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そらゝ
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その日の取材は無事に終わった。
栞と愛花は片付けを済ませると、まだ仕事が残っているという直也を研究室に残し、外へ出た。
今回の直也からのお礼は、ホテルのスイーツビュッフェに連れて行ってもらうことが決まっている。
大学を出て駅に向かう途中、愛花が口を開いた。
「教授って、本当にすごいよね。改めて尊敬しちゃった」
「フフッ、もしかして愛花も惚れた?」
「うーん、隼人がいなかったら、考えてたかも!」
「やっぱり隼人さんが一番なんだ! はいはい、ラブラブで何よりです!」
「へへ、照れるなぁ……。でもさぁ、私たちの恋人って、どっちも超素敵男子じゃない?」
「そうだね」
そう言って二人はクスクスッと笑うと、腕を組んで歩き出した。
駅で愛花と別れた栞は、電車に乗り自宅へ向かった。
今日はバイトもないので、夜はのんびり家で過ごすつもりだった。
最寄り駅で降りるとスーパーで買い物を済ませ、マンションへ向かった。
そして、マンションの前でオートロックを解除しようとした時、突然背後から声が響いた。
「栞ちゃん、こんばんは」
振り向くと、そこには重森が立っていたので栞は驚いた。
「重森さん、なぜここに?」
「もちろん、君の帰りを待ってたんだよ」
「え? でも、私の家がなぜここだって分かったのですか? まさか……」
「人聞きの悪いことを言わないでよ。それじゃあまるで俺がストーカーみたいじゃないか」
重森は苦笑いを浮かべてみせた。
重森には、ヨット部のイベントの帰りに一度だけ送ってもらったことがあるが、その時はマンションのだいぶ手前で車から降ろしてもらったので、栞がここに住んでいることは知らないはずだ。
一体どうやってここがわかったのだろう?
(まさか、つけられてた?)
栞は思わずギョッとした。
「と、とにかく、迷惑なので帰ってください!」
「ハハッ、そんなに照れなくてもいいじゃないか。せっかく来たんだし、お茶でも一杯飲ませてよ」
「駄目です! 帰ってください!」
「そんな冷たいこと言わないで~。どうして君はいつも俺にそんなに冷たいの? それって、俺を意識しているからじゃないの?」
「違います!」
「まあいいさ。それで、部屋は何階?」
重森は栞と一緒にマンションへ入ろうとしたが、オートロックが解除されていないため入ることができない。
しびれをきらした彼は、栞の腕を掴んで引き寄せると、強引にオートロックを解除させようとした。
「何番?」
「やめてください!」
栞が抵抗の声を上げると、通りすがりの人々が不信な目を向け始めた。しかし、重森はまったく諦める気配がない。
(どうしよう……)
栞が焦っていると、突然彼女の名前を呼ぶ声が響いた。
「栞ちゃん?」
栞はハッとして声の方を振り向くと、そこには直也の同級生でありカフェ店主の奥野が立っていた。
「奥野さんっ!」
「どうしたの? 大丈夫?」
「あ、あの……この人が無理やり私の家に入ろうとして…….」
「なんだって? そりゃあダメだろう!」
奥野の強い口調に、重森は一瞬怯んだ。彼が怯むのも無理はない。奥野の鍛え上げられた肉体を見れば、誰だって怯むはずだ。
そこで奥野は、重森に向かって言った。
「おい、俺の彼女に何をしている! お前は一体誰だ? 無理矢理彼女の家に入ろうとするなんて、犯罪じゃないか! 今すぐ警察に通報されたくなかったら、さっさと消え失せろ! もう二度と彼女には手を出すな!」
奥野の言葉を聞いた栞は、驚きで目を見開いた。
一方、プライドの高い重森は、すぐさま反論した。
「はん? お前が彼女の恋人だって? それマジで言ってるのか? それがもし本当なら、残念だったなぁ。お前は二股かけられてるぞ、可哀想に! 栞は、貝塚って男ともよろしくやってんのを知らないのか? あーあ! まさか、こんな初心な振りをした女が、二股かけてるとはなぁ! 危うく俺も騙されるところだったぜ!」
そう言い捨てると、重森はその場を後にした。
その瞬間、栞はホッと胸をなでおろした。
「奥野さん、ありがとうございました」
「ちょうど通りかかってよかったよ。あいつは誰?」
「同じ大学の先輩です。ずっとしつこくて……」
そう答えた後、栞は先ほどの奥野の言葉を思い出し尋ねた。
「奥野さん、今、私のことを『彼女』って……?」
「ハハッ、あれは直也がよく使う『嘘も方便』ってやつね。これ、結構使えるよなー」
奥野が楽しそうに笑ったので、栞もつい釣られて笑ってしまう。
「それに、あいつが栞ちゃんと同じ大学の先輩なら、直也と付き合ってるのがバレると面倒だろう? だから、俺の彼女ってことにしておくのが一番だと思ったんだ。勝手にごめんね」
「いえ、全然。すごく助かりました」
「それならよかった。でも、あいつがまた来るかもしれないから気を付けてね。マンションに入る時は、周りをよく見回してから入った方がいいよ」
「はい、気をつけます」
「じゃ、またね。パフェが食べたくなったらいつでもおいで!」
「はい、ぜひ! 本当にありがとうございました」
栞は礼を言ってから、ゆったりと歩く奥野の後ろ姿をじっと見送った。
コメント
48件
奥野さんがたまたま通りかかったからよかった……
重森はストーカーを自覚した方が良いよ😨😨 そんな強硬手段で栞ちゃんに振り向いて貰えないでしょ💦 プライドだけ謎に高くて中身はお子ちゃまだよ😮💨 奥野さんは紳士だし機転が利いててさすが👏👏 栞ちゃんはもう直也さんと一緒に暮らした方がいいよ😢 直也さんも絶対に重森を許さないだろうね🤬🤬

華子といい重森も最低だな😱栞ちゃんに執心しているかので、重森は華子にしておきな!今回は、偶然とは言え奥野さんが、居合わせてくれて本当によかった、よかった😯