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「や、弥生。その男は……誰なんだよ! ああ……わかったぞ! あいつだ!」
その黒いサングラスの男には、俺は見覚えがあった。弥生が事故を起こした時に同じニュースにでていた男だった。なんでも、非合法グループのリーダーだったようだ。弥生を死に追いやった。冤罪を着せた張本人だ!
俺は拳を握ると、その男に殴りかかって行った。
だが、サングラスの男は、俺の拳をあっさり避けてしまった。
代わりに男のフックが俺の腹を抉っていた。
「ぐほっ! いってーーー!!」
俺は大叫喚地獄の真っ赤な地面で、転がり込んだ。
「フフフッ……わけわかんねえ。いきなり殴りかかって来やがっって!!」
その次は、サングラスの男が俺の頬をサッカーボールを蹴るように、思いっ切り蹴り飛ばした。
「いってーーー!!」
「やめろ!」
弥生が俺とサンクスの男の前に、立ちふさがった。
「フン! 弥生よ! お前には散々役に立ってもらったけどなあ。こいつは誰なんだ? ひょっとしてお前の彼氏か?」
「違うんだよ! 兄貴だよ!」
その時、一人の獄卒がこの喧嘩に気がついて、金棒を振り回して襲ってきた。
「や、やべえなあ!」
サングラスの男は、骸の山を登って素早く逃げ出した。
「いててててて」
「大丈夫か? 兄貴?」
「弥生! 早く逃げるんだ!!」
「ダメだ! 兄貴を置いてけない!」
「しょうがねえなー」
俺は血反吐を唾と一緒に、吐き出して必死に立ち上がった。弥生を連れ、サングラスの男を追い掛けた。その後ろから獄卒も俺たちを追い掛けた。
俺は骸の山の天辺で、サングラスの男に追いつくと、再び拳を握った。
だが、真後ろまで獄卒が迫ってきていた。
「なんだ?! まだ俺とやるのか!! お兄ちゃんよ!!」
「ああ!! 一発お前を殴らないと、スッキリしないんだよ!!」
固く握った拳を、サングラスの男の顔面目掛けて思いっ切り振り上げる。
その時、骸の山の上で骨の腕を踏んだせいで、サングラスの男がバランスを大きく崩した。見事、俺の拳がサングラスの男の顔面を抉った。それから、獄卒が俺たちの間に割って入った。
金棒を振り回す獄卒の動きが、俺にはスローモーションのように見えた。獄卒の金棒は、よく見ると元々血塗られていた。それがサングラスの男の上半身を容赦なく粉々に粉砕する。
バキバキと大量に骨の折れる派手な音が辺りに鳴った。
「ぐっ!! ぐへええ!」
サングラスの男の身体は、その場から血をまき散らして遥か彼方へ吹っ飛んだ。