「あ、あの……すいませんっ! やっぱりお一人で入られてください!」
毛布を鼻先まで引いたまま、お詫びして断ろうとすると、
「えっ、一人で入るのか?」と、聞き返された。
「えっ……って?」まさかの切り返しに、これはなんて答えたらいいんだろうと思い悩む。
だって恥ずかしすぎて、お風呂に二人でなんて、到底無理だもの……。
ベッドの中で、そんなことを悶々と考えあぐねていたら、
「……一緒には、入ってくれないのか?」
不意に彼が、首を傾げて甘えたな口ぶりで訊いてきて、思わず胸がずきゅんと撃ち抜かれてしまった。
……ああこれはもう、天然の人たらしさんの術中にハマってしまったのかもしれないと、
「……入ります、一緒に」
答えると、照れくささのあまり本気で顔から火が出そうにもなって、被った毛布が焼け焦げるんじゃないかと思うくらいだった。
彼の方は先にバスルームへ入って行ったけれど、私はなかなか後を追うことができなくて、せめて少しでも羞恥心が薄れればと棚に畳まれていたタオルを引き出すと、胸から下を隠して浴室のドアをそろそろと引き開けた。
「遅かったな」
お風呂なので当たり前なのだけれど、目の前に一糸纏わぬ彼の姿があって面食らう。
そりゃ既に裸体は見てもいたけれど、でもこんなに明るい場所だと、どうしたって目のやり場に困るって言うか……。
「……あっ、あのお背中、流しますか?」
胸の鼓動がドキドキと早まって、せめて自分の気を紛らわせようと口にした。
「ああ、頼むよ」
けれど向けられた広くて大きな彼の背中に、気持ちを逸らすつもりが、よけいに魅了され目が釘付けになってしまう。
……彼ったら、色気が有りあまり過ぎてるんだもの。ほんと、ため息が出ちゃうくらいに……。
よく引き締まったその身体にぼーっと見惚れつつ、身体を洗うスポンジを取ろうとしたら、
「手で洗ってくれないか?」
ふと彼が振り向きざまに口を開いて、頭がそれこそ瞬間湯沸かし器みたいに沸騰するんじゃないかと思った……。
コメント
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きゃー🩷照れちゃう🎵