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海を照らす月明かりの下で俊さんと雪子さんの距離が少しずつ縮まってる🤭💕 元旦那の不倫からの離婚で大変な目に遭ったけど、 今は隣に俊さんがいて自宅カフェの話が真実味を帯びて、遠く去ってしまった夢が手の届くところに戻ってきてる🥰👍✨ 自宅カフェが実現したら俊さんが常連第一号は決定で✌︎('ω')✌︎🤭 雪子さん、俊さんと手を取り合って🫶自宅カフェ🍰☕️頑張ろう😊👍‼️
大きく動き出しそう☕️ 雪子さんのお店には俊さんがいつもいる…常連さんとしてではなく…だといいなぁꕤ︎︎·͜·ꕤ︎︎·͜·ꔛ♡ ここでも月の温かい光が優しく2人を見守ってくれてる🌕*.+゚
そこで雪子は思い切って気になっていた事を俊に聞いてみる。
「でもコーヒーだけだとお客さんが来ないかなぁって思うんです。コーヒーの他にもスイーツとか? ケーキ作りは割と好きですが、他人にお出しするほど上手じゃないし毎日いくつも作る自信もないし……」
「私の知り合いが自宅カフェをやっているんですが、スイーツは全て外注していましたね。地元のケーキ屋さんと交渉して毎日決まった量を作ってもらっているみたいです。あとこれは聞いた話なんですが、人気の大型量販店で買って来た基本的なマフィンにクリームやアイスなんかでアレンジを加えて出すっていう割り切った手法の方もいるみたいで。まああまり儲けにはならないでしょうけれど、無理なく気負わずにやれるのならそういうのもアリかなって…」
それを聞いた雪子は、なんだか目が覚めたような気がした。
スイーツの面がどうしてもハードルが高かったが、今聞いたやり方なら自分にも出来そうだ。
想像もしていなかった方法を聞いたのでとても刺激になる。
俊は更に言った。
「知り合いの自宅カフェは内装も夫婦でやったからほとんど材料費だけだったみたいです。大工仕事なんかは私も手伝いますし、修達にも声をかければきっと人では集まると思いますよ」
雪子はなんだかドキドキしていた。
一度諦めた夢が、勝手に向こうから歩み寄って来るからだ。
結婚していた頃に思い描いていた、
『自分の店を持つ』
という夢は、夫の不倫をきっかけに無残にも砕け散った。
しかしここへ来てまたその夢が現実味を帯びてくる。
そこで雪子は、この前優子に話した事を俊にも話してみる事にした。
「私、結婚していた時自分の店を持ちたいっていう夢があったんです。その当時は一戸建てを買う話が進んでいたのですが、その家の一部屋を店舗にする計画も立てていました。ただその計画は、急な離婚で叶いませんでしたが…」
俊は心が痛んだ。
夫婦の間で戸建てを買う計画が進んでいたのなら、直前までは普通に仲の良い夫婦だったのだろう。
雪子の元夫も良い夫を演じ、妻や子供の為に家を買おうとしていた。
そして妻の雪子は夢にまで見た自宅店舗を心待ちにしてたに違いない。
それが一転して離婚へと進んだ。
夢を見ていた雪子は、いきなり地獄へ叩きつけられたのだ。なんて酷い話だ。
そこで俊はこう答える。
「そうでしたか。でもその時叶わなかった夢は今なら叶うかもしれませんよ。それにわざわざ店を借りたり買ったりする必要ないんです。君は既に家を持っているからね。古くてもリフォーム次第で見違えるように変わるし、逆に古さを生かして味わいのある店づくりだって出来る。だからもしその気になったらいくらでも協力しますよ。中古の厨房設備なんかは知り合いが取り扱っていますしいい大工さんも知っていますから」
「ありがとうございます。なんかお話を聞いていてちょっとワクワクしている自分がいます。でも、まずは美味しいコーヒーが淹れられるようにならないと。それにはまず修さんの講座をしっかり受講しないとです」
雪子はそう言って笑った。
「なんか私の方がせっかちに煽ってしまったかな? まあ私も近所に美味いコーヒーが飲める店があったらいいなっていう下心があって勧めているのかもしれません。だからもし店がオープンしたら毎日通いますよ」
