テラーノベル
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栞と別れた後、奥野は歩きながら携帯を取り出し、直也に電話をかけた。
「もしもし、直也? 今大丈夫?」
「ああ、今ちょうど大学を出て車に乗ったところ! どうした?」
「いや、さっきさ、栞ちゃんとバッタリ会ったんだけど、彼女、変な男に絡まれて無理矢理マンションに押し入られそうになってたんだよ」
奥野の言葉を聞いた瞬間、直也は言葉を失う。そして、慌てて聞き返した。
「栞は大丈夫なのか?」
「ああ、俺がちょうど通りかかって助けたからセーフだったわ」
スマホ越しに直也が安堵する様子が伝わってきた。
「そうか、ありがとう。助かったよ」
「うん。何事もなくてよかったよ」
「で、相手はどんな男?」
「栞ちゃんは、大学の先輩だって言ってた」
「その男って、背が高くて今風のツーブロックの奴?」
「そう。やたら格好つけてる感じの男だったな」
「やっぱりあいつか。いや、そいつ医学部の四年でさ、栞にずっとしつこくしてるんだよ」
「なるほど、そういうことか! でさ、俺、そいつに『俺が栞の彼氏だ!』って言っといたわ」
「ん? どういうこと?」
「いや、あいつ、お前のことを知ってたし、二人の仲を疑ってるみたいだったからね。だから、俺がダミーで彼氏になっておいた方がいいかなって……」
「お前はいつも気が利くなぁ! ありがとう。助かったよ」
「ハハッ、でも実は、栞ちゃんがあんまり可愛いから俺も立候補しようかなーって思ってさぁ……」
「ハッ? お前調子に乗んなよ!」
「冗談だよ冗談!」
奥野はそう言って愉快そうに笑った。
「まぁ、栞ちゃんはモテるみたいだからしっかり掴まえておいた方がいいぞ!」
「わかってるよ」
「じゃあ、電車が来たから行くよ」
「忙しいのに悪かったな! サンキュー!」
二人はそこで電話を終えた。
直也は、車のエンジンをかけ、急いでアクセルを踏む。
どこにも寄り道をせず、彼はマンションへ帰った。
そして、車を駐車場へ停めると、部屋には戻らずそのまま栞のマンションへ向かった。
(まさか、あいつがストーカーまがいのことをするとはな)
直也は少し苛立ちを覚えながら、重森のことを思い返していた。
その頃栞は、ダイニングチェアに座り、窓の外をぼんやり眺めていた。
奥野と別れ部屋に戻った後は、何もする気力が湧かず、そのまま座り続けていた。しかし、窓の外が薄暗くなるのに気付いた瞬間、ハッと我に返った。
(夕飯の支度しなくちゃ)
そう思いながら、栞は重い腰を上げると、米を研いで炊飯器にセットする。
(そろそろじゃがいもを使わないと。面倒だけど肉じゃがにしよう……)
皮剥きはもともと嫌いだったが、あんなことがあった後だとさらに気が進まない。
(こんなことなら、スーパーでお弁当かお惣菜を買ってくればよかったな)
ため息をつきながら、栞はじゃがいもとピーラーを調理台の上に置いた。
その時、インターフォンが鳴った。
その音に、栞の身体がビクッと反応した。
(まさか、重森さんが戻ってきたとか? ううん、それはないわ。だって、彼は私の部屋番号を知らないもの)
不安を抱えながらインターフォンのカメラを確認すると、心配そうな顔をした直也の姿が映っていた。
「先生?」
「やぁ! 突然のお宅訪問でーす!」
直也がふざけた口調で言ったので、思わず栞はクスッと笑った。
数分後、栞は玄関のドアを開けた。
「先生、急にどうしたんですか?」
「奥野から連絡があってさ、心配で様子を見にきた」
「奥野さんが?」
「マンションの前にいたのは、重森だろう?」
直也はスリッパを履きながら、栞に確認した。
「はい……」
「やっぱりあいつか! でも部屋に入られなくて本当によかったよ。これからマンションに入る時は、ちゃんと周りを見回してから入ること!」
