から雇われた僕たち国民の味方の魔術師が父さんを殺したんですか?!父さんは何か悪いことをしたんですか?!」
礼唯は抑えていた激しい感情が表に出てしまった。
「正直分からないことだらけで私も混乱しているんだよ。ただやっぱり導鏡官の中に首謀者がいることを疑うのが一番妥当かもね。犯人さえわかってしまえば後のことも分かるはず。」
「なら導鏡官の人たちに話を伺いに行きましょう。」
礼唯は伊織にそう提案した。
「いや、それは無理だ。導鏡官には政府の人間か、関係者以外会うことができないんだよ。」
「え!それじゃあ僕は何もできないじゃないですか?!真相も知れないまま、、父さんの人生がぞんざいにされたまま、、」
あまりの悔しさに礼唯は伊織に強くあたってしまった。
「、、ごめんなさい。伊織さんに当たってしまいました。」
「いいんだよ礼唯君。たった15歳で両親を亡くしてしまったんだ。それも原因が分からないままね。私に当たるのも仕方ないさ。それに礼唯君。まだチャンスはあるよ。」
「え!!」
伊織の言葉に礼唯は目を輝かせる。
「チャンスってなんですか!」
「それはね、、君が導鏡官になればいい!」
「えっ!僕が?」
「そうそう!導鏡官は12人しかなれないんだけど、10年前にその内の4名は死亡。1人は導鏡官を辞めてるんだよね。
つまり、残りの枠の7人の内に入れば、君も導鏡官の仲間入り!」
「え?待ってください。10年前からずっと7人なんですか?国は残りの7枠を埋め合わせしないんですか?」
「毎年選抜は行われているけど、その試験はとてつもなく過酷でね、受験生は毎年全滅してるよ。」
伊織の話を聞いてとてつもない恐怖が礼唯を襲った。
「そんなの絶対無理ですよ、、」
「おや?礼唯君、さっきの怒りはどうしたの?お父さんを殺した犯人を知りたいんでしょ?ここで弱音を吐いちゃってどうするの?やるしかないんだよ。魔術師にとって一番大切なのは魔力ではなく忍耐力だよ!ここで折れてるようじゃ君のお父さんもきっと報われないよ」
伊織の強い言葉に心が傷んだが、それと同時に強い決心をする。
「伊織さん、僕は導鏡官になって父さんの仇を討ちます!」
導鏡官(どうきょうかん)
国から雇われた非常に優秀な12人の魔術師。