俊は微笑みながら言った。
「じゃあ一ノ瀬さんは常連のお客様になっていただけるんですね? もしそうなら時々店番もしてもらおうかしら?」
そこで二人は声を出して笑った。
それから二人は、鉱物についての話を始めた。
俊は雪子の父親がどの辺りに鉱物採集に出かけていたかを知りたがったので、雪子は覚えている場所をいくつか教えた。雪子の父は採集の旅に行くと必ずその場所を写真に収めていたので、今度アルバムを見せましょうかと雪子が言うと、俊は是非お願いしますと言った。そして家にある鉱物も見せて欲しいとリクエストした。
食事が終わるとデザートと共にコーヒーが出た。
俊はそのコーヒーの豆の種類を雪子に聞いた。
俊は雪子を試そうとしている。
雪子はコーヒーを一口飲むと真剣な顔をしている。
そのあまりにも一生懸命な様子が可愛らしくて、思わず俊の頬が緩む。
そして急にピンと来た雪子は目を輝かせて言った。
「キリマンジャロ?」
「ピンポーン」
正解だったので雪子は大喜びした。
コーヒーを飲み終えた二人は店を出た。
今日も俊がご馳走してくれたので雪子はお礼を言った。
帰りのドライブでは、俊が飲食店プロデューサーになったいきさつを教えてくれた
俊は大学へ入った当初は教師を目指していたと言ったので雪子はかなり驚いた。
大学時代にバックパッカーで世界を旅をしていた時、色々な国の食文化に触れた。
それがきっかけとなり、いつの間にか今の道に入っていたと俊は笑う。
「食いしん坊さんだったのですね」
雪子の言葉に俊が声を出して笑ったので、つい雪子も釣られて笑った。
車が大磯の辺りを走っていると、俊がこんな提案をした。
「大磯漁港に少し寄ってみませんか?」
意外な提案に興味が湧いたので、雪子はOKの返事をした。
漁港の駐車場に車を停めると、二人は車を下りて歩き始めた。
今夜は満月に近い月が明るく輝いていた。
月明かりに照らされた漁港は思っていた以上に明るい。
小さな港には沢山の漁船が係留していた。
月の光は海面を照らし、波に揺れた光がキラキラと輝いてなんとも幻想的だ。
昔これと同じような光景の絵画をどこかで見た事があるなぁと雪子が考えていると、俊が堤防へ向かって歩き始めた。
途中夜釣りをする人達が釣糸を垂らしている。
俊は釣り人に、
「釣れますか?」
と聞いた。すると70歳くらいの釣り人が、
「今夜はエサ取りのアイゴしか釣れなくて駄目だねぇ…」
と苦笑いをしたので、俊は残念ですねと言ってからまた前へ進み始めた。
行き止まりまで行くと、一段上にあがる堤防があった。
俊はそこへヒョイッと上がってから雪子に手を差し伸べた。
雪子は「登れるかしら?」と思いながら俊の手を握りエイヤッと登ってみた。
すると俊がグイッと力強く引き上げてくれたので、難なく上れた。
堤防の上に上がると突然広い外海が目の前に広がる
「すごーい」
雄大な景色を目の当たりにした雪子は思わず呟く。
「やっぱり海はいいね。漁港も結構味わいがあっていいなぁ」
俊はそう言って堤防へ座ったので雪子も隣に座った。
それから二人は夜の海を眺めながら色々な話をした。
子供の頃の話や学生時代の話。
日本の黄金時代であるバブル期の話や、その後一気に不景気が訪れた時の話など、同じ時代を生きてきたからこそ話せる共通の話題に二人は夢中になる。
そして何を話していても会話が噛み合う。
話せば話すほど盛り上がり、いつまで経っても話しが尽きる事はなかった。
気付くとあっという間に一時間が過ぎていた。
話が一段落した所で二人は車へ戻った。
それから俊は雪子を家まで送ってくれた。
車が雪子の家の前に着くと、雪子は俊にお礼を言った。
「今日はご馳走様でした。色々話せて楽しかったです」
「私も凄く楽しかったです。是非また行きましょう」
その言葉に雪子は頷いた。
雪子は車を降りると、俊の車が見えなくなるまで見送った。
そして家の中へ入って行った。