テラーノベル
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「もう、無理だから」
遥がそう言った途端、後ろから肩を掴まれた。
「何が?」
「仕事できないって?」
「……違う」
「じゃあ何が無理なの?」
答えられない。
その間に、机の上に置かれていたプリントをまとめて頭から被せられた。
紙が床へ散らばる。
「ほら、拾えよ」
「……今は、無理」
「またそれ?」
腕を掴まれる。
遥は振りほどこうとしたが、力が入らない。
「離して」
「嫌だね」
反対側からも腕を押さえられる。
「こいつ、今日ずっとこんなんじゃん」
「水かけられてから余計ひどくね?」
「じゃあ温めてやる?」
笑い声が起きる。
遥は身体を縮めた。
「やめて」
「聞こえない」
「……やめて」
「もっとちゃんと言えよ」
肩を押され、机に身体が当たる。
その拍子に、さっき拾ったプリントがまた床へ落ちた。
「ほら」
「拾えって」
「早く」
遥はしゃがもうとした。
けれど、背中を押されて膝をつく。
「遅い」
「何でそんな動けねぇの?」
「具合悪いんじゃね?」
「だったら保健室行けばいいじゃん」
「でもこいつ、自分から言わないだろ」
笑われる。
遥は床に散らばった紙へ手を伸ばした。
指先が震える。
一枚掴む。
もう一枚。
けれど、視界が揺れて文字が読めない。
「何ぼーっとしてんの?」
紙を取り上げられる。
「これ全部、今日中だからな」
「……分かった」
「声小さ」
「分かった」
「じゃあ立てよ」
遥は机に手をついた。
立とうとする。
足が震えた。
一度、膝が崩れる。
「おい」
笑い声。
「本当に弱ってんじゃん」
「もういいって」
「いや、こいつが勝手に倒れたら困るだろ」
「何で?」
「仕事残ってんじゃん」
また笑いが起きる。
遥は顔を上げた。
何か言わなければと思った。
助けてほしい。
その言葉が喉まで出かかった。
でも、言えなかった。
言えば、もっと面倒になる。
助けてもらったら、その分だけ何かを返さなければならない。
助けを求めたことで、さらに嫌われるかもしれない。
だったら、黙っていればいい。
いつもそうしてきた。
「ほら、立てって」
肩を掴まれる。
遥はもう一度、足に力を入れた。
その瞬間、視界が暗くなった。
音が遠ざかる。
誰かが何か言っている。
けれど、もう意味が分からない。
遥の身体から力が抜け、そのまま床へ崩れ落ちた。
コメント
1件
読んでて胸がぎゅってなった……。遥くん、ずっと「助けて」って喉まで出かかってるのに飲み込んじゃうところ、すごくリアルで苦しかった。「黙っていればいい」って思わせちゃう環境がもう辛すぎる。最後崩れ落ちた描写、音が遠ざかるところまで書かれてて、読んでるこっちまで息が詰まった……。次の展開がすごく気になる😢 書いてくれてありがとうございます。ちゃんと受け取りました。
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#ヘタリア腐
𝕕𝕣𝕖𝕒𝕞
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