直也の言葉に思わず栞はクスッと笑った。
「ん?」
「奥野さんも同じことを言ってました」
「あのね、そんな危ないシーンを見たら、誰だってそう言うの。栞はガードが甘すぎるから、マジで気をつけて!」
そらゝ
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直也は優しく𠮟りつつ、切ない表情で栞を抱き締めた。
「あっ……」
突然直也の腕の中に引き寄せられた栞は、驚いて声を上げた。
だが、直也は気にせずに、栞の髪に鼻を埋めながら言った。
「電話で聞いた時は、ゾッとしたよ」
「ごめんなさい……」
「プライドが高い奴は何をしでかすかわからないから、何かあったら必ず僕に報告すること! いいね?」
「はい……」
栞は、自分を心配してくれる直也の気持ちが嬉しくてたまらなかった。
「よしっ! じゃあ説教は終わり!」
直也は栞から身体を離すと、キッチンの調理台を見た。
「あれ? 今日は肉じゃが?」
栞は置きっぱなしにしていたジャガイモを思い出した。
「はい。でも皮をむくのが面倒で……」
「よっしゃー! 俺が剥いてやるよ!」
「えっ、でも、先生疲れているんじゃ?」
「ジャガイモの皮くらい剥けるよ」
「本当に? じゃあ、お願いします」
それから二人は、キッチンに並んで立つ。直也はピーラーさばきが、想像以上に上手かった。
「キャンプでの定番料理がカレーだから、皮むきはわりと得意なんだよ」
「え? 先生のカレー? 食べたい!」
「いいよ。じゃあ次はカレーパーティーにしよう」
「やったー!」
栞は無邪気に喜ぶ。
ジャガイモの皮をむき終わると、直也は栞に言った。
「悪いんだけどさ、やっぱ、肉じゃがができるまで、ベッドで寝かせてもらってもいい?」
大あくびをしている直也を見ながら、栞が聞いた。
「先生、寝てないの?」
「うん、最近ちょっと睡眠不足でさぁ、もうヘロヘロだよ」
そう言って、直也はふたたびあくびをした。
「ベッド、使ってください」
「悪いね。食事ができたら遠慮なく起こしてね」
直也はそう言うと、ベッドまで行ってバタンと倒れ込んだ。
そして、あっという間に寝息を立て始めた。
栞が料理をしていると、ベッドからスヤスヤと寝息が聞こえてきた。
(本当に眠かったんだわ。それなのに、わざわざ寄ってくれたなんて……)
そんな直也の思いやりが嬉しくなる。
栞は、肉じゃがを煮込んでいる間に、生姜焼きと味噌汁を作り、生野菜のサラダも添えた。
料理をテーブルに並べた後、栞は直也の様子を見に行った。
ちょうどその時、直也が目を覚ました。
「先生、食事できました」
「ありがとう。少し寝たらだいぶ楽になったよ。あ~腹減った~」
それから二人は、窓辺のテーブルで向かい合い、夕食を食べ始めた。
コメント
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え〜だって重森に押し入られたら直也先生も慎重にタイミング測っている栞ちゃんとの初めてと気持ちを重森ならそんなのお構えなしで襲って来そうだった😱重森は、華子と連んでたらいいじゃん!直也先生お疲れモード120%💦栞ちゃんご飯食べて元気パワー回復して下さいませ!!
重森のヤロー💥👊 栞ちゃんの家に押し入ろうなんてサイテー👎 寝不足で疲れていても大事な栞ちゃんのピンチに駆けつけて、栞ちゃんをハグ🤗➡️からの華麗なピーラーさばき🤣🤣🤣 直也せんせー、奥野さんナイスコンビプレー👍🩷 美味しい肉じゃが🥔楽しみだね😆⤴️⤴️
突撃!隣の晩ごはんみたいじゃないの😆大きいおしゃもじ持ってきた?ってくらい明るくやってきた直也の気持ちにうるっときちゃった。お説教も優しくでも強く栞ちゃんに必ず届くような言い方をしたよね✨ 栞ちゃんの手料理を食べて楽しいひと時を過ごしてね〜💕 あっー!お泊まりしちゃう???💕