テラーノベル
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#伝奇
#モキュメンタリーホラー
廃墟を飛び出すと既に陽は沈み、あたりは真っ暗だった。うちらはしっかり手を繋いだまま、駐車したまま車の前を駆け抜けていた。
そのまま幹線道路に飛び出し、勾配のきつい斜面を文字通り滑るようにしてくだってゆく。
下手をすれば谷底に転落する可能性もあったが、道路をただ真っ直ぐに逃げ続ければいずれは捕まってしまうことは火を見るよりも明らかだった。
女子高生の手を引きずりながら闇の中を進んでいると、微かに水の流れる音が聞こえて来た。ひょっとしたら川が近いのかもしれない。
だとすれば麓までそんなに遠くない、ということになる。
走る速度をさらにあげようとした時――
「……ね、ねぇ。……お願い、ちょっと待って」
うちのすぐ後ろで悲痛な声。
ふり返ったうちに弱々しく哀願したのは女子高生だった。
「わ、私、さっきどこかに靴が片方、脱げちゃって爪が割れて痛くて……。お願いだから少し休ませて……」
うちは何も答えないまま、懐中電灯を点灯。
光の束が少し崖の上に投げかけられ――、闇に浮かび上がらせたのは白っぽい平屋の建物。
多分、コンビニか何か。
店内が真っ暗なことから経営中でないのは明らかだろう。
「……わかった。取り敢えず、あそこに身を隠そ」
懐中電灯を消し、女子高生を振り返った。
「そろそろ教えてや。……あんた、名前は?」
一拍の間を置いて――、
「……アキ子。米倉アキ子」
消え入りそうな声で女子高生が答えた。
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