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水面に落ちた星屑

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水面に落ちた星屑

第41話 - 第41話

128

2024年07月13日

#恋愛

#大人の恋愛

#大人ロマンス

#第3回テノコン

#ハッピーエンド

#純愛

瑠璃マリコ

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瑠璃マリコ

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それから二ヶ月が経った。

優羽が作った『peak hunt5』のコーディネートの企画書はほぼ全てにOKが出された。

そして優羽は実際のコーディネートに使う衣類や小物を探す作業を始めていた。

優羽が考えた街着としてのアイディアは、岳大と井上に絶賛される。

『peak hunt5』はアウトドアシーン以外に、街着として活用できるイメージを定着させるチャンスになるかもしれない。

その為には、次のカタログにそのアイディアを載せる必要があった。

この日優羽は東京へ向かっていた。

次のカタログのコーディネートに必要な物を仕入れに行く為、優羽は山荘の仕事の休日二日と、一日の有休を貰い二泊三日の

東京出張へ向かっていた。

山荘の仕事は、優羽のピンチヒッターとしてフロント業務を覚え始めていた舞子が代わりにやってくれる事になっている。

舞子は母親の死後時間に余裕が出来たため、優羽が休みの日や紗子がフロント業務を出来ない時の代わりとして、少

しずつフロントの仕事を覚えていた。

そして流星は優羽の実家で預かってもらう事にした。

兄の裕樹がちょうど遅い夏休みをとっていたので、その間は流星の面倒を見てくれると言った。

母の恵子も、久しぶりに孫と一緒に過ごせると嬉しそうだ。

優羽は協力してくれる皆に感謝しつつ、電車の揺れに身を任せながら、『peak hunt5』の仕事へ集中していた。

今回コーディネートに使う小物や商品を探した後は、事務所での打ち合わせに初参加させてもらう事になっている。

東京での宿は、岳大の事務所がビジネスホテルをとってくれた。

優羽は東京へこうして仕事で出向く事になるとは夢にも思ってもいなかったので、

窓に流れる景色を見つめながら人生の不思議を感じていた。

電車は次第に人が溢れた都会の街中を走り始めている。

優羽荷物をまとめて電車を降りる準備を始めた。

電車を降りた優羽は、まずは代々木公園近くのビジネスホテルへ向かった。

岳大は荷物があるからタクシーを使って移動して下さいと言っていたが、優羽は電車で行く事にする。

昔、新宿のデパートに勤めていた時はよくこの路線を使った。

窓の外に流れる懐かしい景色を見つめていると、あっという間に目的の駅へ着く。

そこから五分程歩くとビジネスホテルへ着いた。

ホテルは出来たばかりでまだ新しかった。

一階にはお洒落なカフェが併設されていて、ホテル内はどこも清潔感に溢れていた。

部屋もロビーも女性が好みそうな内装で、おそらく女性に人気のホテルなのだろう。

優羽は部屋に荷物を置くと、小さなバッグだけを持ってすぐに原宿を目指した。

原宿は多くの若者達で賑わっていた。ここはいつ来ても活気に溢れている。

表通りはとても賑やかだが、一つ裏通りに入ると一気に静かになる。

裏通りにはセンス溢れるショップやカフェが点在し、表通りとは違った表情を魅せている。

優羽はアパレル会社にいる時から、原宿には小まめに通っていた。

ここへ来ればその時の流行がわかる。

だから市場調査を兼ねて休日によく訪れていた。

優羽は早速メモを片手に、目的の物を探し始めた。

気付くと四時間近くショップを渡り歩いていた。

その甲斐あり、ほぼ目的の物は全て手に入れることが出来た。

その時優羽は朝食以降何も食べていない事に気付き、裏通りのカフェで軽く昼食をとった。

そして買った物をホテルへと持ち帰った。

ホテルへ戻ると岳大からメッセージが届いた。

【無事に東京へ着いたかな？　今夜は三人で食事会を開こうと思っていますが参加出来ますか？】

【大丈夫です。今、大体の買い出しを終えてちょうどホテルへ戻った所です。何時にどこへ行けばいいですか？】

【夕方六時にホテルの前で待っていて下さい。迎えに行きます】

優羽はわかりましたと返事を送った。

約束の時間までまだ時間があったので、優羽はシャワーを浴びてから少し休んだ。

時間になると部屋を出てホテルの前で待つ。

すると優羽の前に岳大の車が停まった。車は井上が運転し、助手席に岳大が乗っていた。

岳大は助手席の窓を開けると優羽に声をかける。

「わざわざ東京まで来てくれてありがとう！　さぁ乗って！」

「お久しぶりです！　今回はホテルまで取っていただきありがとうございます」

優羽はそう挨拶をすると後部座席へ乗り込んだ。

そこで井上も優羽に声をかける。

「優羽さんお疲れ様！　今日は美味しい物をいっぱい食べて僕達の新しい門出を祝いましょう！　あ、と言っても、僕はお酒は

飲めないんですけれどね」

と言って笑ったので、優羽も釣られて笑う。

それから三人が乗った車は予約してある店へ向かって走り始めた。