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3 - 第1話「ジグマと目蒲との出会い」

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2025年02月01日

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第2話「ジグマと目蒲との出会い」

  1. 忘れ物と不思議な出会い


「…あれ?やばい、今日の宿題なんだっけ?」


目蒲 安(めがま やすし)はノートを開いたまま、頭を抱えた。放課後の教室には数人のクラスメイトが残っているが、みんな自分の作業に集中していた。


「昨日、何か書いたはずなのに…思い出せない…!」


焦る安の視界の隅で、何かがぴょこっと動いた。机の端に、小さなドラゴンのような生き物がちょこんと座っていた。


「…ん?」


よく見ると、その生き物はまるでぬいぐるみのような見た目だが、確かに動いている。

青紫の体に、メガネのような模様の光る目。尾の先は本のしおりのような形をしていた。


「お前…なんだ?」


「んー?オレ?ジグマ。覚えるのが得意な害獣だよ。」


害獣?なんだそれ?安は思わず目をこすったが、ジグマは相変わらずそこにいた。


「お前、今しゃべったよな?」


「うん、そうだね。」


まるで当然のように答えるジグマ。


「で、なんで俺の机の上にいるんだ?」


「うーん…なんとなく?」


「なんとなくって…」


安が困惑していると、ジグマがふっと笑った。


「ところで、宿題忘れたんでしょ?」


「…あ、そうだった!」


「昨日、先生が黒板に書いてたページ、オレ見てたから覚えてるよ。」


「…は?お前、昨日の黒板覚えてんの?」


「そりゃそうでしょ。オレの能力、暗記メガネだからね。」


ジグマは自慢げに胸を張った。


「えーっと、算数のページは…26ページの問題5と6、それから国語はプリント。プリントは机の奥に突っ込んでるよ。」


「え、マジで?…って、ホントにあった!」


安は机の奥から、ぐしゃっと折れたプリントを取り出した。間違いない、昨日配られたやつだ。


「すげえ…でも、なんでお前が覚えてるんだ?」


「オレが見たものは、宿り主も忘れにくくなるんだよね。」


「宿り主?」


「そうそう、オレはお前の害獣だからね。」


「いや、勝手に決めるな!」


安がツッコむと、ジグマはけらけらと笑った。


  1. 害獣ジグマの能力


ジグマが言うには、害獣は子どものエネルギーで生きる存在らしい。人間には見えないこともあるが、宿り主には見えるという。


「ま、細かいことはいいじゃん!オレがいれば、テスト勉強とかも楽勝だよ?」


「…マジで?」


安の目がキラリと光った。


「そうだ!じゃあ、今度の社会のテスト、お前の力でバッチリ対策できるか試してみようぜ!」


「いいよー。」


こうして、安とジグマの奇妙な生活が始まった。


  1. しかし、万能ではなかった


そして数日後、テストの結果が返ってきた。


「えーっと、社会のテストの結果は……うわ、50点!?」


安は思わず叫んだ。ジグマに頼りまくって覚えたはずなのに、点数は微妙だった。


「なんで!?お前の暗記メガネがあれば、もっと高得点のはずだろ!?」


「んー…安が覚えてたの、オレが見たところだけだったからね。」


「は?」


「オレ、歴史の年号とかあんまり見てなかったし、重要単語も安が勝手に飛ばしてたよね?」


「お、お前、それ早く言えよ!!」


「えー、聞かれなかったし。」


安はがっくりと肩を落とした。確かに、ジグマに頼って適当に勉強していた。だが、ジグマの力には限界があったのだ。


「…やっぱ、ちゃんと勉強しないとダメか。」


「まあまあ、オレがいれば、勉強のコツは教えられるよ。」


ジグマは安の頭をぽんぽんと叩く。


「次のテストはもうちょい頑張ろ?」


「お、おう…まあ、お前とならなんとかなる…か?」


「よっし!じゃあ、次のテスト勉強もよろしくね!」


ジグマはニッと笑い、安も苦笑いを返した。こうして、安とジグマの生活は本格的に始まったのだった。

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