コメント
6件
岳大さん優羽ちゃんの人生の師になれそう😊😊😊
脱字報告。「一段落た後」→「一段落した後」 よろしくお願いします😊
2人が出かけるんを朝倉が見てへんかって良かったε-(´∀`*)ホッ ✨夢✨ 岳大さんが叶う言うてくれたら何でも出来そう✨(*´艸`*)🍀 流星くぅん💫もうすぐたけちゃんとママが迎えに来てくれるでー😆やっほ〜
その後優羽はフロント業務へ戻り、本日宿泊する客のチェックイン業務を続けた。
それが一段落した後、優羽は流星を迎えに行こうと駐車場へ行ったがいつも使っている従業員用の車がない事に気づく。
優羽は驚いて厨房の三橋に車の事を聞いた。
「そうそう、オーナーの車が故障しちゃったから山荘の車を借りると優羽ちゃんに伝えてくれって。保育園のお迎えまでには戻
るって言ってたけれどまだ戻っていない?」
三橋も驚いている。
それなら仕方ないと思い優羽は保育園に電話を入れる。
「ちょっと今車がない状態で、少し遅れてしまうのですが…」
優羽が申し訳なさそうに伝えていると、ちょうど岳大が通りかかった。
「もしかして車がないの? だったら僕のを使う?」
電話を切った優羽がびっくりして振り返ると、そこには温泉から上がったばかりの岳大がいた。
岳大は首にタオルをかけている。
優羽は岳大の申し出に慌てて返事をした。
「お客様のお車をお借りするなんて出来ません。もし事故でも起こしてしまったら大変ですから」
「だったら僕が乗せて行ってあげますよ。ちょうど街で買いたかった物もあるんで。流星君、待っているんでしょう?」
岳大は笑顔でそう言った。
さすがにそれも出来ないと思い優羽が戸惑っていると、岳大は「車の鍵を取ってきます」と言い自分の部屋へ戻って行った。
そして再び優羽の元へ来ると言った。
「さ、行きましょう」
その時奥からオーナーの妻の紗子が出て来て優羽に言った。
「優羽ちゃんごめんなさい。車は今主人が使っているのよ。佐伯さんが買い物ついでに保育園に寄ってもいいって言ってくれた
からお願いして一緒に行ってらっしゃい」
「え、でも…」
「気にしないで。行きましょう」
岳大がそう言ってくれたので、優羽はお言葉に甘える事にした。
優羽が慌てて後を追うと、岳大はもう車のエンジンをかけていた。
助手席のドアを開けて車に乗り込んだ優羽は、
「すみません、ではお願いします」
恐縮してそう言うと、岳大は気にしないで下さいと笑った。
そして二人が乗った車は、市街地へ向けて走り始めた。
優羽は少し緊張しながら助手席に座っていた。
まさか岳大の車で保育園に行く事になるとは思ってもいなかったので、何を話していいのかもわからない。
そんな優羽の緊張をほぐすかのように岳大が話しかけてきた。
「保育園は、確か町外れのホームセンターの近くにある保育園ですよね?」
「そうです。川に沿った道をずっと行った先のホームセンターの向こう側です」
「じゃあちょっとホームセンターに寄ってもいいですか? その後すぐに保育園に向かいますから」
優羽はもちろんですと返事をした。
ホームセンターで何を買うのだろう? 少し気になったが、きっと仕事で使う物だろうと思い黙っていた。
緩いカーブを運転をしながら岳大が言う。
「東京では、どの辺りに住んでいたのですか?」
「梅ヶ丘ってご存知ですか? そこに六年間住んでいました」
「梅ヶ丘ですか?」
岳大は優羽の言葉を聞いて驚いている様子だった。
「僕は代々木上原なんですよ。同じ小田急線ですね」
その言葉に優羽も驚く。
「えっ? じゃあ、どこかですれ違っていたかもしれませんね」
すると岳大も「そうですね」と言って微笑んだ。
「お仕事はどういった関係をされていたのですか?」
「アパレル会社のショップ店員をしていました。新宿のデパート内なのですが」
「ファッション関係ですか。僕の苦手な分野だなぁ」
岳大はそう言って笑った。
「ファッション関係がお好きなのですか?」
「はい。実はスタイリストになりたくて上京したんです。高校卒業後は地元で二年働いてお金を貯めてから上京しました。東京
でショップ店員として働き、お金が貯まったらスタイリストになる為の勉強をしたいなと思っていたんですが、情けない事に結
局何も実現出来ずにこうして出戻ってしまいました」
優羽は残念そうな顔になる。
すると岳大は、
「スタイリストですか! 人を素敵に変身させるお仕事ですよね。優羽さんはまだお若いからこれからだってチャンスはあり
ますよ。まだ諦めるには早いです。それにチャンスはいくつになってもありますから」
そう言って励ました。
その言葉を聞いて優羽は嬉しかったが、現実的に考えれば小さな子供を抱えてその夢を叶えるのは到底無理のように思えた。
そんな優羽の考えを見透かして岳大は言った。
「無理だと思っているでしょう? でもね、無理だと思っている事が簡単に叶う瞬間が必ずやって来ますから。絶対にね。だか
ら諦めないで下さい。自分を信じて、今はとりあえず目の前にある事に集中して下さい」
岳大はそう言って笑った。
そんな事が本当にあるのだろうか?
優羽は岳大が自信あり気に言った言葉の意味を、何度も頭の中で繰り返し考えてみた。