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コメント
1件
みぅです🤍🥀 「心の枷」って言葉、すごく刺さりました……。自分から選んだ道なのに、それをちゃんと背負う覚悟をするって、並大抵じゃないですよね。亜紀ちゃんの震えとか、涙とか、それでも彼の背中を信じようとする強さが切なくて。 今泉さんの「調教」という言葉にゾクッとしたけど、でもその前の「つらさも痛みも背負う覚悟」っていう台詞がすべてを包んでて。 月明かりだけが見てる夜のシーン、静かで美しかったです🌙
私が怖い生き物……?
今更ながら自責の念が込み上げ、視界が涙で霞んでいく。
「……ごめんなさい。今泉さん、私は……」
「面白いよ、亜紀ちゃん。喜んでその役を引き受けさせてもらう」
口ごもる私の声を掬い上げるように、彼が言葉を差し入れた。
「えっ……」
「俺が亜紀ちゃんを大切に育てる。
艶やかで美しい輝きを放つ、大輪の花を咲かせるよ」
淀みなく言い切ると、彼は私の震える手を強く握った。
「今泉さん……」
言葉にできないほどの熱い感情が溢れる。
目を伏せながら滲んだ涙を堪え、彼の力強い手を握り返した。
「亜紀ちゃん……指輪、どうしたの?」
不意に彼が問う。
「えっ……。ここへ来る途中で外して、バッグのポケットに入れました……」
顔を上げ、ばつが悪そうに答えた。
「出してごらん」
「えっ……あの……」
「指輪、俺に貸して」
今泉さんは優しく微笑み、戸惑う私へ手のひらを差し出した。
「……」
私は躊躇しながらも、言われた通りバッグから指輪を取り出し、ゆっくりと彼の大きな手のひらに乗せた。
すると彼は私の左手を取り、薬指の先へ指輪を当てた。
「今泉さん!?」
私は驚きの声を上げ、反射的にその手を引いた。
けれど、彼は私の手を握ったまま離さない。
「駄目だよ。指輪を外したら」
今泉さんは私の瞳を見つめたまま、低く言った。
「今泉さん……」
どうして……
指輪を拒むように左手を握り締め、赤らんだ目で彼を見つめ返した。
「この指輪を外したら、御主人への復讐にならない。
君はこれから狡い女になるんだろ?
ただの恋愛に逃げる気はない……君がそう言ったんだ」
「……」
「狡い男と狡い女。
これから罪悪感も一緒に背負うんだ。
この指輪は、俺と君の心の枷だよ。
……ほら、指を貸してごらん。――亜紀」
今泉さんは柔らかな口調でそう告げると、私の薬指をそっと指でなぞった。
二人の心の枷……
自分を見失わないための枷……
私は口を閉ざしたまま、握り締めていた指をゆっくりと開き、彼に導かれるままその呪縛を受け入れた。
想い人の手によって戻された、薬指のシルバーリング。
複雑な感情に胸が締め付けられる。
彼は私を引き寄せて抱きしめると、耳元で囁いた。
「亜紀……つらい?」
今泉さん……
彼の腕の中で、ずっと堪えていた涙が一滴、頬を伝って流れ落ちた。
「覚悟を決めるっていうのは、つらさも、痛みも背負う覚悟なんだよ。
……狡い人間は、痛みを感じることから逃げちゃいけない」
夢と現実……
私が引き返す最後のチャンスを与えてくれているのだろうか。
この人なら大丈夫……
甘い言葉で女に夢だけを見させ、無責任に逃げ出す男なんかじゃない。
信じたい……
この人を。
信じたい……
この人に惹かれた、自分自身を。
「……はい。私、逃げません」
彼の背中に手を回し、温もりに身を預けながら小さく頷いた。
「……そうか。それなら、紳士的なおじ様はここまでだな。
純真無垢な亜紀は、これから俺に調教されるんだ」
今泉さんは私の顔を覗き込み、にっこりと笑った。
「えっ? 調教って……あの……何ですか、そ……んんっ……」
私の言葉を遮るように、彼の唇が重なった。
「……んっ……ぁ……」
舌が絡むと、身体の奥がじわりと熱を帯び、甘い疼きが走った。
重なる唇の間から、微かな水音が漏れる。
激しい口づけに意識を奪われ、パンプスの踵がぐらつき、砂利を弾く音がした。
「……ま、待って……まだ、心の準備が……」
息を吸う間も与えられないほど、重ねられる熱い口づけ。
痺れるような感覚に身体ごと持っていかれそうになり、思わず唇を離した。
「心の準備?
自分から抱いてくれと言ったのに?」
今泉さんは慌てる私を見つめ、くすっと悪戯っぽく笑った。
「そっ、それはそうなんですけど……意地悪言わないでください」
耳まで赤くしながら、恥ずかしさに言葉を詰まらせた。
俯く私を強く抱き寄せた今泉さんは、耳元に甘い息を落とす。
「亜紀が俺を選んだんだ。
……もう『待った』は許してあげないよ」
そう告げると、私の手を引き、公園の出口へ向かって歩き出した。
高層ビルの谷間に浮かぶ月が、すべてを見透かすように私たちを見下ろしている。
私は……
後悔しない。
絶対に。
私は月の光から逃れるように彼の広い背中へ視線を移し、しっかりと繋がれた手に力を込めた。