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この6人いいメンバーですね😊👍写真を撮って思い出たくさん残さないと❣️ それにしても拓君のリーダーシップは凄い🌟 周りを見て判断して実行に移す、真子ちゃん二度惚れだね🥰💞
6は→6人は では?
そしていよいよ修学旅行の日が来た。
旅行は三泊四日の日程だった。
生徒達は新横浜駅へ集合してから新幹線へ乗る。
滞在場所の京都では、初日の学年全員でのバス観光以外は、
全て班単位での自由行動となっている。
班は6~7人で自由に組むことが出来たので、
拓の班は、拓、敦也、真子、友里の四人以外にあと2名ほど必要だった。
そこで拓はクラスで孤立している男子生徒の皆川慎太郎に声をかける。
慎太郎はいつも一人で行動し、誰とも接触せずにいた。
噂によると二年生の時に今は他クラスにいるボス格の男子生徒に目をつけられ、
それ以降はずっと一人で行動しているようだ。
拓はそんな慎太郎の事が以前から気になっていた。
そして、もう一人女生徒で孤立している人間がいた。
それは佐竹香だ。
香も慎太郎と同じでいつも一人でいた。
香は三年でのクラス替えの際、上手く友達を作れなかったようだ。
拓はそんな香にも声をかけた。
拓にグループに誘われた香は、心底ホッとした様子で拓のグループに加わった。
そんなリーダーシップのある拓の行動を見た真子は、
(拓ってすごいな…ちゃんとみんなの事を見てる…)
そんな風に思う。
そして拓に対する尊敬のようなものが芽生えた。
拓の新たな一面を見た真子は、更に惹かれていくのを感じた。
拓のお陰で班のメンバー6名は無事に揃った。
京都での自由行動は、この6人で行動する事になっている。
新幹線の中で、拓が隣に座る真子に言った。
「結構喋ってんな、あいつら」
拓が視線を送った先には、仲良くお喋りを楽しむ慎太郎と香の姿があった。
二人は今まで同じ状況にいた者同士、気が合ったのだろう。
無口でとっつきにくい印象の慎太郎は、話してみると理知的でとても穏やかだったし、
気が強そうと周りから噂されていた香も、一切そんな事はなく謙虚で物静かなタイプだ。
二人とも外から見たイメージとは真逆だった。
そして今二人は心底会話を楽しんでいる。
まるで以前からずっと友達だったように、親しく打ち解けていた。
「うん。この修学旅行でもっと仲良くなれるといいね」
「だな」
「拓は凄いよ。みんなが気付いていない事にもちゃんと気づいているし、孤立している人がいたらすぐに手を差し伸べてあげる
んだもの」
「いや、それくらい普通だろう?」
「普通じゃないよー! 拓の気配りが神なんだよ」
「おっ、神って言われた、やった!」
真子がせっかく真剣に褒めているのに、拓は照れて真子の事を茶化す。
(褒めてもいっつもこうやって誤魔化すんだから…)
真子は微笑みながらそう思う。
その時、前の席にいた友里からお菓子の袋を差し出されたので、
真子はありがとうと言って拓の分と二つもらった。
それから京都に着くまではリラックスして新幹線の旅を楽しんだ。
京都駅に到着すると、生徒達はすぐにバスへ乗車する。
そして学年全員で有名観光地を回り始めた。
二条城、北野天満宮、金閣寺を回り龍安寺へ。
その途中大型駐車場を備えたドライブインで昼食をとる。
昼食は京野菜をふんだんに使った京都名物のおばんざいだった。
可愛らし小鉢がいっぱい載った盆に女性徒達は可愛いと歓喜する。
そして皆がこぞって写真を撮る。
その勢いに押された拓達男子生徒も、なぜか料理を写真に収めていた。
中にはSNSに写真をすぐアップする者もいた。
食事の合間にグループでの写真も撮った。
カップルでのツーショット、男同士、女同士での写真も沢山撮る。
女徒達からは、
「今すぐその写真送ってー」
と催促されるので、男性陣は食べる間も惜しんでスマホと睨めっこをしていた。
こうして思い出に残る写真が何枚も残った。
その日の観光を終えた生徒達は、バスで宿へ向かう。
宿泊場所はこじんまりとした和風旅館で、
修学旅行の期間中は鎌倉北高校の貸し切りとなっていた。
男女に別れそれぞれの部屋に行った生徒達は、
露天風呂のある大浴場で入浴を済ませた後、私服に着替えて食堂に集まった。
校長の挨拶の後、漸く夕食が始まった。
夕食後は、教師たちによる余興の出し物が披露され、
普段は寡黙な数学の男性教師の女装姿に、生徒達は腹を抱えて笑い転げた。
そして修学旅行の第一日目は無事終了した。
翌日、修学旅行の二日目を迎える。
この日以降は全て班での自由行動だ。
朝食を済ませた拓のグループは、早速宿を出て観光へ向かった。
拓のグループはまず嵐山を目指す。
電車に20分ほど揺られた後、6人は嵯峨嵐山駅へ到着した。
そして駅から10分ほど歩くと渡月橋が見えてきた。
「うわーテレビでよく見る橋だー」
「俺は中学の修学旅行で来たから二度目だわ」
「ねぇねぇみんなで写真を撮ろうよ」
6人はそれぞれ好き勝手な事を喋る。
そこで拓が道を歩いている男性に声をかけ、写真撮影をお願いした。
「おいっ、おまえらっ、写真撮ってもらうから集まれ!」
拓の一声で5人が一斉に集まる。
「はいっ、ちーずっ!」
写真を数枚撮ってもらうと、6人は男性に向かってお礼を言った。
そこから今度は竹林の小径へ向かう。
竹がまっすぐに生い茂る小径は、まるで異世界に迷い込んだかのように神秘的だ。
そのたおやかな和の雰囲気は、特に女子三人に人気だった。
そこで男子による女子の撮影会が始まる。
ロマンティックな竹林をバックに女子三人の撮影が終わると、
今度はなぜか男子三人の撮影会が始まる。
真子達女子がスマホを構えると、拓と敦也はふざけてボディービルダーのポーズを取ったり、
ロック歌手のパフォーマンスを真似たりとじっとしていない。
その横で困ったまま固まっている慎太郎の様子が可笑しくて、女子三人は声を上げて笑った。