テラーノベル
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一番きつかったのは、彼女の周りに漂う「空気」だった。
僕が通りかかると、彼女の周りにいる友達がヒソヒソと話し、クスクスと笑う。 それが僕のことを「面白い変なやつ」として笑っているのか、それとも「しつこい哀れなやつ」として蔑んでいるのか、僕には判別がつかなかった。
ただ、中心にいる匿名A子だけは、僕と決して目を合わせようとはしなかった。
彼女は、僕を拒絶しているというより、僕という存在を最初からそこにいない「空白」として扱っているようだった。 誰かが僕を指して笑っていても、彼女だけは無表情に、あるいは少しだけ困ったような顔をして、僕を避けて通り過ぎる。
「……僕、何なんだろう」
面白がられているのか、心底嫌われているのか。 その正解がわからないまま、ただ「避けられている」という事実だけが、春の陽光の下でくっきりと際立っていた。
かつては僕たちの仲を応援してくれていた相談相手B子も、その空気の中にいた。 彼女はもう、僕に作戦を授けてくれることはない。 ただ、遠くから「あーあ」というような、諦めと軽蔑が混ざったような視線を送ってくるだけだった。
自分で考え、自分で行動した結果が、この「クラスの笑いもの」あるいは「透明人間」という結末。 喘息の発作機を握りしめながら、僕は教室の隅で、その不確かな視線の嵐に耐えていた。
「もういいか」と一度は思ったはずなのに、避けられるたびに、無視されるたびに、心の奥の薄い膜が剥がれ落ちていく。 怒ることも、泣くことも、もうできない。 ただ、自分がこの世界にいてはいけないような、そんな根源的な否定だけが、春の風に乗って僕を通り抜けていった。
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らむらむ